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藤井の鉄割稽古場日誌

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03年07月01日(火)
ガブリエル・ガルシア=マルケス『物語の作り方』

ガブリエル・ガルシア=マルケス『物語の作り方』
 ガルシア=マルケスが、キューバの映画学校で開催したシナリオ・ライティング講座のディスカッションをまとめた本。テレビ・ドラマの台本用のアイディアを生徒が持ち寄り、全員で討論しながら台本を仕上げていくという趣向。

 登場人物の人格や生活環境などの背景を、綿密に設定する必要性を強調する一方、その場の思いつきみたいなイイ加減なアイディアもポンポン口にするガボ(マルケスのニックネームらしい)が面白い。自分の出したアイディアの内容について質問されて、平気で「さあな」とか答えて居直ってるし。

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■ガルシア=マルケス

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03年07月02日(水)
芳崎せいむ『金魚屋古書店出納帳』2

芳崎せいむ『金魚屋古書店出納帳』2
 第1巻に続いて、かなりハイペースで刊行されたシリーズ第2巻。素晴らしいですな。依然、高いクオリティを保っていらっしゃいます。

 この巻でもまた、登場人物が死んで終わる物語ではなく、生きてゆく事で続く人生という物語の、忘れられない瞬間の感動が描かれている。確固としたポリシーを持って描いてるのが立派。

 
「漫画なんて たかが紙の上の事なんだよ」

「だからこそ どんな事でも 起こり得ると 思っている」

[関連リンク]
■稽古場日誌 4月14日

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03年07月03日(木)
number one son "MAJORITY OF ONE"

number one son
 何かと活気づいてるU.K.ラウドロック界から登場した新人バンド・number one son。とは言え、バンドを結成したのは90年代の半ば頃で、納得できるボーカリストが見つかるまでライブ活動を行わずにいたらしい。

 そんで、ようやく見つかったボーカルのニック・ウィットモアは、ラップ混じりのボーカル・スタイルが特徴的。サウンドとしては、同じレーベルでU.K.ラウドロックの火付け役となったLostprophetsあたりと比較できそうな感じ。ただ、Lostprophetsよりは多少、バックの音がシンプルな分、物足りなさを感じない事もない。

[Amazonリンク]
■number one son
■Lostprophets

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03年07月04日(金)
『ラスベガスをやっつけろ』

ラスベガスをやっつけろ
 テリー・ギリアム監督作品。鉄割映画部では、『ロスト・イン・ラマンチャ』を観ただの観ないだので話題になってる中、周回遅れで今頃前作を観てるオレ。

 例によって、緻密に構築された映像と、毒まみれのブラックなギャグがゲップが出るほど溢れかえってる。『バンデッドQ」とか『未来世紀ブラジル』とかでは、そこに「物語性」という大きな要素が入ってたけど、この作品ではほとんどストーリーらしきものは存在しない。その分、ひたすらクスリ漬けの馬鹿二人が乱暴の限りを尽くす様を描く事に力が注がれる。もうこれでもかっ!ってくらい。もうイイよ!ってくらい。っつーか、ほんともう飽きた、ドラッグものは。

 個人的に、どうもギリアムの映画ってのは、笑いの奥にあるペシミズムを、隠すフリをして実は見せびらかしてるようなところが引っかかるんだよな。何もそこまでして感じ悪く感じ悪くする事もないじゃんよ、いい歳してエゴ臭えオヤジだな、とか思うです、はい。

 主役のとぅるっぱげが尋常ではない目つきでスゴい演技してるので、カッコイイなと思ったらジョニー・デップだった。うへえ。剃ったのか?

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■テリー・ギリアム

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03年07月05日(土)
ウォーターボーイズ

ウォーターボーイズ
 矢口史靖の監督作品と言いますと、『裸足のピクニック』『ひみつの花園』はすごい面白かったんだけど、前作『アドレナリン・ドライブ』が、ちょっとどうしちゃったんだろって有様だったので、この作品も見る前は心配しておりました、実は。
 で見始めたら、ムサ苦しい男子高校生がワサワサ湧いて出てくるわ、アフロの演技が必要以上に力入り過ぎだわ、清涼剤として期待した真鍋かをりまで妙に演技が暑苦しいわで、矢口史靖もこれまでかと思ったもんです。

 ところがっ!ストーリーが転がり始めてからのスピーディかつ強引な展開と、随所に仕込まれた細かい笑い、さらに竹中直人の怪演も相まって、かなりかなり面白く観られました。

 矢口作品の一番の魅力は、石井輝夫からの影響を認めている監督らしく、いい加減なアバンギャルド性っつーか、人を喰ったようなオフビート感覚にあると個人的には考えております。『アドレナリン・ドライブ』では、そういう要素がナリを潜めてしまってたけど、この映画では真鍋かをりが赤ちゃん振り回すとことか、イルカに人口呼吸するとことかで、腰が砕けそうなバカバカしさを堪能。

 最初はうっとうしかった高校生の坊主どもも、見終わる頃には、やっぱり青春だよなあ、などといたく感動してる始末。あと、真鍋かをりが今一つな分、平山綾がカワイかった。今年見た映画は、『チアーズ!』『プリティ・リーグ』などのストレートなスポーツ青春ものに当たりが多いな。

[関連リンク]
■矢口史靖サイト 矢口ちゃん
■稽古場日誌 2月15日
■稽古場日誌 6月22日

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■裸足のピクニック
■ひみつの花園
■アドレナリン・ドライブ
■石井輝夫

