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藤井の鉄割稽古場日誌

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06年04月01日(土)
第2回赤富士会

 武蔵大の学生さんたちと江古田で飲み会。鉄割一同に声をかけてみたけど、エイプリル・フールだと思われたのか、参加者少なし。
 それでも、新社会人になる人たち、就職活動を始めた人たちの初々しい会話を聞きながら、また学生やりてえなぁなどと30近くなって思ってるようじゃ、いつまで経ってもまともな大人にはなれそうにないな、オレ。でも、絶対に大学時代より今のほうが色んな事を学べると思う。
 何にせよ彼・彼女らの将来に幸多かれ。

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06年04月02日(日)
うすバカ風俗マンガ3題

 風俗とか裏実話とか、そのへんをテーマにしたマンガを3冊続けて読んだんで、まとめてご紹介。

東陽片岡『うすバカ風俗伝』
 著者が自分の貯金をすり減らしてまで通い詰めた風俗(主に熟女ホテトル)の体験記。風俗サイトや雑誌なんかに載ってるような、お店紹介・女の子紹介的な実用マンガではなく、完全に作者の実体験に基づくエッセイマンガ。
 東陽片岡の昔の単行本で、給料出たら風俗に行くのだけを楽しみに労働してる場末の工員が、会社の経営苦を理由に給料の支払いを待ってくれと言われて、いきなり社長に殴りかかり、「普段あんなにおとなしい××さんが…」「よっぽど大事な支払いがあったのね」とか言われる作品があって、そういう風俗を題材にした創作モノをイメージしてたので、ちょっと肩透かし。でもこれはこれで、業と呼ぶにはあまりに薄ら間の抜けたダメっぷりが面白かった。

泉昌之『ダンドリくん BLACK』
 久住昌之泉晴紀のでマンガ・ユニットで、最もポップな代表作『ダンドリくん』が、ちょっとだけ髪型を変えて変なホクロをつけた新キャラ『ダンドリくんブラック』として、ヘルスやら出会い系やらを紹介する異色の裏情報マンガ。
 ひどいんだろうな、と思って読んでみたら、予想を遥かに上回るひどさで、こんなの読まなきゃよかった。最近、谷口ジローとのコンビや、実弟・久住卓也とのQBBで着実に領域を広げている久住昌之に対し、作画担当の泉晴紀のソロでの活動はイマイチ目立たないので、てっきり久住昌之は名前だけ貸した泉晴紀救済企画かと思ったら、ちゃんと久住さんが原作担当して、しかもそれなりに楽しんで描いてたらしい。
 『散歩もの』の谷口ジローが描く写実的な街並と、この本の人の顔が描いてあればあとは何でもいいや的なテキトーすぎる背景を見比べると、原作者は同じなのにここまで違うのか、ってそこだけ笑えた。

河井克夫『日本の実話』
 業界のマージナルな部分でひっそり独特の活動を続けるマンガ家・河井克夫が、エロ雑誌で細々と連載した作品集。風俗などで出会った、ちょっとヤバい人たちのお話しを集めた実話モノ。お話し自体のうさんくささと、河井克夫の投げやりにも見える不安定な絵柄が、絶妙に危ういバランスでマッチして、笑いと恐怖のスレスレのラインを保ったまま、どこにも着地しないのがとても面白い。今回の3冊の中では、これが一番好きかな。

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■東陽片岡
■泉昌之
■久住昌之
■泉晴紀
■谷口ジロー
■QBB
■河井克夫

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06年04月03日(月)
すっかりやる気がありませんので

 登録していた求人サイトから、正社員募集のスカウトメールが届いたので、面接だけ受けてみる事にした。今の職場の社員どもへの面当てに、これ見よがしにスーツ着込んで出社して、早退して面接先へ。始まって3分くらいで、お互いにああこりゃハズレだ、って空気が充満して、なんとも気まずい雰囲気に。後日の連絡で当然、非採用。武蔵大生の将来より自分の将来を案じたほうがいいぞ、オレ。
 それにしてもスーツって、たまに着込むと気分いいのね、あれ。今の職場の無能を佃煮にしたような社員連中が、スーツ来てるってだけの理由でバイトに偉そうなツラするのも分からないじゃない。

