03年02月04日(火)

 舞城王太郎氏の期待の新作『阿修羅ガール』を読みました。

 はー、なんでしょう、もう死ぬほど面白かった。やばいくらい。今までの舞城氏の作品のなかで、一番おもしろかったですよ。まじで。それにしても、いくらここで舞城王太郎はおもしろいと書いても、まったく誰からも反応がないのですが、みなさん一度読んでみてくださいよ。はまるひとは本当にはまりますから。

 舞城さんのの小説は、あちらこちらで相当にめちゃくちゃな小説のように書かれておりますが、お話の構造はとてもオーソドックスで、起承転結の形式で書かれています。舞城氏のすごいところは、これは特に『阿修羅ガール』に顕著な特徴なのですが、起はめちゃくちゃ起で、承はびっくりするぐらい承で、転はすがすがしいくらい転で、結は感動的に結なのです。今時いませんよ、あそこまで起承転結をきちんと書く人。

 お話の内容は、80年代ポストモダンじゃないんだからと突っ込みたくなるような内容で、これまた今の時代を考えれば、逆にとても礼儀正しいのではないでしょうか?もし今の時代に太宰並の私小説とか書く作家がいたら、それこそアバンギャルドでしょう。そういえば太宰で思いだしたけど、『阿修羅ガール』のカバーは佐内正史さんの『女生徒』の中の写真を使用しています。それはまあいいとして、『阿修羅ガール』は女子高生の一人称でしかもめちゃくちゃ口語文で書かれているので、読んでいて気持ちいいのです。これ、ぼくだけかもしれないけど、リズムっていうか、語りの口調のリズムがとても良くわかるし、そのリズムにのってすいすい読むことができるのです。むしろ、今どきの女子高生でこんなふうにリズムに乗った口調で話す女の子っているのかしら、と思うくらい。前にも雑記で書きましたが、この人、本当に小説を書くのが上手だなあと、つくづく感心してしまいました。

 以下、軽くネタバレがありますが、ネタがばれたからってこの小説の面白さはたいして変わりません。

 物語は、主人公のアイコが、本当は陽治のことが好きなのに、好きでもないクラスメートの佐野とセックスして自己嫌悪になるところから始まります。次の日学校に行くと、昨日セックスした佐野が誘拐されていて、その嫌疑をかけられたアイコが同級生のマキたちに呼びだしくらい、なんとなく焦ったアイコは、やられる前にマキをボコっちまいます。ところでそんなアイコの住む町は、幼い三つ子をバラバラにして多摩川の河川敷に放置したグルグル魔神を捕まえようと、ネットの匿名掲示板に煽られた中高生が暴動(ハルマゲドン)を起こして大騒動になっていて、アイコはそれを口実に陽治を自宅に呼びだします。玄関のチャイムがなって玄関を開けると、そこにはマキが立っていて、金槌で殴られたアイコはあの世へ行ってしまいます。

 そんでそこからがとてもとてもとてもおもしろくなります。本当に、感動的に面白くなります。好みがあるので誰でも必ず楽しめると断言をすることはできませんが、世の中に生きる人々の四分の一ぐらいには面白いと思います。だから、騙されたと思って読んで。で、つまらなかったら教えて下さい。あやまります。

 次の新作は三月下旬とか。うー、たーのーしーみー。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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