02年10月27日(日)

 久しぶりに誰にも会わない日曜日でした。

 春には春の、夏には夏の、秋には秋の散歩の楽しさがございます。
 今の時期は、紅葉の美しさまであと一歩、秋の深さまであと一歩、といった感じの季節の隙でして、歩いているとなにげに妙趣を感じたりします。

秋来ぬと
目にはさやかに
見えねども
風のおとにぞ
おどろかれぬる

 などと藤原敏行なぞは詠んでおりますが、季節の変化は目には見えないのに、風の音に秋を感じる、それこそまさに今の時期でございます。散歩をしていると、ふっ、とこれからやってくる秋の深さの香りがすることがあります。せち辛い世の中、せめてに四季の香りだけでも忘れずに楽しみたいものでございます。

 けれども、散歩をしていて一番楽しいのは

りそうのかっぷる

 相変わらずいつも一緒にいる彼らに会うことです。いつも仲が良くて、羨ましい限りです。

にゃーご

 これから寒い冬が待っております。冬の散歩もまた楽しみでございます。

02年10月26日(土)

多摩公演関係で盛り上がっているところも申し訳ありません、『萌の朱雀』を観ました。

 期待をせずに映画を観ると、時としてこのような素晴らしい映画に出会うことがあります。と書こうと思っていたら、この映画、鉄割の映画通の方々には酷評の嵐でした。悲しいです。

 物語は、奈良の西吉野村の住むある家族の離散を描いたものです。キャストは父親役以外はすべて実際に西吉野村に住んでいる村人たちで、この映画を撮影するにあたり、監督とスタッフは村の空き家に住み込み、時間をかけて村の人々と交流を重ねたそうです。劇中、セリフはとても少なく、音楽もほとんど入りません。美しい吉野の自然と、村人たちの自然な振る舞いが、観ていてとても心地よくて。酷評していた皆さま方にもう一度観て欲しい。前知識を全部なくして。ぼくの気持ちで観て下さい。

 監督は、河瀬直美さんという若い方で、27歳の時に『萌の朱雀』でカンヌ映画祭新人賞を受賞しています。その後も『杣人物語』、『万華鏡』、『火垂』などを発表し続け、現在は『沙羅双樹』を撮影中だそうです。

 河瀬直美さんの撮る作品は、一貫して奈良が舞台となっています。奈良好きのぼくにはそれだけでもたまりません。っていうか、それだけでメガネが曇ってしまい、素晴らしい映画だと思ってしまいます。『火垂』はストリッパーと天涯孤独の青年の恋愛物語。『沙羅双樹』は少年犯罪をテーマとしているそうです。『火垂』もビデオになっているらしいので、早速観てみましょう。

なら

“東大寺二月堂の修二会(お水取り)の業が終わると、春が来る。” 厳しい冬に耐えながら、やがて来る春を待ちわびて、この地に暮らす人々はそう言い伝えてきた。
『火垂』より
02年10月25日(金)

 好きな方にメールを送って返事が来ないというのは辛いものです。ぼくにもそのような経験はありますから、気持ちは分かるのですが、先日ある友人が恋い焦がれている女性にメールを送ったところ、一向に返事が返って来ず、明日まで待てと言うぼくたちの意見を全く聞かずに、携帯電話を片手に道路で転がり回って煩悶しておりました。

 メールを送って一時間やそこらで返事が来ないからといって、そこまで苦しまなくても良いのではないかなどと慰めはしたものの、「ぼくはもう鉄割をやめます」などと軽々しく口にするメガネを見ていると、不甲斐のない自分を見ているようで心苦しくも憤慨してしまい、脳天踵落としなどを食らわせて地面に口づけをさせてみましたが、それでもなお「ぼくちんはあの女性(ひと)じゃないと結婚しないもん!」などとメガネをずらして涙声の友人を見ていると、ついつい情け心が湧いてしまい、「ならば行け。道は己の前にある」と励ましてはみたものの、片や令嬢、片やメガネ、この世界に愛の形は多々あれど、かなわぬ恋も数知れず、せめて愛の詩を口にするだけの勇気があれば事が進むこともありましょうが、ただ遠くで見つめていたい、サインが欲しい、ファンクラブを作りたいなどとほざいているメガネに希望はないのではないか、などと危惧している次第であります。

 そんな高村君にオスマントルコの思想家ターピュンコ・ラムウコの言葉を捧げます。

愛は確かに眼鏡を曇らせる。しかし、その曇った眼鏡を外してみなさい。あなたの両目は、眼鏡を必要としないほどに視力が回復しているから。

桜庭

 四の五の言わず、頑張って欲しいものです。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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