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06年04月04日(火)
須藤真澄『庭先案内』

須藤真澄『庭先案内』
 ここのところエッセイ・マンガのほうでの活躍が目立つ須藤真澄の、王道回帰なファンタジー作品集『庭先案内』。これはとても良いマンガだった。と言うか、読んだタイミングが良かった。
 アレやらコレやらで心が折れかかってたけど、ノスタルジアをテーマに、ユーモアをふんだんに散りばめたストーリーと、澄みわたるような描線のかわいさが、落ち込んだフリして不幸ぶってる自分を元気づけてくれました。記憶に焼きつけた思い出が、たとえそこに実在はしていなくても、いつもそばにいてくれるなら。
 それにしても、7話め「It's A Small World」のトビラ絵はキュート過ぎて悶え死にそうだ。

時計のない世界に行っちゃってるんなら
ばあちゃん ずうっと あんたのそばにいられる

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■須藤真澄

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06年04月13日(木)
アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』

アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』
 イギリスの女流作家アンジェラ・カーターの長編小説『夜ごとのサーカス』を読んだ。英国産マジック・リアリズムとの前評判通り、背中に翼を持つサーカスの空中ブランコ乗りの女をヒロインに、奇想天外だったりメロドラマチックだったりな物語を、すみずみまでパンパンに詰め込んだ1冊。物語好きのオレとしては、まさに大好物な小説でした。

 骨太なイマジネーションに裏打ちされたストーリーの随所に、女性的で繊細な感覚が溢れている。特に物語に登場する女性たちへの、やさしさともどかしさが込められた眼差しが印象深い。フェミニズム小説ってのとは違うんだろうけど、生きてゆく女性への讃歌として読んだ。

接触は、最初は不法な触れ合いや眼差しによって、つぎには不法なメモ書きによって、あるいは看守も囚人もともに文盲の場合には、あらゆる素材にあらゆる手段で描かれたもの、つまりは、紙がなければぼろ切れに、月経の血や体を傷つけての血、さらには排泄物で描かれたしるしによっておこなわれたーーーかくも長いあいだ否定されてきた女の肉体の体液は、この極限状態のなかでは、彼女たちにとって決して厭わしいものではなかった。

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■アンジェラ・カーター

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06年04月14日(金)
どこまでもいこう

 塩田明彦って監督の映画で『どこまでもいこう』ってのがあって。小学生男子の友情の物語なんだけど、大人の目で見たら何でもなさそうな、でも子供からしたら人生を左右するほどの一大事件を、おしつけがましくドラマチックに盛り上げたりしないで、あくまで何でもない日常として描いた愛すべき作品なんだけどね。
 その映画のラスト、主人公がほのかに恋する女の子が、彼に「ビスコ」をあげるのね。もう大好きなシーンでさあ。恋ってのはこういうものでいいんじゃないのか、と。
 
 よんどころなき事情で職場を去るおともだちから、食いかけのキシリトールガムといっしょに「ビスコ」をもらって、ひさしぶりにこの映画を思い出した。おともだちからは他にも、職場の同僚のために前日、午前3時までかかって焼いたというパウンドケーキ(美味しかった)ももらった。あとそれから、いろいろ大事にしまい込んだものをたくさん。もらってばっかでオレは、なにをあげることができて、なにをしてあげることができたんだろうね。
 ふつうじゃちょっと考えられないくらい盛大に開催されたお別れ会で、会が始まった途端に涙が止まらなくなったおともだちのために、場を盛り上げようと必死にがんばっている同僚、および、ただ単に空気が読めずにはしゃいでる同僚たちをよそに、ただ悲しいだけの空気頭のオレは一人で勝手にしんみりして、結局、励ますこともお礼を言うことも、なにもしてあげれなかった。どんなにその人のことを強く思っていても、具体的に何かしてあげる事ができなきゃ意味ねえよこの唐変木、と。よりによって、おともだちの送別会で自虐的になってるバカがどこにいますか、ここにいます、つって、もうお話しにならない。
 でもね、それでも、くそ甘ったれた願いではありますが、響き合う鐘のように思いは共鳴し伝わるのだ、と。オレはそう信じているので。だからどこまでも行けるし、どこへ行っても会いに行けるんだよ。

