
05年07月22日(金)
年歳三十歳の若さで侘味をもとめる気持ちはおかしい話だけれども、山川の妙を慕い、段々世事を厭じる気持ちである。頃日、私は寒山詩を愛唱している。逃避文学にうつつをぬかしているかたちかもしれない。世に多事の人有り。広く諸の知見を学ぶも、本真の性を識らず。道と転た懸遠なり、若し能く実相を明らかにせば、豈に用って虚願を陳べんや。一念に自心を了せば、仏の知見を開かん。と云うこの詩が好きで、私は多事多才のひとを見ると、意地悪くこの詩を思い出すのだ。私はこの頃、ひまさえあると一人で旅をしている。と言いたいところだが、実はあまりしていない。そしてこの文章は林芙美子さんの随筆のぱくりである。あまりにも好きな文章なので、ぱくらせていただいた。文句があるならかかってきなさい。私はこの頃、ひまさえあると一人で旅をしている自分を想像をしている。あるいは、猫のことを考えている。