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藤井の鉄割稽古場日誌

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07年05月01日(火)
MELT-BANANA@秋葉原GOODMAN

 秋葉原にとろけるバナナを観に行く。駅を出て会場へ向かう途中、黒のパーカーを着たカッコいい女性が前を歩いてて、もしやと思ったらやっぱりMelt-Bananaのボーカルだった。ふだんから厚底スニーカーはいてるんだなぁ、ステージ用のとは別の。
 で、会場の中に入ると、入ってすぐの物販スペースのところで、Melt-Bananaのベースの女性がコンビニで売ってるカップ入りスープパスタを食べていらした。なんて気取らないバンドなんだ。ステキ。

 場内でアナンくんと合流。メルトバナナの出演バンドは、mizm(←オープニングアクト)、CLISMS、nhhmbass、ヨルズインザスカイ、shiftという面々。

 ひさしぶりに観たCLISMSは、ここ何回かのライブと比べるとちょっとおとなしくなってて、初めて観た時のイメージに近くなってた。ヤバいほうのドラムの人が「東京でいちばんエモなバンドのCLISMSです」みたいなことを言ってたけど、形だけのエモ系バンドならともかく、本当にエモーショナルな音楽をやってるからこそ、そういうことは言わないでほしかった。エモの名にふさわしいのはただ一人、本当にエモと呼んでいいのは、元・スポーツ平和党のエモやんだけだろうが!ベンチがアホやから野球がでけへん。
 ずっと前、美輪明宏がインタビューで、江戸川乱歩の原作は何度も映像化されているが、明智小五郎のイメージ通りの役者はいない、と言っててそこまでは同意できたんだけど、その後「私のイメージでは明智探偵役にはプロ野球の江本孟紀がいいと思う」と続けていて、このオカマ頭おかしいんじゃねえかと思った。美輪さんの業績やカリスマ性は認めるけれど、この人の見識を全て鵜呑みにするのはとても危険だと強く感じた。それから幾時代かがありまして、今やってんのが、『オーラの泉』ですよ。あんな番組よろこんで見てるヤツは死ね。なんの話だったっけ。

 次はネハンベース。特に興味があるわけでもないのに、もう5〜6回観てる。あいかわらず興味がわかない。
 大阪のバンド、ヨルズインザスカイは今日が初見。ダンサブルなハードコア・サウンドに、男性ボーカルがひっくり返った裏声で歌うという、melt-bananaプラスThe Blood Blothers風なイメージのバンド。悪くないけど、全体的に曲が一本調子で起伏に乏しいのが惜しい印象。マイクスタンドの前で両手をブラブラさせたまま激しく体を動かして歌うボーカル・スタイルが個性的だったけど。

 そんでトリの1コ前にMelt-Bananaが登場!ボーカルがサンプラーを使用していた。普通のパッド式のサンプラーに、もわもわしたファーが飾り付けしてあってカワイイ。リリースされたばかりの新アルバム"Bambi's Dilemma"のタイトルやジャケットといい、キュート路線なのか、メルトバナナ。
 この日も1曲目は超絶名曲"shield your eyes..."から。最初の一音からいきなり強制的にテンション上昇。モッシュピットのぎりぎり手前くらいで観賞。ニューアルバムからの曲が多かったようで、聴き慣れない曲もあったけど、そんなことは関係なく盛り上がった。新しいアルバムは、わりとメロディに力を入れた仕上がりなのかな。
 珍しくMCもたっぷりめで、新アルバムのタイトルに関してUSツアー中に鹿を車でひいた話などを披露してくれた。アンコールは"Teeny Shiny"から"Free The Bee"。

 はじめてMelt-Bananaを観たアナンくんも、いたく感動した様子。ライブ後の定番コースになりつつある「おはち」で夕飯を食べながら、メルトバナナのライブの凄さを語り合ったのでした。

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■Melt-Banana
■The Blood Blothers

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07年05月02日(水)
一條裕子『貂の家』

一條裕子『貂の家』
 我が道を行くマンガ家・一條裕子の最新刊『貂の家』を読んだ。ずっと前から発売予告されてる『金子の部屋』がいまだに刊行されず、こちらが先に発売されてしまった。まあ、この人の作品が読めさえすればそれでいいんだけど。

