
『インソムニア』を観てきました。
我が家の直ぐ近くにある映画館はいつもがらがらでして、『インソムニア』も公開初日であるにもかかわらず、客席は三分の一も埋まっていませんでした。
映画は、ある事件の調査で白夜の地に赴いたアル・パチーノ演じる刑事が、秘密を胸に六日間眠れなくなってしまうというお話で、そういえば鉄割の勉蔵君も「六日ぐらいは眠らないです」などと良く言っているなあと思い出し、それ以後アル・パチーノが勉蔵君にしか見えなくなってしまい、せっかくの映画が台なしでした。あとで勉蔵君に映画代を返してもらおうと思っています。
クリストファー・ノーランの作品を観るのは初めてだったのですが、話題になった『メメント』よりも、デビュー作の『フォロウィング』の方がとても観たい。
作家志望のビルは、創作のヒントを得るため、通りすがりの人々の跡をつける行為を繰り返していた。
ほら、ストーリーの最初の一行だけですごく面白そうでしょう。
夜、あまりにも暇だったので御友達を吉祥寺に呼びだして、そろそろ人生切羽詰まってきたね、とかいろいろなことを話ながら、朝方まで飲み明かしました。最近ちょっと御酒の飲み過ぎです。
今月号のユリイカは「ブロンテ姉妹」特集です。
そんでは『ジェーン・エア』の映画を観てみましょうと、ビデオレンタルで異なるバージョンの『ジェーン・エア』を三種類ほど借りてきました。いやー三本連続はきつかった。
個人的に一番良かったのは、映画としては一番新しいシャルロット・ゲンズブールの演じたジェーン・エアで、個性的な顔をしているけど決して美人ではないというジェーンのイメージにぴったりで、仕草や表情なんかも完全にジェーンそのものでした。観ているだけで気持ちが良い演技というものがありますが、彼女の演技はまさしくそれでして。ああ、素敵。
シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』は、文学史上の古典や名作をほとんど読まないぼくが通読した、数少ない名作のうちのひとつです。昔、好きだった女の子に勧められていやいや読み始めたのですが、あっという間に夢中になってしまいました。ジェンダー的な読み方なんて、これっぽっちもしなかったけど。
また、現在持っているよりも、もっと多くの実際的な経験を欲し、わたしのような種類の人たちと、ここで接しているよりも、もっと多くの交渉を持ち、もっといろんな性格の人たちと、知りあいになりたいと願った。わたしはフェアファックス夫人の美点を尊重し、アデールの良いところを重んじた。けれどもわたしは、この世には、もっと別の存在、もっといきいきとしたよさがあることを信じ、私の信じたものを見届けたいと思った。
映画を観ながら小説の『ジェーン・エア』をぱらぱらと捲っていたら、こんな独白に行き当たりました。映画の中でも、シャルロットが同様のセリフをとても素敵に独白します。そういえばぼくが好きだった人も、よくこのようなことを言っておりました。向田邦子さんもこんなこと言ってたな。ぼくはこういう女性が好きなのかしら。
『嵐が丘』のエミリ・ブロンテと、シャーロット・ブロンテが姉妹だって知ってました?