04年01月03日(土)
 ウィリアム・バロウズのジャンキー読みました、この本は最近文庫になってそれを買ったのですが、それまではハードカバーで高価な本だったのです、銀色のカバーの格好良いのなんだけど、それまではジャンキー以外にバロウズの本何冊か読んだのですが、当たり前なんだけどわけ分からなかったり大して面白くなかったりで、しかし文章のフレーズ面白くて読んでたんです、例えば「俺はネギの一部だ」とか「医者は私から作られてる」(中毒で病院ばかり行ってたから)とか。
 しかしこのジャンキー、物語自体が面白いのでズンズン読んでしまいます、物語と言っても、殆どバロウズの体験記なんだけど。この本の凄いのは麻薬によって見た幻覚とか陶酔なんぞは殆ど関係なくて、いかにしてそれを手に入れ、または売るか、他にジャンキーは何度も麻薬をやめるが、いかにしてまた直ぐジャンキーに戻るか、この繰り返し、その他バロウズの麻薬論とか、マリファナやったら絶対車を運転してはならない、これについては昔高速道路清掃やってた奴がマリファナを吸い運転し事故を起こした事があるらしいので、グッときた、彼もジャンキー読んでればそのような事故起こさなかったのに。それでこの本、麻薬恍惚どうのこうのよりも、その駆け引きが、スパイ小説のみたいなんです。
 まあバロウズの場合はヘロインだから、その体験は完全個人的であって、LSDやって神や妖精や見たり、ジョンレノンみたいに性格変わっちゃたりするより、大変スマートなんだけど、実は内面とんでも無い事になっていたんだろうなと想像がつくのです。内蔵に溜まったウンコが臭くてしょうがない、といった状態なんでしょう。
 このヘロインというはもとはケシで、そのケシの果実と茎を傷つけて出てきた液を乾燥させアヘンになり、アヘンを加工するとモルヒネになって、それに塩化アセチルとかいうのを作用させるとヘロインになるんです、色は白いのですがあんまり精製してないのが茶色で、俗に言うブラウンシュガーってやつ、ローリングストーンズの歌でもありますよ。でこのブラウンシュガーってのを昔、もう時効だし外国だったからどうでもいいのですが、僕やった事があるような気がします、それはアジアのある国で一緒の宿に泊まってた男が持っており、宿の屋上で旅の最中仲良くなった日本でコンビニ強盗やったK君と夕涼みをしてたら、その男がやって来て、「お前等これどうだい? 男だろ」って具合に、その男物凄く痩せてて変な関西弁で喋るんですは、まさしく茶色い砂糖みたいな物が入った小さなビニール袋チラチラさせて、それでまあ嗜んでみた所、K君は気持ち悪くなってゲロを吐き出し、ブラウンシュガー持ってきた男は「見てくれやホラ」と小指を見せ、これを常用してる事によって「一週間くらい前から、動かなくなってしもうた」と言って動かない小指を見せつけられました。それまでK君と二人で屋上から夜景を眺めながら「なんかハワイみたいじゃねえか」とか「戦車が大砲撃ってきて大きな津波がやって来るとか」馬鹿みたいな話しを鼻糞燃やしたり食ったりして楽しんでたのに、この男がブラウンシュガーなんて持ってくるから、プチ地獄絵図みたいになってしまいました。K君はゲロ吐きながら、男は動かない小指を見せながら、僕は机のコップ落としまくってバンバン割ながら、終いにフラフラになってそのまま、ベットで次の日の夕方くらいまで寝てた、起きたら何故か派手なヴェルベットの赤いズボンなんか履いてた。このヘロインってのは最初は皆気分悪くなるらしいです、それで其処から抜けると、極楽でぬるま湯につかってる状態になるらしいのです。しかし中毒になったら地獄に真っ逆さま、それでその地獄から抜けるために、またやって極楽でぬるま湯、これ全てに置いて中毒の基本。バロウズが凄いのはこの中毒・ジャンキー状態を「生き方だ!」と言い切ってる所なんです、これは並大抵の中毒じゃない、変に悟っちゃった中毒ですよ、中毒ってのは地獄ばかり意識して、フラットな状態が無くなっちゃうのだろう、最初の極楽ぬるま湯温泉が中毒者の日常になってしまい、ぬるま湯温泉の湯も段々ただの水になって、最後は茶色い錆び水。多分その諦めとして「ジャンキーは生き方だ!」なんて言っちゃったんだろうけど、地獄で悟ったんだから凄いものです。陶酔状態で悟ったのではないから、ちなみにジョンレノンにLSDを教えたのはピーターフォンダらしいです。シドビシャスにヘロイン教えたのはジョニーサンダースらしいです。ジャンキーが書いたジャンキー本、題名もジャンキー、まさしくトゥーマッチジャンキービジネスです。
 この本を出版社に売り込んだのはアレン・ギンズバーグで、バロウズはギンズバーグの事好きだったらしいですが、その時、ギンズバーグには若いボーイフレンドが居たそうです、ギンズバーグは年下好き。だからギンズバーグは若い男の子とは直ぐあってくれたそうで、知り合いがニューヨークに行ってなんのつても無く尋ねたら案の定会ってくれて、話してる最中、ズーッと髭を撫でられてたそうです。

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雑記書手紹介

戌井昭人
東京生まれ(調布育ち)
鉄割の台本を書くの担当。あと変な動きとか考えるのも担当。
最近声がガラガラになってきている。だいたい変なおっさんの役担当。
趣味は歩くこと

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