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03年07月06日(日)
あなたのとりこ

あなたのとりこ
 で、『ウォーターボーイズ』の劇中歌として使われていた『あなたのとりこ』がステキだったんで、『あなたのとりこ〜シルヴィ・バルタン・ベスト・コレクション〜』を買っちゃいました。ミーハーだな、オレも。しかも流れに取り残されてるし。

 それはともかく、フランス・ギャルしかり、シャルロット・ゲンズブールしかり、フレンチ・ポップと言えばロリータってイメージがありましたが、シルヴィ・バルタンの場合は低音でちょっとハスキーな声のせいか、ロリータな雰囲気はあんまりない。その分、アップテンポの曲を元気よく唄うケレン味のなさは、ロリータなフレンチ・ポップとは別の魅力があってよろしいですな。

 シルヴィ・バルタンは日本好きらしく、このアルバムに入ってる「恋人時代」って曲では、日本語の歌詞を恐ろしく流暢に唄ってます。あんまり日本語うまいんでびっくり。あと、中島みゆき「悪女」のフランス語カバーとかも収録されてるけど、これはまあどうでもいいや。

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■ウォーターボーイズ
■あなたのとりこ
■フランス・ギャル
■シャルロット・ゲンズブール
■シルヴィ・バルタン

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03年07月07日(月)
『SF サムライ・フィクション』

SF サムライ・フィクション
 ただもう緒川たまきさんが出てるから、それだけの理由で観た『SF サムライ・フィクション』。思ってたよりは退屈せずに観られたかも。

 緒川さんは、やはりコメディエンヌの素質があるのでしょうね。三谷幸喜脚本の『竜馬におまかせ』とかでも、コミカルな役所を楽しそうに演じてらっしゃったし。ドラマ自体は尻子玉が抜けるほどツマンなかったけど。

 あ、谷啓が忍者の恰好で登場するところが、異常なほど面白かった。谷啓が忍びのコスプレするだけで、あんなに面白い映像になるとは思わなんだ。ちょっと悔しくなるくらいの面白さだった。

[関連リンク]
■SF

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03年07月08日(火)
桂米朝コレクション

桂米朝コレクション
 筑摩書房のちくま文庫から刊行中の『桂米朝コレクション』の内、「1巻 四季折々」と「2巻 奇想天外」を読みました。

 落語好きなんですよ、オレ。でも、寄席に行った事は一度もなくて、カセットとかで聞いた事もあんまりない。昔、TBSで深夜やってた落語中継とか、NHKの日本の話芸かなんか、そんな番組で観てたくらい。ただ、活字メディアでは落語の本を子供の頃からよく読んでて、中でも好きだったのが、ちくま文庫から出てる飯島友治編集の「古典落語」シリーズ。桂文楽集とか三遊亭圓生集とか、表紙が擦り切れるくらい何度も読み返したもんでした。

 で、この米朝コレクションなんだけども、う〜ん、正直、活字で読んだだけでは、物足りなさが残った。第二巻に収録されてる「地獄八景亡者戯」とかは、有名な話だけに期待して読んでみたんだけど、今一つ面白さが伝わってこない。思うに、古典としての完成度を高め、洗練させていく事を主眼とする江戸前の落語は、時事ネタ的なクスグリを豊富に取り入れた上方落語よりも「文芸性」が高いため、活字として記録された場合でも、魅力が損なわれにくいのかもしれない。もちろん、江戸の落語の方が高級だとか主張するつもりは一切なく、同じ落語でも媒体の適性が異なる場合があるのかもね、って事を言いたいだけですので、誤解なきよう。

[関連リンク]
■筑摩書房

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■桂米朝コレクション
■飯島友治

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03年07月09日(水)
『驚異の発明家の形見函』

驚異の発明家の形見函
 アメリカの小説家アレン・カーズワイルの処女作。発明の才能を持つ少年クロード・パージュが、様々な人々と出会いながら、驚異の発明品を完成させるまでを描く、風変わりなビルドゥングス・ロマン。タイトルや粗筋から、なんとなくスティーブン・ミルハウザーの諸作品を思い浮かべたんだけど、読んだ印象はかなり異なった。

 ミルハウザーの作品だと、主人公には既に才能と作品発表の場を与えられていて、次々に作品を発表しながらも、周囲の環境の変化によって、自身の境遇も左右されていく、というパターンが多いように思う。一方、この作品の場合、主人公のクロード・パージュが発明の素質を持ってるという事は、序盤から繰り返し言及されるんだけど、実際に作品を作成・発表する機会は、なかなか与えられない。って言うか、この長大な(活字二段組で370ページ強)小説の内、発明品の作成に取りかかるのは全体の8割以上が経過してから。それまでは、延々と主人公の成長過程が、異常なくらいトリビアルな点にこだわった視点で語られていく。

