02年12月15日(日)

 本日は鉄割の本番の日なのですが、ぼくは今回は参加しておらず、参加していないところで宮永に行っても鉄割の皆さんの邪魔をしてしまうかしら、などと思いながら上野を逍遥していたとところ、東京国立博物館で『パキスタン・ガンダーラ彫刻展』『インド・マトゥラー彫刻展』がやっているのを発見、そういえば以前にちらしを観て、行こうかなあと思っていたのを思いだし、時間つぶしがてら仏像観賞をすることに致しました。

ほうじょう  御存知の通りインドでは、仏教は十三世紀ぐらいで衰退しておりますから、畢竟その地のいずれの仏像もそれ以前のものということになるのですが、今回の展覧会ではその中でもマトゥラー派の仏像、二世紀から六世紀までの仏像を展示しており、いろいろな意味でとても面白く勉強になった展覧会でした。

 インドのマトゥラーという国は、クリシュナ神の生誕の地として有名ですが、その他の宗派にとっても重要な地とされていたため、さまざまな宗教の数々の建造物が建てられました。今回の展覧会ではその中の仏像のみを展示しているのですが、仏教に取り込まれたヤクシャ、ヤクシー、ナーガ、ラクシュミーなど民間神の像などもあって、これがすごく良かったです。

 マトゥラーの仏像を見ていると、そのいずれもがブサイクなことに気付かされます。日本の飛鳥時代の仏像のブサイクさもひどいものですが、まだ愛嬌があります。マトゥラーの仏像は、笑いにもならない程度の中途半端なブサイク加減で、創っている側にあまり釈迦に対するイメージがなかったような、惑いの印象を受けます。その点、しつこいようですが土着の神々の像はすごく良くて、おっぱいをがーっとわしずかみにしていたり、まんこに思いっきり縦線入っていたり、びっくりするような笑顔を見せていたり、やっぱり土着の神様だけあって、創った人々が明確なイメージを持っていたことがわかります。

 ガンダーラの仏像は、さすがは東西の中継点というべきか、弥勒菩薩なんかはがっしりとした体つきに髭なんかたくわえてしまい、さながら金持ちの貴族風な顔をしていて、絶対に五十六億七千万年待たないだろうという佇まいがとても良かった。全体的に、マトゥラー仏像のやわらかさと比べると、筋骨が隆々としていて、以前に別の展覧会に行ったときにも思ったのですが、隙がないというか余裕がないというか、やさしさがいまいち感じられない。それから、ギリシア彫刻の影響を受けたのは判るのですが、

ぜってーたいしゃくてんじゃない

 これを帝釈天と言い張るのはやめていただきたい。お前は絶対にギリシャ神話だ。

 両展覧会を見ると、それぞれの文化がそれぞれに与えた影響がよくわかるし、それらの文化が時代を経るごとに、仏像の形式が変化していく様も見ることができます。しかし、もともと仏教では偶像崇拝は禁止されていたため、初期仏教の段階では仏像というものは存在しませんでした。そのため、釈尊を描くときには別の象徴物を用いて表現していて、それらの仏陀を台座や仏足石で表している彫像はこの展覧会でもいくつか見ることができるのですが、それでは仏像は一体いつから創られ始めたのでしょうか。

 展覧会を見終えて一階に戻ったところで、そのことに関するビデオが流れていました。五分程度の短いビデオの中で説明していたことによると、パキスタンのチラス渓谷にあるストゥーパのひとつに、手足のついた小さな絵が描かれており、その傍に「シャカ」と記されているのですが、これが釈尊を偶像として描いた最初なのではないか、とのことでした。この小さな図像が、やがてストゥーパを飛び出して像となり、世界中に伝播していったのです。

ぶっとー

 あー仏頭っていいなあ。大好きよ、仏頭。家にひとつ、凛々しい仏頭を置きたいよう。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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