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06年04月15日(土)
秋葉原ノイズ祭り

 秋葉原のクラブ・グッドマンにライブを観に行った。なんつうかもう、出演バンドが豪華過ぎて気が触れそう。

 まず、にせんねんもんだい。大好き。ギリギリに張りつめた緊迫感が常に漂う女の子3人組のインスト・バンド。この日も体全体で叩きまくるドラマーが素晴らしかった。相当激しい演奏ながら、決して力任せではなく、どこか繊細さが同居してるところがとても良い。

 続いてRON RUINS。名前だけは何度も耳にしていたカルト・バンドRUINSのドラマー・吉田達也が、ギタリストのRON ANDERSONとともに始めたユニット。もう一人のメンバーは、RON ANDERSONの現在のバンドPAKに在籍するベーシストのJESSE KRAKOW。
 ともかく3人とも演奏のテクが半端じゃない。しかも変に難解ぶったところがなく、3人とも終始ニコニコと楽しそうに、超絶プログレ・サウンドを当たり前な顔してプレイしてるのがスゴい。日米の良い年した親父どもが声を揃えて「ケツノアナー!」「ケツノアナー!」と叫んでる光景は、微笑ましくも感動的だった。3曲目くらいに、フランス語のMCの後にやった曲が特にカッコよかったな。

 3番めはAMAZON SALIVA。この人たちだけ知らなかった。けどよく調べたら、この日のイベント自体が、AMAZON SALIVAプレゼンツだったらしい。どうやら以前、非常階段のJOJO広重と同じバンドをやってたことがあるようで。
 ドラムセットをギター・ベースと同じラインにセットして、3人が横一線に並んだ編成で演奏スタート。メンバーの見た目からすると、けっこうな年齢っぽいけど、サウンド自体はギター・エフェクトを多用したりと割合イマっぽい。ただ、ボーカルが入ってくると、たちまちモッチャリしてしまうのが個人的にイマイチ。でも客席の盛り上がりっぷりは相当なものがあったので、このへんは個人の趣味によるだろうけど。なんつうか暑苦しいくらいエネルギッシュなバンドでありました。

 そしてオレの目玉バンド・あぶらだこ登場!RON RUINSの吉田達也は、あぶらだこの「木盤」でドラムを担当してたというつながりもある。トリ前での登場のせいか、この日は1曲目からボーカルの長谷川ヒロトモが曲に参加。のっけから篳篥(ひちりき)パフォーマンスが炸裂。この日はかなり篳篥を使う曲が多かった気がする。
 ラッシュ時の山手線並みに混み合った客席で、しんどい思いをしながら聴いてたので、完全に曲の世界にハマり込む前に終わってしまった感あり。最後の曲が終わるや否や、メンバー全員がものすごい勢いで引き上げていった。

 最後は噂だけは聞いていたノイズ界の大御所・非常階段。たとえばEinsturzende Neubautenのように、やはりノイズみたいな特殊な音楽を長年やってる人たちだから、きっと今は洗練された前衛芸術的なパフォーマンスをやるのかなと思ってたらば、いやいや、オレの大間違い。無知って怖いね。もうひたすら、初期衝動のみで勢い任せでデカい音出して騒ぎ狂い倒す、ただそれだけ、知性ゼロでファナティックなティーンエイジ・ライオットでありました。最後のほうなんか、デブの客がダイブしたりしてて、ほんとにただの馬鹿騒ぎ大会になってた。