 この恐ろしく微に入り細に穿った記述、というのが良くも悪くも本作品の特徴。例えば、小説のヤマ場の一つ、主人公がさる貴婦人と不倫関係に陥る件では、主人公がどんな服装で、どんな道筋を辿って、道すがらどんな風景を見たか、などの事柄が、婦人とのアブノーマルな交わりと全く同じ比重で描かれている。こんな調子で、最初から最後までくだくだしい描写が続くもんだから、全体的に物語がメリハリを描いてるように思う。
 あと、この作品は、タイトルにもある主人公の形見函に収められた思い出の品々が、各章の副題にあてられており、それぞれの品に関するエピソードが語られるという構成をとっている。ところが、ギッチギチに情報が詰め込まれてるもんだから、各章におけるメインとなるはずの品物(オウム貝の化石だったりボタンだったり)が、他の種々雑多な物品の中に埋もれて、印象が薄くなってしまっている。箱の中に色んな物を詰め込み過ぎて、結局、何が入ってるんだか分からなくなっちゃったような、そんな感じ。

 作者はジャーナリスト出身らしいけど、これが処女作という事もあり、小説的な語り口を完全には身につけてなかったんじゃないかな。ジャーナリズムにおいては、客観的な姿勢で細部まで余す事なく記述するのが、「良い文章」なんだろうけど、小説では、ストーリーのために適宜、不必要な部分を省略したりする事も必要なわけで。もちろん、こういったトリビアリズム的描写は、ある程度、作者も意図してやった事だろうし、それによって18世紀という時代の空気を描こうとしていたんだろうという事は理解できるけど。

 あと、やっぱりこの邦題は、あまり良くないね。驚異の発明家つったって、全体の8割以上は、金持ち相手のワイセツなカラクリ人形作りの手伝いや、俗物の書店主の徒弟としてコキ使われてるだけだし。原題は"A Case of Curiosity"で、Curiosityには「骨董品」という意味の他、「好奇心」とか「変な物・珍奇な物」という意味もあるらしい。物語の語り手に、このストーリーを語らせるきっかけとなる骨董品の形見函と、クロード・パージュを突き動かし続けた知的好奇心とがダブル・ミーニングになってるんだろう。もうちょっと何か良い塩梅の訳題がつけられなかったもんかしら。

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■アレン・カーズワイル
■スティーブン・ミルハウザー

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03年07月10日(木)
ずっと昔から 夢の中で

アメリ
 今頃んなって、ようやく観ましたよ『アメリ』。
 そんでもう、すっかりヤラレちまいました。すんげえイイ映画ね、これ。オレがもし女の娘だったら、速攻で前髪揃えて外ハネ・へアーにして「今日からあたしの事、アメリちゃんって呼んでね」とかほざいてそうな、そんくらいの素晴らしさでした。

 なんて言うか、すげえ居心地が良いのな。澄ました顔して毒含んでるし、控えめに病んではいるんだけど、そのへんも踏まえた上で、大変お肌に馴染む空気。この映画の主題の一つは、外部との関わりを最小限に抑えて、夢の世界で暮らしてるアメリが、誰かを好きになるために(または、誰かを好きになる事によって)外部の世界と向き合う、という点にあるんだけど、そこに押し付けがましさがなく、必要最低限のコミュニケーションに抑えられてるところが、オレのツボにハマったんだと思う。

 「みんなで仲良く」、「誰にでも心を開いて」なんていう拷問めいた教条ではなく、分かってくれそうな人、好きになれそうな人とだけ、小さく微笑んでうなずく事で通い合う、細く弱い糸のようなコミュニケーション。そして、いちばん大事な人とは細い糸で何重にも結ばれ合い、繭の中に二人で閉じこもるような関係ってのは、淫靡でよろしいじゃないですか。見かけ上は、あくまでも王道ラブ・ストーリー風(ラスト・シーンは『ローマの休日』を意識してるのでは?)に仕上がってるのも心憎い限り。

 何にせよ、20代前半までに『アメリ』を観る事のできた女の娘は、とても幸せだと思う。20代も半ばを過ぎた、しょうもない男のオレでさえ充分に幸せになれたんだから、それは間違いありません。

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■アメリ

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03年07月11日(金)
『SUPER8』

SUPER8
 『黒猫・白猫』の音楽を担当したバンド、ノースモーキング・オーケストラのヨーロッパ・ツアーを、エミール・クストリッツァが同行取材したドキュメント映画。コンサートの楽屋裏だけでなく、やはりクストリッツァが手がけたミュージック・クリップの撮影風景なども収められている。

 いい年したオヤジどもなのに、楽屋で掴み合い寸前になったり、移動バスではカンフーごっこに興じたりと血気盛んなご様子で微笑ましい。ただ、ボーカルの男が出しゃばり過ぎてて、ちょっとウザかった。

 ビデオとDVDには、オマケでPV2本とライブ映像も収録されてます。

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■黒猫・白猫
■ノースモーキング・オーケストラ
■エミール・クストリッツァ

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03年07月12日(土)
『怪』

『怪』
 WOWOWで放映された京極夏彦原作のTVドラマ・シリーズ。先日、ケーブルテレビで全4作品が放送されたので、まとめて観た。

 やー、WOWOWのドラマってスゴイね。生首スッ飛ぶは、男同士の熱い接吻はあるわ、焼けた鉄板の上で猫じゃ猫じゃを踊らせたり、口に漏斗突っ込んで熱湯注いだりの拷問場面が出てくるわと、地上波のTVドラマではありえないエグ目のシーン連発。セットや小道具などの細部にも、こだわりが感じられた。
 まあ、手放しに面白いと言えるかというと、ちょっと疑問符がつくけれども、京極堂作品の映像化としては善戦したほうなんぢゃないか。でも、このエンディング・テーマ曲を決めたヤツは、文楽人形に頸動脈噛み切られて死になさい。

