06年10月10日(火)

ゆく河と時の流れは無情なものでして、ちょっと日記をさぼると過ぎにひと月ふた月が過ぎてしまうものです。っていうか、旅行に行ってからもう一年以上が過ぎてしまいました。いやはや、本当に、人生というやつはちょっと油断をするとすぐに逃げて行ってしまうので、追いついていくだけで精一杯です。

この日記は、日付が10月10日になっておりますが、2006年の10月10日の日記でございます。2008年に2006年の日記っていかがなものさとも思うのですが、どうしてもこの日記だけは書いておきたいのですよ。さて、何事もなかったかのように日記を続けましょう。

前回までのあらすじ。アメリカで自転車に乗って砂漠を走っていたらカメダコウキみたいな体になってしまったのですが、それでも走り続けたらグランドキャニオンに到着しました。

さて、日記を続けます。朝、日の出を見ようと思っていたのに、目を覚ましたらすでに八時過ぎでした。テントの中の寒さが心配でしたが、温かい寝袋の中でぐっすりと眠り、疲れもすっかりとれた模様です。

本日は、グランドキャニオンをトレッキングしましょう。本当は、一日ぐらい休めばよいのですけどね、なにせ貧乏性なもので、もうしわけないです。

本日向かう先は、ブライト・エンジェルというトレイルです。とりあえずインディアンガーデンまで降りて、時間的に余裕があったらその先のプラトーポイントまで行ってみましょう。
コーヒーを淹れて、サンドイッチとバナナで朝食を済ませ、テントを出ます。

上の写真の下の方に道が続いているでしょう。あれが本日向かうトレイルです。あの道の先に、目指すプラトーポイントがあります。

空に雲は広がっているものの、気温は20度を越えています。トレイルをするには少し暑いかな。水も、一リットルしか持ってきていないので、やばそうになったらすぐに引き返すぐらいの気持ちで、ゆっくり歩きます。

なんだか、景色が広すぎて本当にめまいがします。とにかくも視界が広いのよね。日本の北アルプスなんかも、空の景色の広がりはすごいけれど、アメリカの景色の広がり方はもっと野蛮な感じにすごい。

小動物なんかを結構見かけるのですが、みなさん人慣れしすぎていて、ぜんぜん逃げていきません。エサをあげる人がたくさんいるからなのですが、よくありませんね。

本日のトレイルの標高差は、大体600mぐらい。ならされた道があるので、歩くのは苦痛ではないのですが、道がミュールのうんこだらけなのが苦痛です。

1.5マイルのポイント、3マイルのポイントと通過して、13時過ぎにインディアン・ガーデンに到着。ここまで約二時間。帰りは、登りになるので来たときの二倍の時間がかかるとして、ここで引き返したとしても、上に着くのは夕方になってしまう。
うーん、せっかくここまで来たのだから、プラトーポイントまで行きたいなあ。

インディアン/ガーデンに、うんこの犯人がいました。お金を払うと、こいつらが上まで載せて行ってくれるそうです。うんこしながら。

とりあえず、あと一時間だけ行けるところまで行ってみましょう。ここから先は、ずっと平地だから、体力はあまり消耗しないはず。たぶん。

インディアン・ガーデンを過ぎると、一気に人影がなくなりました。
あー、やっぱりまわりに人がいないのは楽しいなー。聞こえてくるのは、風の音と、ぼくの歩く音だけ。
やっぱりぼくはひとりが好きなようです。

と、ひとりを楽しむのもつかの間、ふと気がつくと時刻はすでに14時近く。懐中電灯もなにも持ってきていないので、夕方前にはテントに戻りたいので、途中で引き返すことにしました。
プラトーポイントまではたどり着けなかったことは残念だけど、まあよしとしましょう。
本当に、あと少しで到着すると思うんですけどね。ゴルゴ13も言っています、俺が生き残っているのは、臆病だからだ。勇気を持って帰りましょう。

そんな感じで、帰りもがしがしと登って、夕方前にテントまで戻りました。
アメリカに来て、始めて観光らしいことをしましたよ。

それにしても、アジアの国に旅行に行くと、観光地には外国人しかいないけれど、アメリカの観光地にはアメリカ人ばっかりですね。しかも白人ばっかり。トレッキングをしている日本人なんてひとりもいませんでした。たまたまかもしれませんが。

夜。
テントの前で火を焚いて、火を眺めて山川草木悉皆大好なんてことを考えてぼーっとしていたら、三時間ぐらい経過していました。すっかり寒くなっていたので、ミルクを温めて飲んで、こんな日々があと十年続けばよいのになんてことを思いながら、友達に手紙を書いたり。


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雑記書手紹介

大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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