 人間に飼われていたことが自慢の貂(イタチの仲間の小動物)の家族が、妖術を使って人間のような「文化的生活」を営もうとする、設定からしてシュールなコメディ・マンガ。

 この人は作品ごとに絵柄を微妙に変える傾向があるけど、これは随分とかわいらしいタッチで、そのせいか作品内のギャグもやや甘めの印象。はじめの内は、ちょっと物足りなさを感じていたけど、途中から当初のコンセプトから外れたところで、作品の世界がどんどん勝手に膨らみ始めて面白くなってくる。むりやり童話風にオチをつけた結末も、馬鹿馬鹿しいと思いつつも、ついつい胸が熱くなったり。
 もっと高く評価されていいマンガ家だと思うんだけどなあ。

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■一條裕子

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07年05月03日(木)
フジQハイランダーズ 自転車編

ビアンキ 昨年、富士急ハイランドに遊びに行った仲間が再結集して、今度はサイクリングにお出かけ。ただし、アメリカを自転車で股にかけてきた大根田さんは「お前らごとき素人のサイクリングといっしょにするな」と参加せず。松島さんも「自転車に乗りながらだとイカ焼きが食べにくいから」と不参加。戌井、きりん、チキン、スパイ、山田に自分の計6名でお出かけ。

 渋谷のNHK前で待ち合わせて、代々木公園を通って信濃町方面へ。公明な、いや、高名な於岩稲荷にお参りして、九段の靖国神社へ。
 折しも建国記念日だかなんだかで、物騒な文字を羅列した街宣車やら、軍服を着込んだジジイやらがウヨウヨいて、いつもは靖国好きの戌井さんも、今日は本気っぽい人が多いから…と及び腰。
 軍服の爺さんを見ながら、右翼=制服好き、左翼=制服嫌いと考えれば、秋葉系の連中にネット右翼が増えてるのも納得がいくと思った。コスプレなんだな、あれは。制服だろうが私服だろうが、似合うものを着ればいいじゃない。肯定するにせよ否定するにせよ、ファッションにイデオロギーを持ち込む人間とは仲良くなりたくない。ついでに、読む本や聴く音楽など、ライフスタイルをファッションとして選択する人間とも仲良くなれないな。

 靖国を早々に辞去して、神保町界隈へ。戌井さんオススメの近江屋洋菓子店というケーキ屋さんへ。ここのドリンクバーは、600円ちょっとでフルーツジュース各種にコーヒー、紅茶、ホットチョコ、さらにはなぜかボルシチまで自由に飲み食いできる不思議なお店。ビルの1階を贅沢に使った天井の高い店内は、どこかレトロ・クラシックな香りが漂っておりました。

 へてから靖国通りを隅田川方面にひた走る。両国から深川へ向かい、閻魔堂の地獄絵に見入る。
 八幡神社をお詣りしてから、横綱を祀った大きな石碑を見物して、甘味処でひと休み。くずもちやあべかわ、団子などで一息つく中、スパイだけはサバの味噌煮定食を食べていた。しかしこうやって改めて思い起こすと、寺社仏閣めぐりの旅だったんですね。バカな話ばっかりしてて気づかなかった。

横綱之碑


 日も暮れ始めるころ、深川を後にして浅草へ。浅草寺から花屋敷の裏側を抜けて、お好み焼き屋さんに入る。ここのお好み焼きは、生地にパン粉を振りかけられるようになっていて、こうするとカリッとクリスピーなできあがりになるらしい。斬新。
 途中、仕事を終えた村上くんが神楽坂からやって来る。村上くん、どうやら仕事に追われてそうとう疲れがたまっているようで、それほど飲んだわけでもないのに完全に酔いつぶれ、便所で眠ったまま出てこなくて困った。先日の萩原くんといい、大丈夫なんだろうか、バックドロップス。ワンマン・ライブは6月29日、下北沢Daisy Bar。

 鉄割の男子メンバーと自転車で出かけると、馬の尻に蠅が飛び込んだような無茶なペースで飛ばしたがるので疲れるけれど、この日はゆったり、のんびりとサイクリングを楽しみました。