・「第一話 七人みさき」
 原作は『続巷説百物語』。月岡芳年の無惨絵に触発された殺人鬼が、無差別に見立て殺人を繰り返すという粗筋からして、地上波じゃ無理っぽい。
 昔、名古屋かどっかで、妊婦の腹が切り裂かれて電話が押し込まれる、って凄惨な殺人事件が起きたんだけど、その事件の前日、テレビの怪奇特集か何かで芳年の無惨絵が紹介されたらしい。その絵は、安達が原の鬼女伝説をモチーフにした作品で、逆さ吊りにされた臨月の妊婦の下で、包丁を研ぐ鬼婆が描かれている構図だった。京極夏彦も、この事件からヒントを得たのかな。

・「第二話 隠神だぬき」
 これは『巷説百物語』に収録の「芝右衛門狸」が原作かな。これの見どころは、奉行所の同心と目明かしコンビを、嶋田久作&神戸浩のカルトな二人が演じている点。っつーか、二人ともセリフ聞き取りにくいよ。内容的には、第一話が隙間なくキチキチに詰め込んだ感じだったのに対し、ちょっと間延びしてる感がなくもない。短編の原作を90分に引き延ばしたんだから、しょうがないか。

・「第三話 赤面ゑびす」
 何だこりゃ?面白いとか、つまらないとかの次元を超えてる。ワケ分かんない。あまりにヒドイので、オリジナル脚本なのかと疑ったくらい。調べてみたら、一応、単行本未収録の作品で、ベースになってるストーリーがあるらしい。どの程度、改変されてるかは分かんないけど。無理から好意的に解釈すれば、石井輝夫の『恐怖畸形人間』を観た時のシュールさに似てる、とも言えるけど、やっぱ無理があり過ぎだなあ。
 道術師役で出てる火野正平が、意外なほどの好演。演技してる感がなくてカッコよかった。

・「第四話 福神ながし」
 シリーズ全体を通じて言える事だけど、原作では「妖怪+ミステリー+必殺仕事人」という各要素のバランスが均等になってるのに対し、ドラマ版は「必殺仕事人」的要素がかなり強い。どうやら京極堂と共同で脚本を担当した山田誠二氏が、かなりの仕事人マニアらしい。このエピソードなんか、妖怪の要素なんてほとんど出てこない。普通のチャンバラものとして見れば、まずまず面白かった。
 この回はとにかく出演者が豪華。岸部一徳船越英一郎、近藤正臣、杉本哲太と芸達者な個性派が顔を揃え、さらに特別出演として京極夏彦・宮部みゆき・荒俣宏に加え、水木しげる御大までが登場。シリーズ最終作に華を添えてます。

[関連リンク]
■鮟鱇をふりさけ見れば厨かな
■黒塚

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■京極夏彦
■続巷説百物語
■巷説百物語
■石井輝夫

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03年07月13日(日)
逆柱いみり『ケキャール社顛末記』

ケキャール社顛末記
 異能のマンガ家・逆柱いみりの3冊目の単行本となる長編マンガ。たしか例の内紛で『ガロ』と『マンガの鬼 AX』に分裂後、『ガロ』の方で連載されてた作品。

 材木屋の二階にある会社・ケキャール社が倒産し、一つ目ネコ社長と女秘書(かわいい)がインドへ逃避行しようとするが、なぜかお座敷列車に乗り込んでしまい、シャブ中に命を狙われたり、カーチェイスしたり、地球外生命体と戦ったりしながら旅を続けるロードムービー風マンガ。ワケ分かんないけど面白そうでしょ。ぜひいっぺん読んでみて下さい。読んでもやっぱり、ワケ分かんないけど面白いから。

 『馬馬虎虎』や『ネコカッパ』と比べると、まあ一応、ストーリーがない事もない(少なくても数十ページに渡って、幻覚めいた妖都の細密な風景描写だけが続いたりはしない)。あと、前に『ネコカッパ』の感想で、「変なキノコや葉っぱをキメた水木しげる」みたいな事を書いたけど、この作品では、そこに杉浦茂的な要素も加わってて、カワイさがちょっぴり多め。って事で、いみりビギナーにもオススメではないでしょうか。

[関連リンク]
■稽古場日誌 5月20日

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■逆柱いみり
■杉浦茂

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03年07月14日(月)
吉田光彦『ペダルに足が届く日』

ペダルに足が届く日
 昭和初期のノスタルジーを感じさせる、叙情的で繊細なタッチが持ち味のイラストレーター/マンガ家である吉田光彦の短編マンガ集。中野のまんだらけにて買い求めました。

 収録されてるのは、70年代後半から80年代前半に発表された作品。一番古いのは『ガロ』に掲載されたデビュー作「ボクサー」で、発表は何と1975年。オレ、まだ生まれてないぞ。エロ劇画ブームの時代を反映してか、エロティックな作品が多く、中でもホモ・セクシュアルを題材にした作品が目を惹く。「春の雪」なんか、もろに三島由紀夫の世界だけど、少年と謎めいた美青年の関係を、直接的にではなくイメージ描写で表した表題作「ペダルに足が届く日」も良かった。

