04年08月02日(月)

 本日も昼はカフェで読書。水野稔著『黄表紙・洒落本の世界』を読む。目的は山東京伝の黄表紙に関する章だったけれど、前半の洒落本に関する章がとても面白かった。洒落本が誕生したのは享保のなかば過ぎというから、江戸時代も中盤にさしかかった頃。洒落本の「しゃれ」は、お洒落のしゃれ、つまり「気のきいたユーモラスな言葉のおかしさのほかに、身なり・よそおいについても言い、もっと広く、洒脱なさっぱりとした態度」であり、「人間の日常の風姿・言語・行動すべてが都会風な洗練と技功を経て、いかにも軽快明朗な気分をあたえることを基本とする」ような、おしゃれたことを意味する。洒落本の原本を読んでいないのでなんとも言えませんが、この本で紹介されている洒落本の説明を読む限り、めちゃくちゃ興味を魅かれる。『聖遊廓』という作品は、「李白の湯屋に孔子・老子・釈迦の三聖が来合わせ、白楽天を幇間として遊ぶ」というお話。『遊子方言』という作品は、「我より外に色男はなし」とうぬぼれる通人きどりの男が、若者に遊廓での遊び方を教えてやろうとして、逆に恥をかくというお話。冒頭に、登場人物の外貌・衣裳・持物などが細かく説明されていて、いきなり物語に引きこまれる。うー、オリジナルを読みたい。近いうちに図書館に行って、『洒落本大成』をあさろう。

 夕方、ちゃりで多摩湖・狭山湖へ。新青梅街道をひたすら埼玉方向へ走り、東村山のあたりで少し迷って、お巡りさんに方向を聞いて五時半ぐらいに多摩湖に到着。あまり面白くない多摩湖サイクリングロードを走り抜け、狭山湖へ。突然に目の前に現われたとても美しい落日に、自転車を降りて呆然。まわりには、カップルと、おじいさんとおばあさんと、犬を散歩している人がいる。みんな沈んでいく太陽を見ている。近所のコンビニで、スニッカーズとホモソーセージと缶コーヒーを買って来て、湖に映る夕日を眺めながら食べました。好きな人ができたらここへ連れて来て、このすばらしい光景を見せてあげようと思いました。

 帰り道、道沿いに素敵な緑地があったので入ってみたところ集合墓地でした。こわくねえさと強がって走り続けたのですが、まわりをみたら大勢のおばあさんやらおじいさんやら娘さんやらが墓石に座っていました。とても怖かったのですが、今となっては良い思い出です。

04年08月01日(日)

 起床。パンにバターをたっぷりぬってトースターで気合入れて焼いたら、裏面がまっくろこげこげ。グレープフルーツとカフェオレとこげこげトーストで、いつもの朝食。

 昼過ぎにカフェへ。山東京伝という黄表紙本の戯作者についての評伝『山東京伝』を読む。先日、『江戸の恋−「粋」と「艶気」に生きる』という新書に京伝が出ていて、興味を持った。とにかくもう、粋のかたまりのような素敵な男。古本屋で購入した『日本古典文学全集 黄表紙 川柳 狂歌』に収録されている京伝の『江戸生艶樺焼』と『時代世話挺皷』という作品は、今年一番の衝撃なほどに最高に面白かった。『江戸生艶樺焼』は、主人公である不細工おとこ艶二郎が、物語にでてくる主人公のような色男の人生を歩もうとする、つまりは粋な男になろうとするお話。艶二郎は、当時の粋とされているものに次々と手を出していくわけですが、そこにでてくる言葉や感じがたまらなく良い。たとえば、艶二郎はまず最初に「めりやす」をマスターしようとする。次に手紙を書けるようになろうとする(ちなみに、当時の花魁は手紙を書くことが最低の作法とされていた)。さらに彫り物を入れる。彫り物は、少し消えているのがあると良いと言うので、その上からお灸をすえる。芸者をやとって自宅に怒鳴り込ませる。その様子を自分で瓦版に書いて近所に配る。通人として遊廓にいりびたる。などなど。艶二郎くん、まじ最高です。しかしこれ、言葉の面白さというものがとても大きいので、現代語訳にしたら面白さが半分ぐらいになってしまうのだろうな。

 夕方、ちゃりで光が丘公園へ。まるで犬の天国。たくさんの犬が、尻尾をぶるんぶるんぶるるるんと振って走りまわっている。いつか結婚して、子どもができて、小さな犬を飼ったら、毎週日曜日はここへ来て一緒にぶるんぶるんぶるるるんと走りまわろうとなどと考えていたら、ばかでかい犬が尻尾をぶるんぶるんぶるるるんと振りながらぼくの方に走って来た。頭をなでたら、また尻尾をぶるんぶるんぶるるるんと振ってどこかへ去っていった。

 その後、赤塚を通って東京大仏を通って高島平へ。不気味なオーラを放つ四角のマンションが、不規則な角度であちらこちらに建っている。こわい。そういえば昔、自殺の名所として高島平団地のことを読んだことがある。しかし、こんなところで自殺をしたら、ただでさえうかばれない魂が、さらに迷ってしまうのではないだろうか。将来、もし自殺をすることになっても、ここへだけは来ないようにしよう。っていうか、毎日が楽しすぎて自殺している暇なんてないけれど。

 高島平から北へ突進して荒川へ、川に沿って走る。夕方の川沿は、とても気持ちが良い。外環の橋にぶつかったら和光の方へ上がろうと思っていたのに、いつのまにか外環の橋を越えてしまい、それに気づかずに朝霧水門で夕焼けに見とれて、そうこうしているうちに志木の方まで来てしまった。お巡りさんに道を聞いて、帰路につく。あちらこちらからお祭りの音が聞こえる。

04年07月23日(金)

 結局、飛行機のチケットのキャンセル待ちは待っても無駄っぽいので、そのお金で新しいちゃりを買っちまいました。フォルクスワーゲン社から出ているランナバウトというとてもかわいらしい自転車です。ディーラーへ直接行って、「すんませんが自転車を下さい」と言ったところ、店員さんは「は?」というリアクション、まるでコンピューターペンシルを使ったのび太くんを見るドラえもんのような目(参照)でぼくを見ました。渡された自転車も、タイヤに空気が入っていないし、防犯登録もしていないありさま。すぐ近くに自転車屋さんがあったから良かったようなものの、ちょっと適当過ぎやしませんか。

 とにかくも、以前から欲しくて仕方がなかった自転車が手に入ったので、非常にご満悦です。走りまくりますよ。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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