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07年05月04日(金)
花輪和一『不成仏霊童女』2

花輪和一『不成仏霊童女』2
 花輪和一の新刊は傑作『不成仏霊童女』の続巻。ってか、前巻で完結したのかと思ってた。ちょっとビックリするくらい荒れた表紙の絵を見て不安をおぼえた通り、前巻と比べるとだいぶ落ちる。うーん、この続刊は蛇足だったような。

 おそらく花輪和一は精神的なものを注入しないと作品が描けない人だと思うので、ストーリーの収拾をつける段になると、とたんにモチベーションが落ちてしまうのかもしれない。いっそ国枝史郎ばりに、代表作は全部未完のまま飛ばせるところまで飛ばして書いてしまえばいいのに。

 むしろ併録の10年以上前に描かれた短編のほうが、中世日本の異界と直接感応するかのような奇妙なリアリティがあって良かった。とりわけ『うさぎ橋』は、これを読む者はかならず背筋を正さずにはいられないだろう一作。

極楽に行っても
誰もとがめたり
しないのに・・・
(『不成仏霊童女』)

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■花輪和一

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07年05月05日(土)
池袋パーリー

 今日は楽しい職場日記ですよ。
 千川在住のオレ、要町の巨匠、大山で実家暮らしのオシャレどMと、池袋近辺に住まう3人がそろって休日出勤ってことで、終業後、池袋にて飲み会をひらく。ゴールデン・ウィークに入ってから、1日おきで人と遊んでるな、オレ。どうしちゃったんだろ。

 ふだん仲良くしていただいてる方達は、新宿以北はドン百姓と狸のすみかだと思ってるらしく、池袋で人と遊ぶ機会が滅多にないだけに、うれしい催し。なんだかんだで、池袋の田舎臭さや何もなさが気に入ってるし。ブクロ、最高!石田衣良、最低!

 オシャレどMが大学の後輩だったことが判明し、会場もあの大学の学生なら誰でも1度は行ってるお店に決定。同じ大学と言っても、彼は勉強しないバカぞろいで有名な学科の出身で、この時点でオフィス内での上下関係も決定。しかもその学科、ゼミもなければ卒論もなかったのだとか。噂以上に勉強しない学科だったらしい。
 楽しく飲み食いしてたら、23時で閉店。このへんの夜の早さが池袋らしいところ。もっと話してたかったけど、明日も仕事なのでおとなしく帰ることに。前回に続き、電車で帰りたがるオシャレどM後輩を説き伏せ、3人で歩いて帰宅。ついでにコンビニでアイスをおごらせたりして、ひでえ先輩だな、いま思うと。

 要町で2人とお別れした後、隣駅の千川に向かっていたはずが、なぜか道に迷っていつの間にか環7に出ていたのはバチでもあたったのか。
 とりあえず、どうやら自分が千川より一つ先の駅・小竹向原あたりにいるらしいことだけは分かったので、ここからはもう安心と思っていたら、再び道に迷って気づいたらまた環7に戻っていた。新宿以北には本当に狸が出るらしい。

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07年05月06日(日)
『ヴァージニア・ウルフ短編集』

『ヴァージニア・ウルフ短編集』
 めったに読まない本を読んでみよう、ということでヴァージニア・ウルフの短編集なんかを手にとってみた。編・訳が西崎憲さんだったってこともあるのだけど、いやあ、無理して興味のない作家を読んでも辛いだけだと思い知りました。

 V.ウルフと言えば「意識の流れ」という手法の旗手なだけあり、プロットのない観念的な作品が多く、お話し好きのオレとしてはキツいものがあった。

 中では、ある夫婦が幸福な新婚生活からやがて破局に至るまでを、妻の脳内に生きる想像上のうさぎと重ね合わせた『ラピンとラピノヴァ』、石の蒐集にとりつかれた男の顛末を描く『堅固な対象』あたりは、ちょっと奇妙な味といったおもむきで面白かった。でも、明らかにこのへんは作者の本領域ではないしなあ。

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■ヴァージニア・ウルフ
■西崎憲

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07年05月07日(月)
大越孝太郎『猟奇刑事マルサイ』

