
散歩しながら考えたことなどを少し書きたいと思う。
ぼくは無前提的な「AはB、だからC」という式を嫌悪する。そのような式を盲信する輩を軽蔑する。宗教は、神という絶対的な価値観を前提としているため、実証を必要としなかった。そこに必要なのは、言葉による理解可能な物語と実感としての世界観だけである。近代において、世界は神という絶対的価値観をはるかに凌駕するほどにそのシステムを進化させた。結果、世界を語るには物語を越えた実証が必要となり、科学が生まれた。科学は絶対的な価値観を持たない。科学における価値観は、実証によって初めて生まれる。科学に絶対的な価値観があるとしたら、それは「世界は実証されなくてはならない」ということだろう。人々は科学によって実証的な世界を得たかのように思えた。しかし実際に人々が得たのは、「実証主義」を前提とした科学という新しい物語に過ぎず、「実証された世界」ではなかった。科学自体は実証的であっても、人々が得た科学の語る物語は、結局のところ無前提的な「AはB、だからC」に過ぎなかった。
結果は原因を伴うと考える人がいる。結論は根拠を伴うと考える人がいる。現象は過程を伴うと考る人がいる。理解を超えた事件が起きれば、その事件が起きた背景を考え、自分たちが納得することのできる原因をでっちあげて安心する。すべての結果を原因で消化しようとする。そうしないと、存在が不安定になるかのように。人類は、常に理由を求めてきた。常に原因を探ってきた。言葉を使用して、物語を生み出してきた。否、物語をこじつけてきた。
想像を超えた事件の原因をこじつけるのは簡単だ。加害者の幼児期の体験、受けた教育、社会の歪み、インターネットの普及、ゲームや漫画の暴力性、分かりやすい理由をでっちあげて、加害者は加害者であると同時にそれらの犠牲者でもある、と考えれば、誰もが納得して安心することができる。分かりやすい原因を想定することによって、理解できないことを理解しようとする。確かにそれらは、事件が起きた背景の一因であったかもしれないけれども、だからといって事件を理解したと考えることは非常に危険である。理解できないものを、理解できるかたちでのみ理解しようとしている限り、また別の想像を超えた悲劇は起きる。世界はぼくたちの理解の中に存在する。けれども、事件はぼくたちの理解の中で起きているわけではない。
理解できないものは理解できないままに放置しておけと言いたいわけではもちろんない。理解できないことを、都合のよい形で理解してしまう危険性について考えているのだ。
そしてもうひとつ付け加えると、実は人が求めるのは「理解」ではない。理解しているという安心感である。だから科学的に実証されたとする「AはB、だからC」という式をなんの疑いもなく受け入れ、その命題に合せて世界を変更する。たとえその式に、実感がなくとも。
ぼくが聞きたいのは「なぜぼくたちは、実感なしに確信することができるのだろう?」ということだ。他人から与えられた「AはB、だからC」という式に制御された世界に生きて、なぜそれが正しいと確信することができるのか。実感とは、前提である。実感の伴わない確信を、ぼくは嫌悪する。
起床。どうも体調がよろしくない。体がだるい。
国立歴史民俗博物館のサイトの「サーカスの夜明け−軽業芸人の海外交流」という特集を読んでいたら、なんと鉄割が取り上げられているではありませんか。ぼくたちもかなり有名になったのだなあと思っていたら、取り上げられているのはオリジナルの鉄割一家でした。
周りにある名前が書いてある掛け軸みたいの、これって何っていうんでしたっけ?割り書き?じゃないよね。とにかく、この名前が書いてあるのがとてもよろしくて、右端のやつだけ「足藝元祖」って書いてあります。鉄割のちらしも一度だけメンバーの名字を全部「鉄割」にしたことがあるのだけど、やっぱりそのほうがかっこいいと思うので、次のちらしは独断でそうすることにしよう。
ひとつ気になるのが、サイト内の「鉄割福松」に「かねわりふくまつ」というルビがふってあることで、鉄割はてつわりではなくて、当時はかねわりだったのかしら。そこらへんのこと、よくわからないのですが、熊蔵の子孫のかたは「てつわり」を名乗っていたから、やっぱてつわりだよねえ。
さて、今週末は登山でございます。本日の日記は犬と内への連絡となっております。
いろいろと考慮した結果、登山初心者のぼくたちとしては、目に見える喜びが欲しいということで、展望が美しいと評判の常念岳ー蝶ヶ岳を縦走することにしました。本当は少し無理をして、槍ケ岳や笠ケ岳を登って播隆上人の歩いた山道を辿りたい気持ちもあったのですが、調べてみると槍は一泊ではいけそうにないし、笠ケ岳はなかなかの上級コースらしいので、遭難したりして東京に残してきた恋人たちを悲しませてはいけないので、今回は断念した次第でございます。
堀金村役場行政情報案内を参考に、コースを考えてみました。
午前二時、集合。
調布ICから中央自動車道に乗り、岡谷JCTで長野自動車道に入り、豊科ICで降りて(5050円)、一ノ沢登山口へ。
一日目
一ノ沢登山口 --(0:20)-- 山ノ神 --(1:00)-- 王滝ベンチ --(2:00)-- 高巻き道 --(0:30)-- 最後の水場 --(0:30)-- 常念小屋 --(余裕がなければここまで)--(1:00)-- 常念岳 --(0:45)-- 常念小屋(六時間ぐらい)
常念小屋で一泊(8500円)
二日目
常念小屋 --(1:00)-- 常念岳 --(3:00)-- 蝶ヶ岳 --(2:00)-- まめうち平 --(1:20)-- 力水 --(0:20)-- 三股登山口(八時間ぐらい)
タクシーで一ノ沢までもどる(6500円)
豊科ICから帰宅(5050円)
高速代とタクシー代とガソリン代は頭割り(ひとり6000円から7000円)
山小屋が8500円(二食付)
問題は天気です。多少の小雨であればよいのですが、地上で小雨でも山ではどしゃぶりということも考えられます。現地が雨の時は、残念だけど中止にしましょう。曇りだったら決行ということで。