02年07月05日(金)
広沢虎造という浪曲師がおりまして、僕は高校の頃、テレビのニコウお茶の間ショッピングで流れたその浪花節を聴いて、あまりに格好良かったので、即電話して購入したのでした。
そして、品物が届き、カセットで、清水次郎長伝をを聴いたら、想像してた以上に面白く、それから虜になりました、しかし高校、大学と浪曲好きなやつなんて一人も居なく、ただ一人の楽しみとして、車や部屋で聴いてたのです、ある日雑誌を読んでたら、町田町蔵が出てて、広沢虎造の事を喋ってました、僕は「うっわ! この人は絶対素晴しい」と思いCDを買って、聴きまくり、ライブにも行きました、その頃僕は、町蔵を現代によみがえった虎蔵として、観てたのです。ある日、奥村君と町蔵のライブがあるから行こうと、行ったのですが、それが音楽ライブではなくトークライブでして、ちょっと損したなと思い、まだ小説も書いてなかった頃だから、人もまばらで30人くらいしかいませんでした、たしかその頃、「いま小説を書き始めてます」と言ってました。そこで、くだらない質問をする女などに嫌な顔してやりとりしてた町蔵、「じゃあ、最後になんか質問あるかたいますか?」といかにも、もう面倒クセエぞ、といった感じで言ったので、質問する人がいませんでした、しかし、奥村君が「ほら、お前なんかしろよ!」と言われ、僕は恐る恐るマイクを握り「あの〜町蔵さんは、虎蔵が好きらしいんですが、次郎長伝のなかに出てくる登場人物の中でだれが、好きですか? ちなみに僕は法印大五郎です」といったら、それまで不機嫌そうな顔をしてた町蔵がニタ〜と嬉しそうな顔をして「わしも」と言って、その後、会場でマイクを握りながら、都鳥一家は本当に悪い奴等だ、とか、「石松死ぬとこ格好良すぎません?」「格好ええわ〜」「お蝶さん可哀相ですね」「やっぱ三十石船」「寿司食いね」「江戸っ子だってね」「神田の生まれよ」と、これ聴いたこと無い人、全くわからない会話を続け、最後に一度楽屋に戻ったと思ったら、またやって来て「ところで君、それ何処で買ったん?」「ニコウお茶の間ショッピングです」と言ったら、ニタっと笑って「ロジャースの方
が安いで〜」と言って去っていきました。僕はもうあの「ロジャースの方が安いで〜」があまりにも格好世過ぎで、未だに脳裏に焼き付いてます。
それで最近、広沢虎造の自伝が出てて買って読んでたら、これがまた凄い面白いんですよ、で、最後の、解説を町蔵が書いてた、町田康なんだけどね今は、なんだか、それで「ロジャースの方が安いで〜」がまた蘇って、頑張らなくちゃと思ったのでした。

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雑記書手紹介

戌井昭人
東京生まれ(調布育ち)
鉄割の台本を書くの担当。あと変な動きとか考えるのも担当。
最近声がガラガラになってきている。だいたい変なおっさんの役担当。
趣味は歩くこと

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