大越孝太郎『猟奇刑事マルサイ』
 ガロ系マンガ家の中でも、とりわけ探偵小説的なエログロ猟奇色を直截的に描いてきた大越孝太郎の最新作。

 発表媒体がエロ本の『ニャンニャン倶楽部』なだけあって、規制なんて糞くらえとばかりにエログロの限りを尽くしている。けどねえ、やりたいことを自由にやっている爽快さよりは、むしろエログロであることに縛られた自家中毒的な息苦しさしか感じられなかった。
 なんかねえ、こういうのはエスカレートするうちに、過激であることだけが目的にすり替わってしまうわけですよ。メタル系のミュージシャンが、音楽性より速弾きのスピードに執着したり、グラビアアイドルが見た目のかわいさよりも、ただ乳が何センチでカップ数がいくつかだけが売りになったり、プロレスが試合の展開そのものより、ひたすら脳天から落とす大技を連発し合いだしたり。
 思うに、これらの文化は多かれ少なかれ「オタク」的なものであり、オタクの人たちってのはカタログ的なスペックにこだわり過ぎる傾向があるのが原因なんじゃないか。刺激の度合いを単純に数値化してしまうことにより、刺激の強いものが優れていると思い込み、数字では表わせないもっと微妙で繊細な、たとえば「なんだか知らないけど個人的にグッとくる」的な感動を見逃しているように思う。

 やっぱり猟奇といっても、いやむしろ猟奇だからこそ、慎みってものが必要なようで。これだけしつこくやられると、いくらなんでも胸やけ気味。っつーか、もうエロとかグロとか飽きた。
 ただし、無償の愛をもって介護される生活に憧れ、自分の両腕・両足を愛人に切断させる女の話はかなり良かったけど。やっぱ、両腕のない女の子のフォルムってたまらなくステキだ。飽きてないじゃない、全然。

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■大越孝太郎

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07年05月11日(金)
CAMPS・おでかけ準備

 明日、群馬のキャンプ場で行なわれる野外イベント"CAMPS"に鉄割が出演するため、稽古場に集合。今夜中に出発する場合に備えて、荷物を準備して稽古場へ。もし明日の朝出発だったとしても、稽古の後で家に戻ってからまた早朝、烏山に来るのも大変なので、その時はこのまま誰かの家に泊めてもらおうという寸法。
 稽古場に着いたら、出発は明日なのに何で荷物持って来てんの、と笑われたけど、それならちゃんと事前に出発時間を教えてもらいたいものだと思った。最近、鉄割関連の集まりの時、オレにだけ連絡が回ってこないんだけど、地味に追い出されかけてるんだろうか。もうドジは要らねえや、つって。

 稽古後、村上くんといっしょに戌井さん家に泊めてもらうことになり、その前に景気づけってんで、いつもの安酒場へ。鉄割のスーパーバイザー・勉蔵さんを呼び出し、きりんちゃんへのダメ出しを拝聴する。

 すっかり酔っぱらって戌井さんの部屋で3人雑魚寝。真夜中、村上くんの甲高い奇声でビックリして目が覚める。何事かと思ったら、そのまま寝言で笑い出していた。どんな夢だ。

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07年05月12日(土)
CAMPS・おでかけ

 朝早く、車3台に分乗して関越自動車道を北上。
 カーステレオのない中島車には、そのかわり生DJが搭載されていて、目的地までの数時間、ほぼノンストップで「おくむーの朝から悪口!?おくむラジオ 〜チャンネルは096・オクムー・です〜」を絶賛生放送。

 そうこうしてるうちにキャンプ場に到着。早速テントをはろうとしてたら、そこは私有地外だからとか、そこはマムシが出るからとか、いろいろ注文がついて3回くらいテントをはり直した。結局、家畜小屋のわきのケモノくさい場所に設営。

設営中


 ようやくテントを張り終えたと安心したのも束の間、すぐに鉄割の出演時間に。
 野外舞台での出演で、自分は音響を担当。音響つってもポータブルCDをいじるだけで、これなら簡単と思ってたら、このCDが手にとって動かそうとするとものすごいノイズが入るので、据え置きのまま操作しないとならず、しかも2回に1回の割合でポーズ・ボタンを押すと停止してしまうという代物で、なんだかグダグダなことに。
 ステージの前にワラワラ寄ってきた数人の子供がかぶりつきで観賞していて、とてもかわいかった。こういうロケーションだと、やっぱり「けんちゃん曼陀羅」は盛り上がるなあ。
 程よく盛り上がりまして、その後は各自、自由行動。鉄割一行の他、現地で落ち合った絢ちゃん、晶子ちゃんらも加わり、紅茶と焼酎と黒砂糖をいかに絶妙な配分でブレンドできるか競い合ったりした。
 そんなこんなで夜もすっかり更け、気づいてみるとテントの割り当ての中に、自分がどこにも入っていない。あ、だから出発時間も教えてもらってなかったのか。しょうがないから、みんながまだ遊んでるうちに、いちばん大きいテントにこっそり潜りこみ、勝手に寝場所をキープ。寝袋にくるまって眠る。この日も村上くんの寝相の悪さに何度も目を覚まされた。

