04年05月10日(月)

 昨日観た『パッション』がかなりの衝撃だったのか、地獄に落ちる悪夢を見て起床。精神が落ちつきません。そういうわけで、山下敦弘監督『リアリズムの宿』を観に行きました。とてもまったりとした静かな笑いで、気持ちがほのぼの。すっかり立ち直りました。今まで観てきたつげ義春原作の映画の中では、一番好きかも。脚本も面白かった。うう、旅行に行きたいよう。

 ところで、『リアリズムの宿』でつげ氏が描いたのは、生活感がありすぎて、せっかくの旅情を損なうような宿のことでした。1970年代であれば、作品に描かれているような宿は、たしかに現実の生活を思い出させたかもしれませんが、21世紀の現代では、あのような宿ももはや旅情を感じさせるものになっています。しかし、二年前にぼくが京都で宿泊した宿、一泊3800円の安さにつられて泊まった宿は、まさしく現代のリアリズムの宿と呼ぶに相応しい、見た目はただの一戸建ての家、中に入るとただの六畳の部屋、風呂も汚くもなければきれいでもないごく平凡な風呂、一階には宿の家族がそろっているのですが、ごく平凡な中流家族。なんの面白みもない、ただの一般家庭でした。宿に入るのに、普通にチャイムを鳴らして玄関を開けてもらうのですよ。はるばる京都まで来た旅情なんてぶっとびですよ。テレビではスカーフェイスとか放映しているし。あれこそまさしくリアリズムの宿です。ぼくの旅情を返せ。

 夜、ゼロ・アワーを聞きながら公園をマラソン。今週の作品は、エドガー・アラン・ポーの短篇集。本日は『黒猫』なのですが、おそろしげな朗読に効果音、めちゃこわい。人影のない深夜の公園、しかも濃い霧がかかっていて、普段ならば幻想的に思えるはずの公園の外灯の光が、とてもおそろしく感じます。いつもは神社前の石段を五往復ほど昇降するのですが、早くこの公園を去りたいので、本日は中止して通りすぎようとしたところ、鳥居の前に猫がうずくまってこちらをじっと見ているではありませんか。まじこえー!!ラジオから聞こえるのは、『黒猫』のラスト、壁がくずれて妻の死体の上に猫がすわっているシーン。ねこさん、ごめんね、今日はちょっと恐いのよ。さらにラジオから『黒猫のタンゴ』が流れ始め、これはやばいです、あまりの恐さに全速力で公園を後にしました。

 帰りに汗だくのままビデオレンタルに寄って、『リアリズムの宿』と同じ山下敦弘監督『ばかのハコ船』を借りて、速攻で観賞。面白い。主演の女優さんがとても上手でびっくり。『リアリズムの宿』よりも、こちらのほうが面白かったぞう。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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