05年05月10日(火)

 夜、ふとんに入って夏目漱石先生の『私の個人主義』を読みました。個人と国家について述べたこの講演の記録は、ぼくにはまた違った意味で刺激的です。

私が独立した一個の日本人であって、決して英国人の奴婢でない以上はこれくらいの見識は国民の一員として具えていなければならない上に、世界に共通な正直という徳義を重んずる点から見ても、私は私の意見を曲げてはならないのです。
(中略)
私はそれから文芸に対する自己の立脚地を堅めるため、堅めるというより新しく建設するために、文芸とは全く縁のない書物を読み始めました。一口でいうと、自己本位という四字をようやく考えて、その自己本位を立証するために、科学的な研究やら哲学的の思索に耽り出したのであります。今は時勢が違いますから、この辺の事は多少頭のある人には能く解せられているはずですが、その頃は私が幼稚な上に、世間がまだそれほど進んでいなかったので、私の遣り方は実際已を得なかったのです。

私はこの自己本位という言葉を自分の手に握ってから大変強くなりました。彼ら何者ぞやと気概が出ました。今まで茫然と自失していた私に、ここに立って、この道からこう行かなければならないと指示してくれたものは実にこの自我本位の四字なのです。

 この部分だけを引用すると、非常に誤解をされそうなので、こちらをどうぞ。

 この本を始めて読んだのは、たしか大学に入ったばかりの頃だったと思います。それから十数年を経て、未だこの「自己本位」に辿り着くことができないでいる自分を反省しながら、おやすみなさい。

05年05月09日(月)

 最近は古い日本の小説ばかりを読んでいます。一番はまっているのが、中島敦。物語がすごく面白い。藤井くんも絶対に好きだと思う。この人は、中学か高校か忘れたけれど、学校の教科書に載っているということでとても大きな損をしていると思う。国語の教科書なんかに載ってしまったら、面白いものもつまらないものとして記憶されてしまいます。

しかし、何故こんな事になったのだろう。分らぬ。全く何事も我々には判らぬ。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。
『山月記』より

 ぼくが今読んでいるのは岩波版の『山月記・李陵』ですが、次はちくまから出ている全集を読んでみたいと思っています。

05年05月08日(日)

 リトルモアギャラリーにパフォーマンスを観に行きました。パフォーマンスというものは、よく分かりませんが、分かると気持ちが良いものかもしれないと思いました。

 その後たまさんのところへ。いつもよりも大人数。世界中を旅していて、インドで知り合った人とインドで結婚するという女性とお話をしました。本当に楽しい場所です。

 かえりに、プーさんを背中に背負って走っている男がいるので、誰かと思ったら戌井さんでした。なにか精神的な病にかかっているのかしら、と思いました。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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