やぎさん

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07年05月13日(日)
CAMPS・おかえり

 朝の6時頃、戌井さんと弟くんの話し声で起床。例によって、弟くんは深夜、キャンプ場内を徘徊していたらしい。その様子をたまたま目撃した戌井さんによると、iPODを聴きながら、密集したテントの間を何度も行ったり来たりしていたらしい。知らない人が見たら怖がるよ。

 昼前、車に乗り込みキャンプ場を後にする。まっすぐ帰るのも寂しいので、温泉でひとっ風呂あびて行くことに。
地元の人たちが集まるような、こぢんまりとした温泉で、草津の湯とはまた違うひなびた味があっていい。温泉の隣にある座敷で、地元の高齢者達がカラオケ大会をやっていて、さながら地獄八景亡者の戯れといった有様でした。南無。

 体がぬくまったら、ドライブインらしきところで腹ごなし。お蕎麦を食べてたら、窓の外を松島さんが目をぎらつかせながら食い物を探し回ってるのを目撃してしまった。しかも、そこまでして食べた魚の塩焼きはすごくマズかったらしい。群馬で美味いものを食べようとするほうが間違ってる。蕎麦だけはマシなほうなんだけど。
 かくしてCAMPS公演、全日程を完了。明日まで休みにしておいてよかったと実感しつつ、重い荷物を抱えて電車で帰宅。

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07年05月14日(月)
最相葉月『星新一 一00一話をつくった人』

最相葉月『星新一 一00一話をつくった人』
 読書好きを自称する人間なら、ほぼ間違いなく誰でも通ってきたであろう星新一のショート・ショート。世界で最も多くのショート・ショートを書いた作家としてあまりにも有名だけど、これまで「星新一の作品」について語られることはあっても、「星新一という人間」については、ほとんど語られることがなかったように思う。それは作者自身が、私小説的な手法を意図的に避けていたからでもあるんだろうけど。

 『絶対音感』の著者・最相葉月が星新一の評伝を書いたとのことで、驚きを感じつつ読んでみた。注文するまでは2300円という値段は高いと思ってたけど、届いた本を見て納得。500ページを軽く超えるボリュームで、星新一の生い立ち以前の家系までさかのぼって、実に緻密な伝記となっている。
 ただ、星新一の父親で星製薬の社長だった星一にまつわるパートが長過ぎた感はあり。もうちょっと新一の作家デビュー後に的を絞ってくれても良かったような。星一が夢野久作の父親で右翼の大物だった杉山茂丸と親交があったというのには驚いたけど。

 自分が小学4年生で読み始めた頃には、すでに星新一と言えば子供でも楽しめる読書の入門編的な作家という認識が一般的だったと思う。ところが、すくなくても彼がデビューした直後は、今までの純日本文学的な修辞や内面吐露を一切排し、端的なレトリックで突き放したような物語を綴る星新一の作風が、斬新で前衛的なものとしてとらえられていたと知り、とても驚いた。デビュー当時は安部公房のライバル的存在とも見なされていたようで、晩年、創作活動に行き詰まりだしてからは、子供向けの作家という評価に対してもジレンマを感じていたらしい。

 生々しい「人間」としての星新一(親一)の姿には、やや戸惑いをおぼえる部分もあるけれど、それもまたものを作る者の宿命なのかもしれない。そう言えば、ショート・ショートを現代の落語と位置づけていたこともある桂枝雀は、星新一が亡くなった時、「あんだけのもん書いたら、もう死なな仕様がないでしょうな」と語ったという。「で、おのれも死んでまいよった」とは師匠の米朝の談。

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■夢野久作
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07年05月15日(火)
半分生きる 〜輝く悪夢〜