 作者は『ガロ』読者の中でも、とりわけ猟奇好き耽美好きな手合いに人気が高く、丸尾末広花輪和一とセットで語られる事が多かった。けど、丸尾くん・花輪くんの作風がそれぞれ独特のものであるように、吉田光彦の作品も両者とは全く別のもの。
 個人的には、この三者の中で最もイラストレーター(あるいは挿絵画家)的な性質が強いと思う。実際、マンガ作品の数は、決して多作とは言えない丸尾・花輪両氏と比べても少ないし。マンガとして描かれた作品も、中心となる一枚の絵を成立させるために、ストーリーや他のコマが存在してるような作品が多いような気がする。

 蔦谷喜一伊藤彦造高畠華宵などの先達へのオマージュから、はては林静一赤色エレジー』のパロディまで見受けられ、あえかなる世界を心ゆくまで堪能いたしました。 

[関連リンク]
■まんだらけ
■蔦谷喜一
■伊藤彦造
■高畠華宵
■赤色エレジー

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■吉田光彦
■三島由紀夫
■丸尾末広
■花輪和一
■林静一

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03年07月15日(火)
『少林サッカー』

少林サッカー
 おっどろいた。ここまで面白いとは思いもよらなかった。純粋に笑えるかどうかだけで言えば、今年観たe映画の中で一番笑った。あんまり映画観てて声立てて笑う事ってないんだけどね。

 ギャグの手法としては、カッコ悪さ・ダサさのおかしみ、ってのがほとんどなんだけど、そのダサさってのが、外国映画に出て来るいかがわしいカンフー中国人のイメージそのまま。外国人の視点で見た少林寺=中国人像を、中国の映画で逆にパロディ化してるところがスゴい。そう言えば、悪役として出て来るキャラが、ドーピングで強力なサッカー・チームを作るあたりも、陸上の馬軍団(だっけ?)とかでドーピングが取り沙汰される中国のスポーツ界を背景としている、のかも。わかんないけど。

 
*こっから派手にネタバレしますんで注意*


 この映画でいちばん感動したのが、主人公のセリフが突然ミュージカルっぽくなる場面。主人公の歌を聞いた通りすがりの男(いかにも素人臭くて、すげえイイ味出してんだわ)が「あなたの歌を聞いて思い出した。僕は本当は音楽家になりたかったんだ」つっていきなり歌いだし、さらにそこらのオッサンが「わしはダンサーになりたかったんだ」って踊り始めて、そのまま附近の群衆も加わってマイケル・ジャクソン風のダンス・シーンになだれ込んでくところ。あれは衝撃だった。笑うのを忘れて茫然とするくらい斬新だった。斬新?たぶん。

 あと、顔に痣がある太極拳のお饅頭屋さん・ムイちゃんを演じたヴィッキー・チャオ(趙薇)はカワイイねえ。途中からは、ほとんど主人公とムイのラブ・ストーリーだけに注目して観てた。それだけに、ムイとの恋愛パートが後半、お座なりにされたのが納得いかん。

 最後に、ひとつ心配なのは、この映画のラストを見ると、その内『少林ボウリング』とかの第2弾、第3弾が作られそうな気が・・・。

[関連リンク]
■趙薇

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03年07月16日(水)
矢崎良一『元・巨人』

 矢崎良一の『元・巨人』を読んだ。サブタイトルに「ジャイアンツを去るということ」と書かれてるように、日本のプロ野球会で特異かつ強大な勢力を持つ読売ジャイアンツから、他球団にトレードされた選手6人の胸の内を探るインタビュー集。つっても、個人的には巨人がどうこうって部分には興味なし。読売に関して言いたいのは、ヤクザまがいの勧誘やめろ、あとナベツネは死ねってそれだけ。

 読んでみようと思ったのは、インタビュー対象の6人中、実に5人が愛する大阪近鉄バファローズに移籍(小林繁は現役引退後、投手コーチとして就任)している点。っつーか、トレードし過ぎだよ、近鉄と巨人。去年のオフには吉川元浩中濱というイキのいい若手を、小野仁なんてどうしようもないヘボ投手と交換しちゃうし。永池は頑張ってるけどね。同郷って事もあって、期待の若手ナンバーワンだったのに、吉川。まあ、それはともかく。

 1人目は小林繁。江川の巨人入団を巡る騒動の際、犠牲となるような形で阪神にトレードされた経験を持つ。小林繁は近鉄の投手コーチ時代、異常なほどプライドが高いヤツだなと思ってたんだけど、どうも彼の数字として表れる結果に執着する傾向には、江川とのトレード騒動が影響を及ぼしてる気がしないでもない。

 2人目は、この本の中で唯一、近鉄と関係のない駒田。他の選手がトレードなのに対し、駒田はフリー・エージェント制度を利用して、自らチームを移った。その背景には、長島監督との相性があるようなんだけど、そのへんを濁そう濁そうとしつつ、隠しきれない不満が垣間見えるところが面白い。

 3人目の香田勲男は近鉄に移籍してから数年後、それまでの軟投派から突如、速球をびしびし投げ込む本格派に転向。ベテランながら中継ぎとして連投を重ねる姿は、燃え尽きる寸前の蝋燭の炎にも似て、近鉄ファンを感動させてくれた。近鉄の防御率が12球団ワースト1位になった年、監督から「香田がいなかったら、もっとひどい事になっていた」と考えようによっては、それってチームとしてどうなんだと言いたくなるような讃辞を受けたりもした。現在は投手コーチとして活躍中。

