03年02月06日(木)

 最近、少し不安になるくらいうんこが出るのです。快便すぎます。ぼくの大腸はどうにかなってしまったのかしら。それはまあ良いとして、本屋をぶらついていたら、つげ義春さんの久々の新刊を発見しました。

 と言っても漫画ではなく、今まで発表してきた作品の中から温泉モノだけを集めた「温泉イラスト&エッセイ集」みたいなものでして、未発表原稿はいくつか収録されているものの、新作や書き下ろしはひとつもありません。まあ、つげ義春の温泉漫画やエッセイが一冊の本にまとまっているというのは、それだけでもなかなか魅力的なことでございまして、値段はそこそこしたのですが(1800円)、つい購入してしまいました。

 嬉しいのは巻末の温泉一覧表で、つげさんが訪れて描いてきた温泉の一覧が、連絡先つきで書きだされています。収録されている写真や原稿のほとんどが二十年以上前に撮られたもの、描かれたものなので、今この本で扱われている温泉に行っても、期待しているような旅情を味わうことは出来ないかもしれませんが、つげさんのファンであれば一度はそれらの温泉に足を運びたいものでしょうし、そんな時にこのような具体的な表はとても役に立つでしょう。

 高野慎三さんの『つげ義春を旅する』によれば、『二岐渓谷』に登場する温泉のモデルとなった湯小屋旅館(この宿は『枯野の宿』のモデルにもなっています)には、今でも年に十人ほどはつげファンが訪れるそうです。ぼくはもう何年も温泉に行っていないので、そろそろ温泉が恋しくて仕方がありません。あの、鉄割のお前ら、どうせ暇ぶっこいてんだろ。行きましょうよ温泉。年末の旅行も駄目になってしまったことですし。ぼく、全部計画するから。温泉にでも浸かって、平和ボケでふ抜けたその腐れ頭と体をシャキッとさせないと、いい演技できないぞ。

 ところで、『貧困旅行記』の一番最初に収められている『蒸発旅日記』が映画化されるそうです。さらに『リアリズムの宿』も現在撮影中?らしく。『蒸発旅日記』は、以下のサイトで全文を読むことができます。

■つげ義春『蒸発旅日記』

 映画化でつげさんにお金が入ると、ますます作品を描かなくなってしまいそうです。『別離』の続編をはやく読みたいのだけど。

03年02月05日(水)

 すっかりはまってしまった『真・三國無双』シリーズですが、このゲームがどうしてこれほどまでに面白いのかといえば、尊敬する歴史上の人物になりきって名高い戦場で戦うことができるというなりきり自己満足の他に、敵兵をぐっちょんぐっちょんに滅多切りに出来るというストレス解消(むしろこちらの割合の方が大きい)という点があります。数十人に囲まれた時に、一気にぶち殺す快感はやってみたものにしかわからないと思います。

 『真・三國無双』にはチャレンジモードというものがありまして、これは100人を斬り殺すのに何分かかるかとか、こちらが死ぬまでに何人殺せるかとかを競うもので、とにかく敵陣に突っ込んで滅多切り切り、やってることはほとんど津山三十人殺しの都井睦雄みたいなもので、ぶっ殺しては次の陣へ、ぶっ殺しては次の陣へと、殺人を繰り返していきます。これがまた気持ち良いのね。

 それでふと思ったのですが、ゲームの中で人を殺すようになったのって、いつからなんでしょうね。ちなみに世界で最初に誕生したコンピュータゲームは、1952年にウィリアム・ヒギンボーサムが開発したテニスゲームで、世界で最初のアーケードゲームは ノーラン・ブッシュネルが1971年に開発した「スペースウォー」だそうです。この数年後には世界初のロールプレイングゲーム「ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ」が誕生し、その後コンピュータゲームの数は一気に増加します。

 おそらく、日本人であるぼくたちが覚えている一番最初のコンピュータゲームは、「ブロック崩し」か「インベーダゲーム」ではないでしょうか。その数年後には「DIG DUG」とか、「パックマン」とか、「マリオブラザーズ」とか出ましたけど、そのいずれもがやっつける対象はエイリアンとか、動物とか、とりあえず人以外のものでした。その時点で人を殺すゲームってあったのかなあ。「ポートピア連続殺人事件」のファミコン版が出たときに、殺人をテーマにしたゲームはけしからんという運動がちょぴっとあったことは覚えているのですが、あれで問題になるぐらいですから、おそらく他に殺人ゲームは存在しなかったのではないかしら。

 それから十数年経った現在では、ゲーム中の暴力的な表現に関する論争は、日常的に行われています。そしてそれらの論争の多くは、極めて短絡的に、偏見と決めつけと僻見に満ちた論者によって、「きっかけ」と「原因」を混同したまま行われているのが実情です。