 鏡を見たら、頭頂部がベロリと禿げ上がっていて、今まで気づかなかったけど、オレこんなに禿げてたのか!と大変ショックを受ける。育毛剤を買おうと外に出たところで、今までのは夢だったと気づいた。ああよかったと、もう一度鏡を見たらやっぱり頭のてっぺんがズルむけで、悲鳴を上げかけたところで今度こそ目が覚めた。今まで見た中でワースト3に入るくらいの悪夢。kiiiiiiiのライブをサボったりしたから、バチがあたったのかもしれない。

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07年05月16日(水)
京極夏彦『前巷説百物語』

京極夏彦『前巷説百物語』
 小股潜りの又一を主役に据えた京極夏彦の百物語シリーズの最新刊。
 前に出た『後巷説百物語』が年老いた山岡百介の語る回顧談、という設定であったのに対し、こちらは判じ物の先生は登場せず、又一が小股潜りとして闇の世界に定着するようになる契機を描いた、いわばエピソード・ゼロ的なお話。

 巻全体に流れるテーマとして、若き又一の「青臭さ」があり、青臭い考えを捨てきれないがゆえに、口先三寸の目くらましを武器として、闇と渡り合えるようになるまで成長してゆく姿が描かれる。その描き方が、やや戯画的に誇張がされ過ぎって気もするけれど、これだけストーリーに沿って分かりやすくキャラを作れる小説家というのも、なかなかいないだろうな。

 メインとなるお話は、さかのぼって『続巷説百物語』の『狐者異』につながるものだけど、気になって読み直してみたら、なんだか『狐者異』で出て来るアレとはずいぶん雰囲気が違ってたなあ。あっちのほうでは、ここまでサスペンス小説ばりの恐ろしさはなかったと思うのだけど。

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■京極夏彦

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07年05月17日(木)
波津涁子『雨柳堂夢咄』

波津涁子『雨柳堂夢咄』
 『百鬼夜行抄』と同じ『ネムキ』に連載されてるので、前から気になっていた『雨柳堂夢咄』シリーズ。この間、鉄割のスズナリ公演の時に、劇場の隣の古本屋さんでまとめ売りされてたので、思い切って購入したもの。

 古道具屋に集う「モノ」たちに込められた人間の思いが、あちらの世とこちらの世のあわいを超えて通い合う、というのが基本コンセプト。それだけに、どうしても男女の色恋沙汰にゴースト・ストーリーを絡めたお話しが多くなり、しかも登場人物がほとんどみんな同じ顔をしてるので、どうしてもワンパターンな印象はぬぐえない。

 とは言え、おそらく作者も相当に影響を受けてるであろう泉鏡花だって、乱暴な言い方をすれば作品の90%はオバケと恋の物語だったわけだし、これが作者の色だと思えば、それだけ作家の神髄がこめられている代表作とも言えるのかもしれない。

 まだ全巻読んだわけじゃないけど、今のところ5巻がいちばん面白い。この巻から登場する新キャラ・釉月が出てくることで、ぐっとストーリーが広がってきた気がする。
 特に男尊女卑の因習から逃れようとする女性の姿を、望みを捨てずに信じ続ければ、幻の鳥がやがて還って来るという鳥籠と重ねて描く『籠の中の鳥』、それから、寺の庭に住みついたガマガエルが、親に捨てられた子供たちの霊を愛おしみ、その哀れみが壊れた仏像の右手に乗り移る『春の寺』の2編が絶品。

 そういえば、朝日ソノラマなくなっちゃうんだってね。今後は朝日新聞社の一セクションとして吸収されるのだとか。大島弓子の全集だとか、諸星大二郎の作品集だとか、独自のマンガを出版してくれた会社の消滅はなんとも寂しいかぎり。

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■百鬼夜行抄
■雨柳堂夢咄
■泉鏡花
■大島弓子
■諸星大二郎