 吉岡雄二も、トレードによって開花した才能の代表として、まっ先に名前が挙がる選手。吉岡の非凡な能力は誰もが認めるところでありながら、トレードやらFAやらでビッグ・ネームをかき集める巨人では、落合やら清原やら長島一茂やらの影に隠れ、出場機会すら与えられずにいた。しかし、近鉄に移籍後はローズ・中村に続く強打者として、2001年のリーグ優勝にも大きく貢献した。何よりスタメンとしてゲームに出場する吉岡の姿が見られるようになったのが嬉しい。

 香田と吉岡に共通してるのは、古巣・巨人への未練やこだわりが、ほとんど感じられないところ。巨人ではどうだった、巨人はこんなチームだった、って事よりも、巨人を去ってから新しいチームで何をすべきか、何ができるのかを第一に考えているように思える。たぶん、それが両者が近鉄で実力を充分に発揮できた要因なんだろう。

 これと対照的なのが石毛博史大森剛の二人。
 石毛は巨人時代に最優秀救援投手に輝きながらも、持ち前のチキン・ハートで何度も試合をぶち壊し、終盤、石毛が出てくると相手のファンから大歓声が起こった、という選手。近鉄でもある程度、期待されてはいたけど、リリーフで出てきては四球を連発して自滅、ピンチを大ピンチに変える男として、一部のファンからは「鼻毛」「チン毛」「バカ」などの蔑称で呼ばれていた。去年、近鉄をめでたくクビになって、阪神かどっかに拾われたような気がする。
 それから大森なんてのは、個人的には鈴木啓示、有藤道世に並んで名前も聞きたくないくらい嫌いな選手。「ドラフト一位で巨人に指名されなければ、プロには入らない」と言い放ち、望み通り一位指名で巨人入り。ところが一軍では満足な成績を残せず、近鉄に移籍したものの、数試合出場しただけで肩の故障で二軍行き。そのまま現役を引退し、しかも引退直後に巨人の球団職員になるという、そしたらお前あれか、近鉄は巨人の天下り先かと、思い出すだけでも不愉快な野郎だった。

 インタビューを読んだ限りでは、石毛の場合、救いようがない程ふっきれない奴って印象を受ける。トレードから丸2年も経ってるのに、あんな形で放出されるなんてだの、毎年トレード候補に名前が挙がってプレッシャーがかかっただの、グチグチ女々しいったらない。これだけ気持ちの切り替えが下手では、いくら速い球が投げられてもストッパーは無理だろうな、と。
 そんで大森。こいつはただのバカです。ほんとにどうしょうもない。二言めには「流れが悪かった」「不運だった」「巡り合わせのせい」と見苦しい限り。オープン戦は好調だったのに、ちょうど調子が落ちてきた頃に開幕戦を迎え、しかも相手が苦手なピッチャーだったので開幕スタメンで結果が出せず、その年は使ってもらえませんでした。「いろんな面で『間が悪かった』としか言いようがないですね」って、お前の実力のせいだ、バカ!

 最後まで「いまだに『近鉄の大森』という実感はあまりないんです。まだ『ジャイアンツの大森』ってイメージを自分自身でもってしまっているんです」と語る大森と、「スタメンで続けて使ってもらえるように頑張ろうと思うし、『オレ、できるんじゃないかな』そう思ってます」と語る吉岡。この大き過ぎるギャップは、そのままプロ野球選手としての差、さらには人間的魅力の差にもつながっている。

ファルルリーナ

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■矢崎良一

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03年07月17日(木)
ティボール・フィッシャー『コレクター蒐集』

コレクター蒐集
 イギリス在住のハンガリー系作家、ティボール・フィッシャーの『コレクター蒐集』(東京創元社)を読んだ。
 
 主人公は何千年の昔から存在する骨董品の碗。彼(?)は時には壺、時には置き物と自在に姿形を変化させ、壊れても再生する能力を持っている。そして、自分をコレクションする人間を、皮肉な観察眼で分類しては蒐集するコレクターである。それがこの本のタイトル(原題は"collector collector")に通じているわけ。この設定、なんとなく藤枝静男の『田紳有楽』に通じるものがあると思いません?大根田さん。

 とりあえず、オレはあらすじを聞いて藤枝静男みたいとか思って読んでみたんだけど、いやいや、これがすんげえ面白かった。
 主人公の何万番目かの所有者となった骨董品鑑定人の女性・ローザには、手を触れた器物の持つ記憶を読み取る能力(サイコ・メトリーってのかね)がある。碗がローザに語って聞かせる沢山の奇々怪々な思い出話と、ローザの周囲で現在進行形で生じる同じくらい奇想天外な数々の事件が、無数のビーズをつなぎ合わせるように語られる。
 次々と披露されるぶっ飛んだエピソードに読者が幻惑されている内に、この物語の核となる一つのドラマがひっそり進行し、結末ではビーズの綾なす完成像が明らかにされる。

 物語の中の物語、いわゆる入れ子構造の小説は今となっては別段、珍しくもなくなっているけれど、この作品の場合、大きな物語の中に小さな物語が含まれているのではなく、小さな物語をつなぎ合わせて大きな物語が作られるという点が、かなり独創的。
 鉄割の公演と演目の関係性にも、似たようなところがあるけどね。鉄割の場合は、大きな物語の完成度を高める方向ではなく、一つ一つのお話を逸脱・飛躍させる方向に針がフレているかと。私見ですがね、あくまで。