 舞台全体を覆うようなスモークの中、ドラマーがとんでもない勢いで怒濤の乱打を開始。そのまま一瞬も休む事なく、30分ほどの演奏中、ひたすら叩いて叩いて叩きまくっていた。紅一点の女性ボーカルが金切り声でなにごとかを叫んでいる。これまた一瞬も途切れる事なく、最初から最後まで直立不動で叫び続けていた。あのノドは一体どうなってるんだろ。どう見てもヤクザにしか見えないJOJO広重はギターを持っているが、ちゃんと弾いてるのかどうかは分からない。しきりに何かをまくしたてているが、声はほとんど聴こえない。ステージの左右に小太りな男性メンバー(近くにいた人の話だと、メルツバウの人、らしい)が二人、なにやらノイズ発生装置らしいものをいじって爆音を炸裂させているけど、客席の後ろのほうからはよく見えない。

 なんだろうなあ、これは。不満と憤懣と性欲とあれやらこれやらドロドロのグチョグチョが詰まった10代のクソガキの頭をかち割って中身をブチまけたようなパフォーマンスだった。これ、幼い頃に観ていたら世界観が一変していたかも。ただひたすら圧倒されるくらい衝撃的ではあったし、こんなことを何十年もやり続けるような筋金入りのキチガイは尊敬するしかないけれども、でもさ、「永遠に続く10代」なんて悪夢以外のなにものでもないじゃないですか。いや、まさに非常階段とは悪夢そのものであるのかもしれないけど。

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06年04月17日(月)
半分生きる 〜ドジっこ三姉妹〜

 金曜夜のお別れ会の涙も、土曜夜のノイズライブの耳鳴りも治まりきらないまま、ただ時間だけは流れて月曜日。
 出社早々、隣の席で、盛大なお別れ会の幹事を務めた立役者(ドジっこ次女)が、金曜日にやっておかなければいけない仕事をやり忘れていたとヘコんでいた。さらに反対隣の子(ドジっこ三女)が金曜日に作業ミスをしでかしていた事が発覚し、ミスの後始末だけは天才的に上手なオレが事後処理のやりかたを教えていたら、自分(ドジっこ長女)も全く同じミスをやらかしていた事に気づく。
 まあほら、金曜日は会社の業務よりずっと大事なことがあったから、仕事よりそっち優先だったから、と三人そろって反省ゼロ。社員は冷ややかな目で見ている。でも、気にしません。

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06年04月18日(火)
半分生きる 〜児玉事件〜

 バイト先でウザい奴と言えば、いつもこの駄文を読んでくれてる方にはすっかりお馴染みの社員・O田、であったのですが。最近、O田をはるかに上回る新キャラが登場。
 なにしろO田と違って、こんなウザいことをやりました、こんなバカな発言がありました、ってエピソードを紹介することもできないくらいで、とにかく実物を見てもらわないと、あのキモさヤバさは伝わらない。一部では「精神病」とか「知能障害者」と呼ばれてるけど、それはあまりにも精神病の方々、障害をお持ちの方々に失礼。まあとにかく、筆舌に尽くしがたいバカだと思って下さい。

 で、仮に金玉君と呼びますが、その金玉、先週金曜のお別れ会を部署内でただ一人欠席して、会社のボーリング大会に参加したわけですよ。そういう空気の読めなさはいいとして、むしろ欠席してくれたほうがある意味、空気が読めてるってくらいなんだけど、本日、珍獣クロちゃんがお別れ会の時に撮影した写真をCD-ROMに焼いてくるから、と希望者を募集してたわけです。そしたら金玉が「僕もほしいです」とか言い出して、なんで来てなかったお前が写真ほしがるんだ、と。
 かわいい次女と三女もすっかりおびえてしまい、あいつに自分の写真を見られると思うと気持悪い、と泣き顔で言うので、三姉妹を代表して「あいつには写真あげないでね」とクロちゃんに釘を刺しておきました。
 それにしても謎なのは、この会社の採用基準。社員は無能なのにかぎって出世するし、バイトは変人ぞろいだし。特にオレがいる部署周辺なんて、以前は放し飼いの動物園レベルだったのが、もはや深海魚だらけの水族館みたいになってるぞ。まあ、オレも別部署の人たちからは、サッコファリンクスみたいに思われてるんだろうけど。