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07年05月19日(土)
LUSH→トラウマリス

 今日はニーハオ!が渋谷のLUSHで久々の東京ライブ。その後、21時過ぎから六本木で戌井さんの弾き語り、とライブをハシゴ。

 ニーハオ!主催企画なので、トリに出て来るだろうと遅めに着くと、ちょうどニーハオ!の演奏中だった。しまった遅れた、とショックを受けるのも束の間、脱退したれおちゃんの代役で、ヒゲ面で小太りの男性がドラムを叩いてることに、さらにさらにショックを受ける。
 ショックから立ち直れないまま、3曲くらいしか聴けずにニーハオ!のライブ終了。3人が微妙な時間差でコーラスしていたパートを、ゆかりちゃんとありこちゃんの2人だけでやってて、失った物の大きさを知りました。

 すこし頭を冷やそうと、渋谷から六本木までトボトボ歩いて行くことにした。
 トラウマリスに着いてお友達と話してる内に、戌井さんの弾き語りスタート。始める前から既に酔っぱらっていたので、どうなることかと思っていたら、案の定だった。いきなり凄いテンションで歌い始め、すぐに中断して「はい、じゃ次の曲ねー」というパターンの繰り返し。
 中盤、多田ちゃんと戌井さんの合作文庫本『ただいま おかえりなさい』の中でも特に傑作と呼び声の高い「あぶら」のボーカル・バージョンを披露。世界中のあぶらを飼いならしてあぶら御殿を作り、あ・ぶ・らを偉い順に並び替えると、ぶあらになりました、という無邪気さがメルヘン風にもただのキチガイにも感じられる名作。ところが、やっぱり酔っていたせいか途中から歌詞がグダグダになってしまい、とても残念。ムリウイでは完全版が聴きたい。
 演奏中、ギターの弦が切れるアクシデントが発生。バックドロップスの村上くん、萩原くんが予備のガットギターを渡してあげたり、弦を張り直そうとしたりと、必死のリカバーもむなしく、最後は「“ぶっ壊れブルース” ナイト」の名前にふさわしい壊れたギター漫談大会になっていた。面白かったからいいけど。

前説のクラシック談義


ぶっこわれブルージー


 戌井さんの演奏が終わった時点で、すでに0時近い時間だったので、この後もまだまだ続きそうな狂宴に未練を感じつつ、ひとり帰宅。

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07年05月20日(日)
よそ様のお手伝い

 某つながりにて、とある劇団のお手伝いをやる事になりました。その打ち合わせで、駒込へ。ちゃんとお手伝いスタッフと事前の打ち合わせとかすることに、まず驚いた。鉄割だと、受付になんか見た事ない人がいるから誰だろうと思ってたら、お手伝いの人だったとかよくあるからな。あっちゃマズいのか。

 簡単に説明を受けてから、しばらく稽古を見学させていただく。このセリフの意味を活かすにはこれこれこういう風に、とすごく具体的に演出していて感心した。鉄割の演出だと、もっと変な声だしてみて、とか、そこで白目むいてみて、とか、やっぱり白目むくのやめて、とか、本番中はガム噛まないで、とかだもんな。まあ、そもそも伝えるべきセリフの意味が存在しない台本の演出って時点で、かなり無茶なことではあるんだけど。

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07年05月25日(金)
kiiiiiiiワンマン!@新宿RED CLOTH

 kiiiiiiiのワンマンライブ、しかも、オープニング・アクトに「tabooooooo!」の2人が登場ってことで、仕事後、ダッシュでRED CLOTHへ。遠いよ、駅から。

 ぎっしり詰まった場内で談笑しながら開演を待つことしばし。ステージ上に登場したのは、ジャージ姿でダンボールのギターを抱えたうさんくさいカツラの2人組・たぶぅぅぅぅぅぅぅ。

文章


 例によって、録音した漫談に合わせて口パクしてるけど、なんか今ひとつしゃべりと口が合っていない。やっぱり前の日に完成したネタらしいから、練習も足りなかったんだろうな、と思っていたら、ラストにとんでもない大ネタを持ってきた。北海道立じゃがいも高校にちなんだポテト・ラップってことで、北海道の地名を随所に織り込んだ腰が砕けるほどしょうもないラップを大真面目に(口パクで)やりきった。ロマンチックがとまこまい!このラップのリリックを考えるのに全精力を使い果たしたんだろうと思えば、もう何もかも許せる。愛せる。

