
お馬鹿ちん揃いの鉄割のメンバーの中で、唯一の碩学である制作スタッフの藤井君がぼくよりもずーっと年下であることが判明してショックを受けております。
藤井君は、見た目はとても若いのですが、随分としっかりとしているし、本もぼくの100倍ぐらい読んでいるし、いろいろと造詣も深いので、勝手に自分と同世代だろうなどと推測し、同世代である友人がこれほどまでに明晰であるのに、僕はと言えばなどと落ち込んだりもしたのですが、相当に年下であることが判明してみると、もうどうでもいいやというか、人間努力しても駄目なものは駄目なのね、などと諦観してしまう次第でございます。
先日もお酒を飲みながらお話ししていた折、話題が妖怪のことになりまして、年少のころにゲゲゲの鬼太郎にはまっていた身としては、程を知らずにあたかも妖怪博士のように振る舞ってしまったのですが、藤井君は『今昔物語』などから妖怪を引用し、さらに聞けば『宇治拾遺物語』などにも通じているらしく、とても面白いお話を聞かせていただきました。虚栄心と申しますか、ついついぼくも今昔物語を通読しているようなことを申してしまいましたが、実は水木しげるの漫画でしか読んだことがありましぇん。うふふ。あまり深い話になるとボロが出てしまうので、ぼくの創作である妖怪ケツ洗い(温泉でケツを洗っている妖怪)のお話をしてお茶を濁しました。
そんな藤井君をはじめとして、鉄割のスタッフの方々は、皆さん個性豊かでとても素敵な人ばかりです。人見知りのぼくとしては、目が合っても舌打ちをして睨めつけることぐらいしかできませんが、鉄割は彼ら彼女らの好意がなければ存続することができないし、ぼくたちが本番前にのんべんだらりんと寛ぐことが出来るのも、偏にお手伝いさんたちのおかげでございます。今後とも、よろしくお願いします。
皆さんも鉄割のお手伝いさんになって、鉄割の御友達になりませんか。本番当日の御手伝い、ちらし配り、制作、どのようなことでも結構ですので、手伝ってやっても良いという方がいらっしゃいましたら、iron@tetsuwari.comまで御一報ください。
一緒にお酒でも飲みながら、妖怪の話しでも致しましょう。
『レス・ザン・ゼロ』に続くブレット・イーストン・エリスの第二作目、『ルールズ・オブ・アトラクション』が映画化されました。これで『レス・ザン・ゼロ』から『アメリカン・サイコ』までの初期の三作品は全部映画化されたことになるのかしら。
相当に楽しみなのですが、ここやここやここ辺りののレビューを観ると、かなり評価が低く、不安になってしまいます。まあ、でもねえ、映画ばかりは自分の目で観てみないとなんとも言えませんから。
最近思うところあって80年代のアメリカ文学をランダムに読んでいるのですが、ださいださいと思っていた80年代アメリカ文学も、改めて読んでみるとなかなか面白くて、マジソン・スマートベルの『ゼロ・デシ・ベル』なんか、以前に読んだときは、音響技師がバーでテープレコーダを回して自分とまわりの音を録音し続けるという設定がとても陳腐でつまらなく感じたのですが、今読むとそれが逆に面白くて、設定もストーリーも語られている内容も、全部新鮮に感じてしまいました。バタ臭さは残るけど。
いわゆる「あらかじめ失われた世代」の作家は、日本で言えば明治以後の日本文学の黎明期が過ぎた頃に登場して、明治後期から大正にかけて活躍したおぼっちゃん小説家たちみたいな感じで、ぼくの中でイメージがとても悪いのですが(『アメリカン・サイコ』なんか、完全にギャグとしか思えないし)、それはもしかしたらぼくが思いっきりその時代を体感した世代だからかもしれません。今ちょっくら離れたところからそれらの作品を読んでみると、以前とは全然違う印象を受けますもの。
で、『ルールズ・オブ・アトラクション』ですが、日本でいつ公開されるのか、あるいは公開自体がされるのか、さっぱりわかりませんが、とりあえずポスターがかわいいのです。
先日、某友人宅に招かれ、『地獄の黙示録ー完全版』を大きなプロジェクターで観ました。それが大層面白かったので、別の友人にその話をしたところ、その友人もちょうど『地獄の黙示録ー完全版』のDVDを買ったところだと言うことで、朝方までその友人の家でお酒を飲みながらDVDを流しっぱなしにして、エロトークで盛り上がりました。
「完全版」は、オリジナル版でカットされていたシーンを追加したもので、それらのシーンはコッポラが不要と判断してカットしたわけですから、蛇足ということになるのでしょうが、それらのシーンの中には重要なものもいくつかあって、たとえばキャストが不満でカットされたというフランス人の領主のシーンなどは、それがあるのとないのとでは映画の印象が変わってしまうような、そこまでは言わなくともそれに近いぐらい重要なシーンなのではないか、などと個人的には思ってしまったりして。
それで、こんなページがあるのですが
このサイトは、『地獄の黙示録』に関するいろいろなエピソードを紹介しています。
「サム・ボトムズが本物のドラッグを服用させられた」とか、デニス・ホッパーが「朝から晩まで麻薬漬けで台詞をまるで憶えていなかった」とか、丸々と太ったマーロン・ブランドが演じるカーツ大佐の設定を「女を何人もはべらせ、マンゴの喰い過ぎで太ったんだ」ということにしようとしたところ、でぶを気にしていたマーロン・ブランドがそれを拒否したとか、当初主役のウイラードを演じる予定だったハーベイ・カイテルが、七年間拘束の契約書を突きつけられて、主役の座を降りたとか。コッポラが、どれだけ自分勝手に苦しんでいたかとか。
原作というか元ネタというか、ジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』は未読なので、暇を見つけて読んでみましょう。