 上質なジョークとユーモアだけで構築されたようなこの作品、小説では久々のヒットだった。かなりのオススメ。ただしシモがらみのジョークが多い、ってよりはむしろシモばっかりなので、そういうのが苦手な方は覚悟して読んで下さい。

[関連リンク]
■東京創元社

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■ティボール・フィッシャー
■藤枝静男

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03年07月18日(金)
稽古初日、あるいは、先輩にならって

 前のバイトを辞めてから約3週間。ようやく仕事を始めました。その内容ってのが、鉄割周辺でも数名、職務経験者のいる出会い系サイトのサクラ。
 最近ダンナにかまってもらえない寂しい人妻29才とか、仕事に疲れて癒しが欲しい27才の美容師やら、引っ込み思案な自分を変えたい19才学生など、複数の女の子キャラを使い分けてメールのやり取りをするんだけど、これが楽しくて仕方ない。自分で設定したキャラを使ってシミュレーションしてるような感じ。逆ときメモっつーか。まあ、最終目標はバーチャルな恋愛を楽しむのではなく、男から小銭を巻き上げる事なんだけど。
 いろんなキャラを演じてる内に、適当に考えた割とどうでもいいキャラと、お気に入りのキャラとに別れてきて、気に入ってるキャラ宛てにメールが入ると、やけに嬉しいんですよ。「あっ☆メールきた(はぁと)」みてぇな。ちょっとドキドキしてみたり。半日、妄想に耽ってりゃ時給がもらえて、おまけに性的倒錯願望も充たされるんだから、願ったり叶ったりのバイトもあったもんですわ。

 バイト終了後、鉄割の稽古。初日から大変な集まりの悪さ。勉蔵さんが新しく買ったデジカメで、何やら悪い事を企んでるのを見て、今回もデジカメ持って来るのを忘れた事に気づく。お客様がなかなか見られない稽古場風景をデジカメで撮ってHPにアップして、観客と役者の橋渡しをするのが、本来の稽古場日誌の役割だろうに。何を嬉しそうにサクラのバイトがどうしたとか書いてんだか。

 ところで、この日、田山さんがえらくフォーマルな服装だったので、肩を揉みながら「おっ、やけにめかしこんじゃって、デートかい?うしゃしゃしゃ」とスキンシップを試みたところ、迷惑そうに手を払いながら言うには、新しく始めた仕事の関係で堅めの服を着なきゃいけないとの事。なんでも、裕福なご家庭のお子さまを対象としたお受験用知育玩具の企画・開発をする仕事だとか。なんだかよく分からないけど、出会い系のサクラとは雲泥の差がある事だけは痛いほどよく分かる。しかもオフィスは代官山の近くだとか。オレの職場は新宿2丁目で、近くには"ラシントンホテル"とかいう名前からして怪しげな、ゲイの方達の発展場になってると思われる謎のビルがそびえてるようなところ。でも、よく聞いたら時給はいっしょだった。世の中とは何だろうか。

 今回もこんな調子で稽古場の赤裸々な有様をレポートしていきます。お楽しみに。

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03年07月19日(土)
WWE!

ロイヤルランブル
 PPVの試聴環境が整わないので、半年遅れで『WWE ロイヤル・ランブル』のDVDを借りてきた。ロイヤル・ランブルはWWEのPPVの中でも、とりわけお祭り的要素が強い大会で、メインは合計30人のレスラーが繰り広げるバトルロイヤルとなっている。

 けど、個人的にはこの大会、メインの前に行われたカート・アングルVS.クリス・ベノワに尽きると思う。他の試合がなくても、この一戦だけでも充分に金を払って観る価値がある。レスラーのギミックや、ストーリー上の因縁などのソープオペラ的要素、あるいは金網のてっぺんから飛び下りたり、血まみれになるまで殴り合ったりの体を張ったハード・バンプばかりが注目されがちなアメリカン・プロレスで、カートとベノワの二人は、純粋にレスリングの試合のみで観客を魅了し、熱狂させた。
 アメプロ界では珍しく、関節技(カートのアンクル・ホールド、ベノワのクリップラー・クロスフェイス)をフィニッシュ・ホールドとする両者が、互いの決め技を次々と切り替えしていく目まぐるしい攻防は、まさに圧巻の一言。体を反転させてアンクル・ホールドをほどこうとするベノワに対し、小憎らしいほど冷静に動きを封じ、足首を離さないカート。最後はグラウンド・ポジションで、胴締めも加えて足首を捻りあげると、ベノワは無念のタップ・アウト。ベルトを手にカートが去った後、リングに一人残ったベノワに対し、満場の観衆からの大喝采が送られると、通常、敗者には流さないベノワのテーマ曲が流れ出す。

 いやー、まさかWWE観て泣いちゃうとは思いませんでした。プロレス見て泣いたの自体、山田敏代と豊田真奈美の髪切りマッチや、ジャイアント馬場の骨折からの復帰試合以来だし。つくづく、この試合をリアルタイムで見られた人がうらやましい。