 その後に登場のkiiiiiiiも、もちろん負けずにやりきった。特にLakin'は久々にメイクが溶けて流れ落ち、永井豪のマンガ風になっていた。ダイナミック!
 この日は風邪ひいてて体調が思わしくなかったので、ギチギチに混んでたステージ近くを避けて、後ろの物販スペースのほうで見てた。でも、やっぱりkiiiiiiiは最前列で、かぶりつきで見たほうがいいな。今日の最前列はなんだか異質な空気が漂ってたけど。最近、kiiiiiiiだけでなく客席まで無国籍になってきた感あり。 

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07年05月28日(月)
上司の金で焼肉おごってもらったけどマズかった

 会社のディレクター(その役職名もどうかと思うけどよ)が、自分とオシャレ、JJの3名を誘って昼飯に焼肉をおごってくれると言うので、しっぽを振ってついていった。
 君がおごってくれるなんて珍しいじゃないか、いったいどういう風の吹き回しだい?明日は雨が降るんじゃないかハッハッ、と尋ねると「JJ君のお別れランチだ」との返事。ここは一番、しゃれの通じる人間であることをアッピールせんならん、と「へえ〜、そーなんだー、そりゃさびしいねー」とイヤミっぽくリアクションしてやった。2日後、本当にJJが今月限りで退職すると知るが後の祭り。
 だって、自分のお別れランチの席上で、となりのトトロは精神病院で死んだ姉妹が死後の世界を旅するという裏設定がある、などと力説する人間がいるなんて思わないじゃないですか。

 焼肉はなんだかゴムっぽいし、ライスも水分多過ぎてあんまり美味しくなかったけど、口には出さずに丁寧にお礼を言っておきました。社会人への道は始まったばかりだ。

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07年05月29日(火)
The BackDrops@新宿・Red Cloth

 来月のワンマン・ライブが会社の納会と重なったため、もしかしたら遅刻したりする可能性もあるので、見られるライブは全部見ておこうと、 The BackDropsの出演するイベントを見に新宿・紅布へ。

 音合わせから、そのままシームレスに始まったライブは、最初の3曲くらいMCなしで、この構成がまたカッコよかった!バックドロップスはいろんな意味で過剰なので、無理してでもクールを装ってみると良いのかもと思った。いずれダム決壊の如くヨダレも溢れれば、クールもクールファイブもあったもんじゃなく、ただ狂うばかりなのは目に見えているわけで。他のバンド目当てに来たらしい客が、大量のヨダレに驚愕しつつ圧倒されてる姿をほほえましく横目で見やりながら、オレもまた驚愕しながら圧倒されていました。特に萩原くんのボーカルが、ここ数回、見るごとに表情を変えていて凄い。

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 ライブ終了後、こんだけカッコよくて本気なバンドを、なんでもっと大勢の人が熱狂的に追っかけてこないんだろうと思いつつ、ではこのカッコ良さをどうやって伝えようかと考えると、いくら言葉を弄しても虚しいだけで、「とりあえず見てみるしかない」というのは中々もどかしいものだと思い至りました。とりあえず見てみりゃ分かるんだから、見てみるべきです、TBD。

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07年05月31日(木)
JJさよならランチ

 てっきり冗談だとばかり思ってたら、ほんとに今日いっぱいで職場の同僚・JJが退職だって。最終日だってんで、有志数名でいっしょに昼食に出かける。先日の焼肉ランチに引き続き、上司のおごり。こじゃれた料理屋で焼鳥丼900円ナリをいただく。年下におごってもらう食事は複雑な味。

 チンピラ・キャラだったJJの人徳もあってか、最後の昼餉にもかかわらず、しんみりした空気はまるでなし。会社を辞めたら臓器売買で儲けてやるとか、遺伝子牧場で一山当ててやるとか、キャラ通りの今後の目標に納得。

 そのうち、しゃべりだすと止まらなくなる傾向のあるリーダー(女・友近似)に変なスイッチが入り、オレが壊れたドライヤーを使ってたらショートして燃えたという話をしたら、「フヂイくんがドライヤー燃えながら『デストローイ!』とか言ってたらおかしいね」と言い出し、そのまま5分くらい一人で笑い転げていた。なんとなく話題の中心は自分だし、周りはどうすんだコレって目で見てるし、今年に入っていちばん困ったシチュエーション。
 そういうわけで、会社でのあだ名が「デストロイ」に決まりました。アナーキー・イン・IK(Itabashi-Ku)。

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