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06年04月19日(水)
半分生きる 〜ドジの食卓〜

 毎日うすらボンヤリと半分だけ生きながら、いつものように近所の大学の学食へ、昼飯を食いに出かけました。たまには豪勢にはりこんでみるか、とメニューで一番高価な日替わり特別定食(490円)のヒレカツ重を注文。添え物の冷奴にしょうゆをかけようとして、このドジはドジだから、間違ってソースをかけた。それもウスターではなく中濃ソース。しかも、出の悪いしょうゆ差しだなあ、とか思いながら何度も振ってたっぷりかけた。
 しかし何よりショックだったのは、こんな植田まさしの4コマみたいなトホホ体験談ではなく、ソースのかかった豆腐を、意外と違和感なく食べきった自分の味覚障害っぷりに対してでありました。
 さらに夜、肉野菜炒めを食べるつもりで入った定食屋で、メニューを見て急に気が変わり味噌カツ定食を注文。食べ始めてしばらくしてから、昼間もカツだったことを思い出した。もう、ドジとかそういうレベルから離れつつある気もする。

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06年04月20日(木)
半分生きる 〜時には親のある子のように〜

 仕事中、隣の席の子がどうしてもオレに言いたかった話があるというので、奥さんと別れて私と結婚してとでも言われるのかと、どうしようオレ独身なのにと思ってたら、カラオケでカルメン・マキの『時には母のない子のように』を歌ったら、映像でカルメン・マキ本人と一瞬だけだが寺山修司らしき人が映った、との内容だった。
 で、その子はふだん東野なんとか原作のテレビドラマの話とかを熱く語ってる子なので、なんでまたカルメン・マキなんて渋いところを好んで聴くのか前から疑問だったのだけど、どうやらご両親が美大出身で、あのへんの70年代アングラ文化に通じているらしい。なんでも子供の頃から70年代フォークばかり聴かされて育ち、青森出身の母親の故郷へ行くと、いつも寺山修司記念館に連れて行かれたりしたそうな。
 そんな話からなんとなくお互いの家族の話題になって、会話の後、しばらくしてから「やっぱりフヂイくんにも親っているんだね」と、しみじみ言われた。なんかオレが家族や親の話をしてるのに違和感があったらしい。オレも話しながら違和感おぼえてました。

 それはともかくとして、こういう文化的な家庭環境って、とてもうらやましい。同じ職場だけでも、夕鶴ちゃんはマンガ好きのご家庭で、子供の頃から本やマンガに囲まれていたそうだし、珍獣クロちゃんにいたっては、みうらじゅんといとうせいこうのスライドショーのDVDを貸してあげたら「お母さんが喜んでました」と言われて驚いた。両親がみうらじゅんとか好きなんですよ〜、と言ってたけど、まだハタチのクロちゃんのご両親は宝島世代なのかもしれない。鉄割の皆さんにしても、由緒正しい文化的血筋だったり、問題のある家族だったり、由緒正しい問題のある家族だったりするし。
 それにひきかえオレの場合、そろって学校教師の両親が「読書は偉い」という単純な価値観で、子供が読んでる本の内容にまでは無関心だったため、野放しで本を読んでたら、いつの間にか江戸川乱歩を皮切りに怪奇と幻想とエログロ猟奇の世界にのめりこみ、生まれは群馬、育ちは人外境、フリークな奴はだいたい友達、っていうか友達がだいたいフリークス、になってしまったのです。
 そんでオレの親ってのが、いかにも田舎教師らしく、自分はインテリだと思い込んでるくせに、文化的なセンスや美意識ってものをまるで持ち合わせず、愛読書は「ハイネ詩集」と臆面もなく答えながら「森雄二とサザンクロス」だか何だかのムード歌謡を愛聴する父親と、朝日新聞的モラルのかたまりで「谷崎潤一郎の小説はいやらしいから嫌い」などと平気で言う(こいつ国語教師ですよ)チョー・ヨンピル好きの母親。そして、豚と猿のアイノコとして生まれた畸形の鬼っ子、それがオレだ。背中は生臭いウロコでびっしり。生きたニワトリを頭からかじる。こんな私でごめんなさい。

 家族について語ると、どうしてもこんな風になっちゃうんだよな。

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06年04月21日(金)
コヨーテ・アグリー・カムバック!

