06年10月14日(土)

今回の旅行先としてアメリカの南西部を選んだのには、いくつか理由があります。ひとつは、そもそもアメリカが大好きだったから。
ひとつは、先にも書いたとおり、アメリカのナチュラリストのエッセイに取り憑かれて、アメリカの大自然に触れたくなったから。
ひとつは、ポール・オースターの『ムーンパレス』の世界を実際に体験してみたかったから。
そしてもうひとつは、この本。

Lonely Planet Southwest America。その表紙のこの写真。

この写真に一目惚れをして、このまっすぐな道を走りたいと思ったこと。この本が、決定打になりました。

もともとこの本を手にしたのは、旅行のためではなく別の理由(西部史を調べていたときに、ガイドブックとして使用)だったのですが、以前から人に邪魔されずに、とにかくひたすらに自転車で走りたいと考えていたぼくにとって、この写真はとんでもなく魅力的に映りました。裏表紙のクレジットをみると、「Cover photograohs by Lonely Planet Images: Monument Valley」という文字が。

Monument Valley。

モニュメントバレーと言えば,汗臭いカウボーイの印象しかありません。そこに行けば、この道に出会えるのか!この道を走ることができるのか。

そんなわけで、はるばるアメリカくんだりまで来たわけです。そして本日、とうとう夢にまで見たモニュメントバレーへと到着します。さすがに興奮してしていたのか、目覚ましの音よりも早く目を覚まして、さてさて今日も晴れ男、晴天の下を走りましょう。ぼくは晴れ男なので、雨が降るはずはありませんが、それでも特に今日だけは、絶対に雨が降ってはいけないのです。ようやくここまで来て、一番行きたかった場所に到着するというのに、雨が降るは図ありません。だってぼくは晴れ男

雨です。結構な雨です。

昨日までの晴天が嘘のように、空には一面の雲。

ぼくの人生ってね、いつもこんな感じなんですよ。今回の旅行も、あまりにも順調にいきすぎていたので、なんだか嫌な予感はしていたのですが、晴れなくても良い砂漠のど真ん中では灼熱の太陽が出ていたのに、一番楽しみにしていた場所に行くとなったとたん、この天気です。まあ、もうぼくの人生のこういう性格にも慣れてはきましたが、さすがに若干がっくりとしてしまいました。

とはいえ、いじけていても仕方がないので、カッパを着て出発します。幸いなことに、ここからモニュメントバレーまではそれほど距離はありません。ゆっくりと走りましょう。

地図によると、ここからkayentaに向かう途中に、Marsh Passという2000m級の峠があるみたいです。雨の中、峠を登るのはちょっと嫌だ。

気がつくとkayentaに到着。あらら。峠なんてなかったぞ。雨に気をとられて、気づかなかったのかしら。いえいえ、アメリカの坂はそんなに甘くありません。地図の間違いかしら。

163号線に入ると、少しずつ晴れてきました。うーん、やっぱりぼくは晴れ男なのかしら。

うっひょー、来た来た。モニュメントなバレーが現れてきましたよ。

またまた雲がガスってきました。

風景に、素敵な残丘が目につくようになってきました。

ガスと雨のせいでよくわかりませんが、とりあえずLonley Planetの表紙のようなまっすぐな道が続きます。しかし、この道に感動するには、あまりにも長い時間まっすぐな道を走りすぎました。つーかよ、アメリカに来てからまっすぐな道しか走ってねーからよ、感動しろっつても無理だっつーの。いきなりこの道だったらよ、そりゃ感動してすげーとか叫ぶかもしれないけど、もう何日まっすぐな道を走り続けていると、高校の通学路を走っているのと同じようなものよ。しかもよ、雨だし。ガスだし。タイヤはパンクするし。感動どころか怒りさえ覚える始末です。いえ、嘘です。感動して、涙か雨か分からないぐらいでした。というのも嘘です。

ところで、雨の日の自転車はどんな感じになっているかというと

こんな感じです。また数日テント生活になるので、寝袋は絶対にぬらしてはいけません。

さて、そんなこんなでモニュメントバレー到着です。雨のせいで、バレーのツアーが中止になったらしく、入園料も無料でした。ラッキー。

きたー!モニュメントバレー!!すげー!いやー、あまりにも有名なこの場所ですけど、やっぱり全身で感じると、すげー!!

しかも、運良く、一番良い場所にテントを張ることができました。この場所ね、テントをあけると目の前にモニュメントバレーが、どーんと現れます。朝も、昼も、夜も、テントをあけるとモニュメントバレーがどーん。どーん。

ビジターセンターでちょっと遅めの昼食をとります。ジョン・フォードバーガー。なにがジョン・フォードなのかよくわかりませんが、多分チーズのあたりがジョン・フォードなのでしょう。カロリーたっぷりでうまかったです。

テントに戻って本を読んでいると、突然雨が激しさを増して降ってきました。激しすぎてちょっと引きました。風も暴風に近くなり、雷まで鳴り出しました。

あれ、もしかして、ここがぼくの人生の執着地点?と本気で考えるほど、激しい雷雨。もしも、ここに到着する前にこの嵐にあっていたら、と考えるとぞっとします。テントが軋むし揺れるし。ま、まさか風でテントごと飛ばされないよね。

30分ほどして、ようやく雨が上がりました。ほっとして、おそるおそる、テントから出ると、

なんとまあ

夢のような風景が

広がっているではありませんか。

雨の中を自転車で走るのは、本当に大変で、何度もぶちきれて大声で「くおあー」叫んでしまったけれど、雨が降っていなければこの景色はなかったわけで、そっか、このためにぼくはあんなに苦労をしたのか。そんな風に考えたら、なんだかうれしくなりました。どこの偉大な力か知らないけど、おつな計らいしますね。

周りを見ると、他のキャンパーたちもこの美しい風景に見入っています。さっきまで嵐だったのに、今はこんなに穏やか顔を見せるなんて。自然って、すごい。これが噂の雨と鞭ってやつなのかしら。

虹ってこんなに綺麗だったんだと気づく、三十路の秋。

そして日も暮れて。
今日の夜は、本を読まないで、自然の音に静かに耳を傾けて、黙想することにしました。

10分で黙想に飽きたので、本を読んで、眠りにつきました。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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