
■裏マニュアルでGO!
ーそば屋の流儀の通信簿 変な「こだわり」要注意
とてもお利口さんで模範的なそばへのこだわりを語ってくれております。全然裏マニュアルじゃないのですけど。
妙に敷居が高く、こだわりすぎの店主には、意味不明の小道具を使ってひるませる。文具好きな山陽さんはたまたま持っていた分度器を卓上でもてあそんで「この客は何者?」という顔をさせた。以来、分度器は秘密兵器。さりげなく取り出すのがこつだ。
意味がわからないし。
ところで、そばの食い方に関しては、やはり池波正太郎さんのそれは相当おつなものでして、例えばちょいとした感じでこんなことをおっしゃります。
そばを食べるときに、食べにくかったら、まず真ん中から取っていけばいい。そうすればうまくどんどん取れるんだよ。端のほうから取ろうとするからグジャグジャになってなかなか取れない。そばというのは本当は、そういうふうに盛ってあるものなんだよ。そういうふうになっていないそば屋は駄目なんだよ。
素敵でしょ。
作法などというものは、結局は趣味によるところの数多に存在するものでありまして、畢竟正解などというものはなく、選んだ作法によって人それぞれの品というものが定まります。ですからそれは、人から押し付けられるものでも、人に押しつけるものでもなく、あくまでも個人が各々の趣味によって選択しなくてはいけないものなのであります。

そのようなことを考えながら、身についていない作法を気取り、ひとり黙々とそばをいただきました。ごっそさん。
『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』を観ました。
いやー、すごかった。とても面白かった。面白かったけど、それ以上にCGがすごかった。あんなすごい戦闘シーン、今まで観たことありません。お話も面白かったのですが、とにかく戦闘シーンがすごすぎて、見終えた直後はそのことばかり頭に残りました。
『二つの塔』の一番のクライマックスは、一万を越えるウルク・ハイと、300人足らずの人間の、ヘルム渓谷での戦闘シーンになると思うのですが、言うまでもありませんが実際に一万人以上のエキストラを使用しているわけではなく、特にウルク・ハイのほとんどはCGで処理されているそうです。
■映画『ロード・オブ・ザ・リング』を埋め尽くすデジタル俳優たち
なんだかすごいことになってますね。CGで作られたキャラクターが決められた動きをしているわけではなく、それぞれがきちんと自分の頭で考えて行動しているんですって。
「戦闘の行方を操作するのは可能だが、そのようなことは今までしていない」とリージェラス氏は言う。「最初に戦闘シーンのテストを実施したとき、(コンピュータで作られた)銀色の戦士を1000人、金色の戦士を1000人用意した。シミュレーションを開始したら、画面奥の方で数人の戦士が丘に向かって逃げていく姿が見えた」
それにしても、今のぼくには何をみても三国志にしか思えないようで、全編を通してぼくの目に映っていたのは、ホビットでもエルフでもウルク・ハイでもゴラムでもなく、劉備と関羽と張飛でありまして、セオデン王がサルマンの軍団から逃れるために、民を連れてヘルム渓谷に向かうシーンなんて、長坂波の戦いにしか見えませんでした。アルゴルンとギムリが城の入り口で敵をばったばったと倒しているシーンでは、「名乗れ!名乗り上げろ!燕人張飛ここにありって言え!」と心のなかで叫んでおりました。ぼく、三国志の中で、長坂波の戦いが一番好きなのです。
それで思ったのですが、ここはひとつ三国志を三部作ぐらいで映画化してみてはいかがでしょうか。さすがに人間をCGで動かすのは難しいかもしれませんが、あと三年もすればできそうです。うわーすげーみてー。三部作じゃ無理か。五部作ぐらい?

『ロード・オブ・ザ・リング』に始まったことでありませんが、この手のお話の大体は、味方はこれでもかというぐらい美男美女、あるいは愛嬌のあるキャラクターばかりで、敵となるともう笑ってしまうぐらいグロテスクで卑怯で陰鬱なやつらばかりなのが愉快です。『ロード・オブ・ザ・リング』は特に、ギャグとしか思えないぐらいの悪役づらがたくさん出てきますし。正義か悪か、黒か白か、陰か陽か、有罪か無罪か、すべてを二元的に考えないと気が済まないのですね、あの方々は。でも面白いからいいの。
音楽とは無縁の生活に終わりを告げるために、友人宅にて月一で開催されている片瀬那奈を聞く会に参加してきました。初めての体験なので、どきどきです。
部屋に入るとそこには男が三人、ワインを飲みながら静かに片瀬那奈の新しいアルバムを聞いておりました。こんにちはと挨拶をすると、三人同時に「しっ!」と口の前に人さし指を立てました。
CDを聞き終えると次はDVD観賞です。片瀬那奈の足が映るたびに三人は大はしゃぎ。仕舞には踊り始める始末。それまでの静けさが嘘のよう。
「もうまじ最高、那奈っち」と思わず窓から飛び出しそうになる男。
「いやほんと一発はめたいっす、こうやってくわえて」と興奮する男。
「なんつーかもう足なめられたら社長になっちゃうって感じ?」とふんまんやるかたない男。
この会に参加したことにより、ぼくの人生は価値を得ました。