 ついについに、kiiiiiiiの待望のDVDが発売!てことで、これを祝して六本木のバーTRAUMARISで、発売記念イベントが開かれました。
 自転車で会場に駆けつけると、店内はまだお客が少なく、松島さん、シマリス、指紋くん、カミオ君、ナコブちゃんといった、いつもの顔ぶれとしばしご歓談。出演者も会場もよく知った面々なだけに、大変くつろいだ雰囲気の漂うホームパーティ風なイベント。

 で、まずはkiiiiiiiのご挨拶があって、この日が初お披露目のDVDを上映。上映中からだんだんお客も増えてきて、広くない店内はぎっしり満員。
 それにしてもこのDVD、じっくりプランを温め続けてただけあって、想像を遥かに上回る素晴らしい出来映えでした。kiiiiiiiのHPで通販もやってるので、とにかく手に入れて観てもらうしかないのだけど、ポップでキュートでストレンジなアイディア満載で、単なるPV集やライブ映像集では終わらせないぞ!という意気込みが見事に成功してる。
 それはいいとして、上映中に事前にDVDを観ていた戌井さんが、「フヂイ君が映るよ!ほら映った!」「いま映ってる!」と騒ぐので恥ずかしかった。

 続いて弟くんのクラシック講義。なぜかパンツ一丁で登場した弟くん、バーのカウンター上に正座して得々とクラシックについて語りだす。途中、言葉に詰まると、場内から「がんばれー」の声が飛んだりして、やっぱりアットホームなパーティで良い感じ。
 最後はいい加減グダグダになってきたところで、戌井さんからの指示通りにパントマイムをやらされるインプロビゼーション演目「バカのタレ」に自然と移行。よけいグダグダになって終了。

 お次はkiiiiiiiの出番。カウンターの上に乗って、中腰になった窮屈な姿勢で無理やりライブを繰り広げるkiiiiiiiの2人と、身を寄せ合って体育座りした窮屈な姿勢で見守る観客。ドラムなしでのライブとはいえ、DJ codomo改めPA codomoくんの流す音源に合わせてのパフォーマンスがあったりと、豊富な発想で単純なライブに終わらせないのが流石。"We Are The BAD"で、カウンターも砕けよとばかりに、えらい勢いで足を踏み鳴らすLakin'に感動した。
 せっかくデジカメを持ってきてたのに、バッグに入れっぱなしで撮影ができなかったのがかえすがえすも残念。身を屈めたまま、わざわざ自分を苦しい状態に追い込んだ上で必死のライブを行う姿は、実際に観ないとあの面白さ、カッコよさは伝わらないと思う。

 そして今度は戌井さんと清田くんfrom The Backdropsのアコースティック・ライブ。kiiiiiiiのライブ中に、「小学生の頃、注射を受ける前くらい緊張してる」と心細い事を言ってた戌井さんでしたが、本番になると清田くんの当意即妙なパーカッションとも相まって、カフェ・ムリウイの時と同様、素敵な演奏でありました。
 途中、ムリウイを観たお客さんから「田宮二郎」コールが湧きあがる場面も。でも自分の周りだけでも、田宮二郎が誰のことなのか知らない人が意外に多くて驚いた。逆に田宮二郎を知らない人にとって、あの曲がどう受け止められてるのかは想像するしかないけど、たぶんまるで意味の分からないシュールの極地みたいに聴こえてるんだろうな。まあ、田宮二郎を知ってても充分すぎるほど意味不明でシュール極まりないけど。