■暴力的なゲーム、暴力的な子ども
■「暴力的なビデオゲーム」規制条例をめぐる争い

 最近話題になっているのは、『GTA: Vice City』というゲームで、日本では未発売になっていますが、これはそうとうどぎついらしく。「『Vice City』は、プレイヤーが強盗や殺人を企てるゲームだ。売春婦を棍棒で殴り殺したり、パトカーを爆破したり、刑務所で暴動を起こしたり、麻薬の売人にサブマシンガンをぶっぱなしたりできる。

■過激ゲーム『GTA: Vice City』、英デザイナー賞にノミネート

 なんかねえ、なんでもかんでも問題の矛先をゲームやエロ本やその他サブカルチャーに押し付けるのって、大人としての責任を放棄した、卑怯なやり方だと思うのですけどねえ。自分たちの教育やしつけには問題ありましぇん、悪いのはゲームの中の暴力表現でちゅ!って言っているわけでしょう。今大人がやらなくてはいけないことは、ゲームやエロ本の排斥運動ではなくて、顔面シャワーはAVの世界の話なのだよということを、子供にきちんと教えてあげることなのではないでしょうか。あと、三國無双のキャラクターはそーとーかっこよく描かれているので、実際の三国志の皆さんはとてもぶさいくだったのだよということも、きっちり教え込むべきです。三国志のゲームって、みんなファイナルファンタジーみたいになっているの。あれは勘弁して欲しい。横山光輝のキャラクターを、そのまま3Dポリゴンにしてくれれば良かったのに。

 ちなみに『三國無双』には「このゲームには残酷な表現が含まれています」という注意書きはありません。確かに表現は残酷ではありませんから。

03年02月04日(火)

 舞城王太郎氏の期待の新作『阿修羅ガール』を読みました。

 はー、なんでしょう、もう死ぬほど面白かった。やばいくらい。今までの舞城氏の作品のなかで、一番おもしろかったですよ。まじで。それにしても、いくらここで舞城王太郎はおもしろいと書いても、まったく誰からも反応がないのですが、みなさん一度読んでみてくださいよ。はまるひとは本当にはまりますから。

 舞城さんのの小説は、あちらこちらで相当にめちゃくちゃな小説のように書かれておりますが、お話の構造はとてもオーソドックスで、起承転結の形式で書かれています。舞城氏のすごいところは、これは特に『阿修羅ガール』に顕著な特徴なのですが、起はめちゃくちゃ起で、承はびっくりするぐらい承で、転はすがすがしいくらい転で、結は感動的に結なのです。今時いませんよ、あそこまで起承転結をきちんと書く人。

 お話の内容は、80年代ポストモダンじゃないんだからと突っ込みたくなるような内容で、これまた今の時代を考えれば、逆にとても礼儀正しいのではないでしょうか?もし今の時代に太宰並の私小説とか書く作家がいたら、それこそアバンギャルドでしょう。そういえば太宰で思いだしたけど、『阿修羅ガール』のカバーは佐内正史さんの『女生徒』の中の写真を使用しています。それはまあいいとして、『阿修羅ガール』は女子高生の一人称でしかもめちゃくちゃ口語文で書かれているので、読んでいて気持ちいいのです。これ、ぼくだけかもしれないけど、リズムっていうか、語りの口調のリズムがとても良くわかるし、そのリズムにのってすいすい読むことができるのです。むしろ、今どきの女子高生でこんなふうにリズムに乗った口調で話す女の子っているのかしら、と思うくらい。前にも雑記で書きましたが、この人、本当に小説を書くのが上手だなあと、つくづく感心してしまいました。

 以下、軽くネタバレがありますが、ネタがばれたからってこの小説の面白さはたいして変わりません。

 物語は、主人公のアイコが、本当は陽治のことが好きなのに、好きでもないクラスメートの佐野とセックスして自己嫌悪になるところから始まります。次の日学校に行くと、昨日セックスした佐野が誘拐されていて、その嫌疑をかけられたアイコが同級生のマキたちに呼びだしくらい、なんとなく焦ったアイコは、やられる前にマキをボコっちまいます。ところでそんなアイコの住む町は、幼い三つ子をバラバラにして多摩川の河川敷に放置したグルグル魔神を捕まえようと、ネットの匿名掲示板に煽られた中高生が暴動(ハルマゲドン)を起こして大騒動になっていて、アイコはそれを口実に陽治を自宅に呼びだします。玄関のチャイムがなって玄関を開けると、そこにはマキが立っていて、金槌で殴られたアイコはあの世へ行ってしまいます。

 そんでそこからがとてもとてもとてもおもしろくなります。本当に、感動的に面白くなります。好みがあるので誰でも必ず楽しめると断言をすることはできませんが、世の中に生きる人々の四分の一ぐらいには面白いと思います。だから、騙されたと思って読んで。で、つまらなかったら教えて下さい。あやまります。

 次の新作は三月下旬とか。うー、たーのーしーみー。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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