04年08月07日(土)

 朝八時、千歳烏山集合。鉄割ちゃり部で高尾山へサイクルしてきました。本日の目的は滝修行

 片道約三十五キロ、太陽の光がそれほどきつくなかったせいか、横浜に行ったときほどはつらくありませんでした。甲州街道と多摩川沿いをここちよく走り、二時間半ほどで高尾山に到着、登山口で蕎麦を食べて(疲れていたのでとてもおいしかった)、リフトに乗って途中まであがり、そこからしばらく山を徒歩で下ります。久しぶりに歩く山道、すごく楽しい。足が土と岩と草をぐいぐい感じる。ああ、自転車もいいけれど、山にも登りたいなあ。

 高尾山には 蛇滝と琵琶滝というふたつの滝がありますが、ぼくたちが打たれるのは、琵琶滝の方です。受付で滝修業講習料を支払い、しばし待機。夏ということもあってか、滝に打たれたいという馬鹿がやたらと多い。ふと見ると、少し離れたところに良い感じに頭が禿げあがったかわいらしいおやじ二人組がいます。ああ、彼らも滝に打たれるのか、とほのぼのした気持ちになりました。

 一時間ほどぼーっと待っていると、なにやら威厳のあるお坊さんが出てきました。滝に打たれるということに関してのありがたいお話を拝聴、滝に打たれるときの印の組み方やお経「南無大聖不動明王」などを教わりました。続いて太鼓に合わせたお坊さんのリズミカルなお経に手を合わせ、いよいよ入滝です。まず始めに、白装束のような作務衣のようなものに着替え、滝の入口を掃除します。ごみかと思ってほうきで思いっきり払ったら、お清めの塩でした。やばいやばい。

 本日は参加者が多いということで、ふたり一度に滝に打たれるそうです。ぼくは戌奴とペアになりました。このようなふざけた人間と一緒に滝に打たれては、ぼくまで煩悩に惑わされてしまいます。この人は、絶対に滝に打たれながらおならとかするし、絶対に滝の水を一口すすって「んまい!」とか言うし、滝登りとか始めるだろうし、下手すれば「冷てえ!」と言ってお坊さんに殴りかかりかねません。非常に不安ではありましたが、数日前に彼からいただいたメールを思い出して、今回は大丈夫だろうと、信じることにしました。

滝打たれて、人生3ミリでも軌道修正できれば、3ミリで一万キロ前進したら、軌道修正しなかった場所とは、大夫ちがうもんえ
(彼からのメールより、原文ママ)

 ぼくたちの番がきました。水に足をつけ、滝に頭を突っ込んで、「エイ」とかけごえをかけます。岩に腰をかけ左脚を組んで、お坊さんの「南無大聖不動明王」に続いて、ぼくたちも「南無大小不動明王」を唱えます。間違えて噛んだりして「にゃむだいしょう」にならないように気を付けなくてはいけません。いや、そんなことを考えている時点で気持ちがたるんでいます。無心に、無心に「南無大聖不動明王」と唱えます。何度か「南無大聖不動みょうにょう」とか「ある大将不法労働」とかになってしまいましたが、無心ですから気になりません。目の前のお坊さんの姿が神々しくというか恐ろしく、ふざけた気持ちでいたら、本当に地獄に落とされてしまいそうです。無心無心と何度も自分に言い聞かせました。この先のことは恐ろしくて書けません。

 滝に打たれる前は山の空気に寒さすら感じていたのですが、滝から出ると、その寒さがまったく気にならなくなり、むしろ体がほてっていました。不動明王像にお礼をして、滝を出ます。

 残念ながら今回は性根を変えることはできませんでしたが、あと百回ぐらい滝に打たれれば、なんとかなるかもしれない、と思いました。けれども同時に、ぼくの煩悩は滝に打たれたぐらいでどうにかなるような生易しいものではないのではないか、とも思いました。

 そして帰りも再びちゃりんこです。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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