 たっぷり行なわれた戌井&清田ライブが終わった時点で、すでに時計は23時を回っていたため、ほとんどのお客さんは新婚ユニット「クズモ」のライブ・ペインティングを待たずに帰った模様。それだけに、なおも店内に残ったのが強者ぞろいで、キチガイの巣窟みたいになってしまったトラウマリスで、明け方まで延々と繰り広げられた乱痴気騒ぎは、とてもとても楽しかった。
 喉が痛くなるまでしゃべって、笑って、たまに睡魔に負けてみたりしながら朝まで遊ぶ、こういうのが生きるって事なんじゃないかと思ってみたりした。

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06年04月30日(日)
地下的音楽@新宿Red Cloth

 いまやkiiiiiiiの常ハコとなった感のある新宿紅布。ここでやる時はいつも対バンが個性的な人たちばかりなので、なるべくkiiiiiiiだけじゃなく、イベント全部を観るように心がけてる。
 特に今回は以前、kiiiiiiiとニーハオ!が対バンした時に共演し、他の2バンドとはまた別の次元ですごいインパクトを残してくれたベリーダンス集団「キャラバンテント」が出演。さらにkiiiiiiiのサイトに「まともなバンドは一つも出ません」と書いてあったので、相当な事になりそうだと期待を胸に会場へ。

 最初のバンドはザ・マダム・キャッツ。意外なほど音圧の高いドラムとともに、ステージ前のシャッターが上がると、全員女性の4人組で、ビジュアル的には70年代ディスコ風というか何というか。ベッキーをケバく丸くした感じ(でもEvanescenceには似てない)のボーカルが、寂しい客入りのフロアーに降りて転げ回ったりしながら、ハイテンションで煽りまくる。
 第一印象で引きかけたけど、強引なくらい力づくのライブに最後はすっかり魅せられました。なんだろ、ゲイバーのショウタイム的なと言うか、いろんなものを捨てた人間にしか出せない説得力に満ちたパフォーマンス。カッコよかった。

 2組めはアコる・デ・ノンノンさん。ドラッグクイーン風な衣装で、オペラやシャンソンをアコーディオンで弾き語りながら、タップダンスなんかも披露する異色のミュージシャン。この方だけソロでの登場で、MCでも「バンドを見ると『仲間』っていいなーと思いました」と語っていた。kiiiiiiiによると楽屋でも同じ事を言ってたらしいので、本当にそう思ったんでしょうね。外見とは裏腹な妙にたどたどしい口調の、いっぱいいっぱいなMCが大変かわいらしかった。
 ちなみに今日の出演者は、みんな「楽屋だととても腰が低くて良い人なのに、ステージに出るとあんな風になっちゃう」人たちだったそうです。まさにkiiiiiiiの対バンにうってつけな。さすがレッドクロス。

 そして3組めにキャラバンテント。前回かなり衝撃を受けたボイス・パフォーマンス担当の人がいなかったのと、前みたいに観客が演奏時に体育座りしなかったのが残念だったけど、今回も出演者のお子さんたちの歓声と泣き声が飛び交うステージで、異界的ムードもりだくさん。

 よく分かんないイベントのトリを務めるのはもちろんkiiiiiii。しかし、ここまでインパクトの強い出演者が続いた後で、kiiiiiiiはどうするんだろと思っていたら、舞台上でケータリングのピザを喰い始めた。kiiiiiiiまですっかりよく分からなくなってしまい、とても良いことだと思った。
 よく分からないと言えば、今回がたしか2度目の演奏となる新曲"Everyday Is Summer Holiday"に、野球のまねごとから、ホームラン!ホームラン!と叫んでそこらじゅうを飛び跳ね回るという前フリが追加されていた。曲のほうも、前回は秒殺バージョンだったけど、今回はフル・レングスでしっかり堪能。Lakin'のストレートなドラムと、振幅の激しい転調がカッコいい。あと数回やれば、かなり良くなりそうな印象。
 ただ、今日のkiiiiiiiはパフォーマンス自体は良かったけど、音響のせいなのか、ボーカルもキーボードも高音部がキンキン響いてて、ちょっと聴きづらかったのが残念。

 終演後、kiiiiiii、指紋くん、デイヴィッドと連れ立ち、ニャンママさんにごちそうになりました。充実の一日。

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