 そんなWWE、つい最近も、ちょっと凄い事をやらかしてくれました。ザック・ゴーウェンという片脚で義足の身体障害者レスラーがデビューする事になりまして、それだけでも結構スゴイんだけど、このレスラーの売り出し方が違う。まず悪の大ボスであるところのオーナー、ビンス・マクマホンがザックの入団に反対し、数々の嫌がらせを仕掛ける。一方、ビンスの実の娘であるステファニーはザックを擁護し、父と対立する。そして、ビンスはザックのWWEとの入団契約について、ある条件を提示。その条件とは、ステファニーとザックの二人でタッグを組み、身長215センチ・体重225キロの"大巨人"ビッグショーと戦って、勝てたら入団を許可する、というもの。条件を発表したビンスは毒々しい笑顔を浮かべて言い放つ。「これが本当のハンディキャップ・マッチだな!
 こんな試合をマッチ・メイクする方も凄いけど、義足を外した隻脚で見事なムーンサルト・プレスを決めるなど、期待以上の活躍を見せてくれたザックも凄かった。アメプロの奥深さを改めて感じ入りました、はい。

[関連リンク]
■KURT ANGLE
■CHRIS BENOIT
■BIG SHOW

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■WWE ロイヤル・ランブル

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03年07月20日(日)
『17歳のカルテ』

17歳のカルテ
 あまりにありきたりな反応で申し訳ないけど、アンジェリーナ・ジョリーが素晴らしい。そりゃアカデミー賞取るわ、ってか、これがアカデミー賞の基準になるんじゃないか、ってくらいの名演でした。あまりに良かったので別の出演作品も観ようかと思ったんだけど、この映画以外はロクな作品に出てないのな、この娘。

 一方、好演技という点では、ウィノナ・ライダーも負けていない。人と顔を合わせた時、反射的に浮かべる取り繕うような笑顔と、仲間達といっしょにいる時の活き活きした笑顔の使い別けが見事。

 まずい邦訳題のせいもあるんだろうけど、観る前はちょっとどうかな、と。いかにも青臭い自己憐憫に充ちた青年の主張やら、若い内はこんなもんだよね的な妙に高みに立った青春ドラマを見せられたら、たまったもんじゃねえなと。

 でも、この映画では、はじめは「誰もわたしを分かってくれない」という"17歳の苦悩"を背負っていたウィノナ・ライダーが、病院内での仲間との交流や、様々な体験を通じて、「わたしは誰の気持ちも分かってあげられない」という"大人の苦悩"を持つ事により、悩み迷いつつも成長していく姿が描かれており、そこが素晴らしかった。結局、悩みとか苦しみとか、答えの出ない疑問とか、そういう厄介なモロモロは別に「17歳」であろうがなかろうが、生きていく限りつきまとうものなんじゃないか。それはいみじくもウィノナ・ライダーの万引事件という形で立証されたわけだが。

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■アンジェリーナ・ジョリー
■ウィノナ・ライダー

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03年07月21日(月)
稽古2日目、および、蔦屋のCMを見たる事

 朝、出がけにつけておいたテレビで、鉄割メンバーが出演しているツタヤのCMを拝見。と言っても、田山さん以外の姿は確認できず。
 2日目の稽古場は、参加人数も少なく、ひっそりとした雰囲気。大根田さんが出演しない事になったのも大きな一因かと。4年前、アゴラ劇場で初めて鉄割(当時は極東オアシスロケット)を見た時、『ファッション通信網』という演目で、短パン・ランニング姿で花道を颯爽と歩く大根田さんに握手してもらって以来のファンとしては、なんとも寂しい限り。

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03年07月22日(火)
稽古3日目、はお休みしました

 バイトが残業となったため、稽古はお休み。
 深夜、怪しい不在着信あり。恐る恐るかけ直してみたところ、「フヂイロックのファン」を名乗る人物につながり、一方的に愛を打ち明けられる。一昔前に流行ったワン切り業者とかでなくて良かった。書いた文章に反応がもらえるのは、何にせよ嬉しい事であります。

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03年07月23日(水)
稽古4日目、ならびに、おめでとうモロスケさん

 いちばん嬉しい人からおめでとうメールをもらって、初めて思い出したんだけど、そう言えば本日は私の26回目の誕生日でした。伊藤園の「お〜いお茶 氷冷茶」についてるお茶犬マスコットを、自分へのプレゼントとする。ハーブ茶犬と、インドの紅茶犬・チャイがかわいい。

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■お茶犬

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03年07月24日(木)
稽古5日目、および、己が生命の早使い

 大屋さんのお知り合いが、某ミュージシャンのPVへのエキストラを募集していて、鉄割にも出演依頼が来たとの事で、携帯のデジカメで鉄割メンバーの顔写真を撮って、プロフィールを送る事に。人数合わせとして、一応、オレの写真も送っていただく。

 稽古終了後、所用あって新宿へ。駅で大きな荷物を抱えてウロウロしてる女の娘がいたので、荷物を持って道案内してあげる事に。神社の境内の中にある目的地に到着し、お礼に素敵な歌と踊りを見せていただいた、という現代のおとぎ話。

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03年07月25日(金)
稽古6日目、は休んで『ロード・オブ・ザ・リング』

ロード・オブ・ザ・リング
 稽古に行く前に、ぽすれんで借りた『ロード・オブ・ザ・リング』のDVDを観る。「二つの塔」でも「王の帰還」でもなく、いちばん最初のヤツ。オレは西暦2001年からタイムスリップしてきた人かってくらいの時代錯誤ぶりですが、ここ最近、映画観られなかったもんで許して下さい。

 で、その『ロード・オブ・ザ・リング』なんだけど、すごいねえ。面白いねえ。
 この作品、キャラクターがイイよね、とにかく。とりわけ