最近、どうにも体が怠け気味なので、できるだけ走るようにしているのですが、帰宅してから走るとなるとどうしても深夜になってしまい、そんな時に走りながら聞いているのが深夜12時からJ-waveで放送しているZero-Hourという番組です。この番組は、週ごとに一冊の本を選んで、朗読をするという番組なのですが、マラソンをしながら聞くととても良い感じです。今週は作品は、宝生舞さんの朗読で、林芙美子さんの紀行集『下駄で歩いた巴里』。宝生舞さんの声で聞く林芙美子さんの文章に、最初は違和感を感じたものの、聞いているうちにそれがなんとも心地よくなってきて、たとえば、
ところで、今朝はね、紅い封筒の厚い銀行からの手紙をもらったのですよ。まるで御伽話でしょう。巴里で打った電報に改造社から言っただけの金を送ってきたのです。全く奇蹟です。私は何も手につかなくて、豹のようになってしまいました。人間にはなかなか複雑な現象があるものです。ピヤノのふたをあけて、一直線に指を走らせましたが、私の今の心のままに鳴ってくれないのです。まるで、井戸の底へ石を投げるようだ。軽い、風の吹くような音というものはこの世の中にはないものでしょうか。私は思いきりこのピヤノをけいべつしてやりました。(番組では若干省略されていました)
なんていう素敵な手紙の文章を読み上げる室生さんの声があまりにもかわいらしくて、特に最後の「私は思いきりこのピヤノをけいべつしてやりました」が素敵で、ピアノをけいべつするその気持ちにも強く共感できて、走りもおのずと早くなります。という話を戌さんにしたところ、「おめえ夜中に走ると死ぬぞ!」と諌められました。
ところで、小説の朗読で思い出したのですが、アメリカの作家トバイアス・ウルフは、ある農民と話をしたときに、次のような話を聞いたそうです。その農民は、農作業のできない冬などに、いろいろな作家の短篇小説を図書館から借りてきて、自分で作品を朗読してテープに録音し、春になるとそれを聞きながら農作業をしている。面白いものは何度もくり返し聞き、つまらないものは消去し、そうやって彼なりのベスト・コレクションを作っている。トバイアス・ウルフが喜んだのは、その彼のコレクションの中に、彼の作品が残っていたことだそうです。
そんな風に小説を愛したいものです。
ライブ当日です。二時に集合して、ライブハウスに入って打ち合せをして、外にでてポークシチューを食べて、勉蔵にロールキャベツをごちそうして、もう一度ライブハウスに戻って音合わせをして、とにかくギターの音を大きくしようとする戌井さんにPAさんが困って、外に出てスタジオに入って一時間程練習をして、まどろみそうな気持ちに気合を入れるために居酒屋に行ってへろんへろんに酔っ払って、二時間程お酒を飲んでライブが始まり、終わってからまた居酒屋に行ってお酒を飲んで、へろんへろんに酔っ払いました。
ライブが終わってみると、なぜか戌井さんのギターがバラバラになっていて、唖然としている彼の姿がとてもかわいそうだったので、息の根を止めて楽にしてやろうかとも思いましたが、演奏の出来はともかく、やっている身としてはとんでもなく楽しかったので、またライブをするためにも、今日のところは許してあげましょう。
次回のライブでは、是非とも向井さんにボイスをお願いしたいです。
明日のライブに向けて、スタジオで練習。スタジオのドアを開けたら、先日警察に逮捕されたばかりのMさんがPCを前に座っていてびっくり。話を聞くと、明日のライブでアナログシンセのシュミレートをしてくれるとのこと。練習をしてみてびっくり、Mさんアナログシンセの効果音、上手じゃない。いままでのおんぴーちゃんは雑音でしたが、今回のズンギバーグはノイズぐらいには成長したのではないかと、個人的には思っているのですが、さて、明日はどうなることやら。
練習後、お酒を飲みに。またもや飲みまくり、体よりもお金がもたないような気がしますが、楽しかったのでよしします。
帰宅後、ポール・トーマス・アンダーソン監督『パンチドランク・ラブ』を観ました。何度も言うようですが、ぼくはこのような、決して監督の代表作にはなりえない、ちょっとした作品が大好きです(このあいだ観た『ディボース・ショー』なんかもそうですが)。最高に面白かった。神経質な男性の恋愛のお話なのですが、『マグノリア』よりも10倍ぐらい面白かったです。やっぱり恋愛の力ってすごいのよ。好きな人ができれば、スーパーマンにだってなれるし空も飛べるはずだし就職だってできてしまうのです。劇中のアダム・サンドラーの「俺の中には力がみなぎっている 一生に一度の恋を とてつもなく強くなってる」なんて台詞も、ぜんぜん恥ずかしくありません。だって、恋をしている人が言っているのですから。それにしても、エミリー・ワトソンって、本当に素敵な女優さんです。





