
02年07月23日(火)
オリバー・ストーン監督の『U・ターン』を観ました。
リブ・タイラーが目当てで観たのですが、観終えたときにはそんなことはすっかり忘れていました。友達が「結構面白いよ」と言っていたのですが、結構どころか最高に面白かったです。始まりから終わりまで、全部面白かった。オリーバー・ストーン監督の作品って、正直あまり好きではないのですが、この映画は別です。とても満足してしまいました。けど、ビデオレンタルでこのビデオをリブ・タイラーの棚に置くのはやめて欲しい。五秒ぐらいしか出てないじゃん。
あまりにもストーリーが良かったので、この映画の原作は一体誰なのだろうと思いクレジットを観たところ、ジョン・リドリーという人で、一応肩書きは映画監督ということらしいのですが、実際に何を監督したのかは不明です。脚本なんかは結構書いているらしく、「U・ターン」の脚本も担当しているし、『スリー・キングス』の原案なんかも彼の作品だそうです。
それで、早速『U・ターン』の原作である『Stray Dogs』の邦訳『ネヴァダの犬たち』を古本屋で探して購入、読んでみたのですが、これが死ぬほどおもしろい。最初に『U・ターン』の脚本を書いて、その後にこの小説を書いたということなので、内容は映画にかなり忠実ですが、映画を観ないでこの小説を読んだとしても、十分に面白いと思います。
で、ストーリーですが、ぼくが説明するよりも、本のディスクリプションを読んだほうが分かりやすいと思いますので、下にそのまま引用します。
「ノアール(暗黒)」という言葉に関しては、山田宏一さんが詳しく説明しているので、孫引用になってしまいますが、下に引用します。
ジョン・リドリーのその他の作品はというと、借金地獄の元脚本家志望ジェフティ・キトリッジが、どん底から這い出て真実の愛を見つけようとペテン計画を企てる『Love is Rocket(邦題:愛はいかがわしく)』、ジャッキー・マンという黒人のコメディアンが、人種差別の吹き荒れる公民権運動の揺籃期に、ハリウッドでスターダムへとのし上がる過程を描いた『A Conversation with the Mann: A Novel』、何をやっても長続きしないパリス・スコットという青年が、自殺したロックスターのテープと、盗んだドラッグから得たお金をもとに夢をかなえようとする『Everybody Smokes In Hell』などなど。さらに、来月には新作『The Drift』なんかも出るみたいです。
とりあえず、あと何冊か読んでみることにしましょう。
正直、ぼくはこの辺のジャンルにとても弱いので、もし詳しい人がいたらお勧めとかを教えて下さい。宗形君とかが詳しいのでしょうね。多分。

「計画?人間の計画はあてにならん。みんな計画外だ。俺の目も、お前がここに来たのも、こうしているのもな。」(盲目のインディアンが、ボブ・クーパに)
リブ・タイラーが目当てで観たのですが、観終えたときにはそんなことはすっかり忘れていました。友達が「結構面白いよ」と言っていたのですが、結構どころか最高に面白かったです。始まりから終わりまで、全部面白かった。オリーバー・ストーン監督の作品って、正直あまり好きではないのですが、この映画は別です。とても満足してしまいました。けど、ビデオレンタルでこのビデオをリブ・タイラーの棚に置くのはやめて欲しい。五秒ぐらいしか出てないじゃん。
あまりにもストーリーが良かったので、この映画の原作は一体誰なのだろうと思いクレジットを観たところ、ジョン・リドリーという人で、一応肩書きは映画監督ということらしいのですが、実際に何を監督したのかは不明です。脚本なんかは結構書いているらしく、「U・ターン」の脚本も担当しているし、『スリー・キングス』の原案なんかも彼の作品だそうです。
それで、早速『U・ターン』の原作である『Stray Dogs』の邦訳『ネヴァダの犬たち』を古本屋で探して購入、読んでみたのですが、これが死ぬほどおもしろい。最初に『U・ターン』の脚本を書いて、その後にこの小説を書いたということなので、内容は映画にかなり忠実ですが、映画を観ないでこの小説を読んだとしても、十分に面白いと思います。
で、ストーリーですが、ぼくが説明するよりも、本のディスクリプションを読んだほうが分かりやすいと思いますので、下にそのまま引用します。
「この世には神も、仏も、ロン・ハバードもいないのか!?」とジョンは天を仰いだ。愛車’64年型マスタングがネヴァダ砂漠でオーバーヒートしてしまったのだ。明日の午前0時までに、ラスベガスのギャングのところまで借金1万3千ドルを返しに行かなければならないというのに。身から出たサビ、八百長カードゲームでこしらえた借りだが、返さないことにはこの身が危ない。マスタングをなだめすかし、ようやくちっぽけな町、シエラにたどりついたが…熱さにさらされた町の住人は、どこかが変だ。鄙には稀な美貌の人妻グレースはいきなりジョンを誘惑し、冷たい飲み物を飲みに入った店では強盗に大事な1万3千ドルを奪われ、そのためにマスタングの修理代も払えず町を出ることすらできない。ギャングとの約束の時間は刻々と近づいてくる。そして、ジョンの運命は際限なく悪い方へ転がり落ちていった。『ネヴァダの犬たち』の巻末の解説によると、この小説は「新しいパルプ・ノアール(B級暗黒もの)」と呼ばれているそうです。「パルプ・ノアール」というのは、「ザラ紙に刷られた大衆雑誌(パルプ)の持つ雰囲気を、トンプスンらクライム・ノヴェル作家によるペイパーバック作品の暗黒(ノワール)性と重ね合わせた」作風のことです。
「ノアール(暗黒)」という言葉に関しては、山田宏一さんが詳しく説明しているので、孫引用になってしまいますが、下に引用します。
山田宏一『映画的なあまりに映画的な美女と犯罪』よりクライム・フィクションというジャンルは、ジェイムズ・エルロイぐらいしかきちんと読んだことがないのですが、なんだかとてもおもしろそうです。どうしてもタランティーノを思い出してしまいますけど。
<フィルム・ノワール>とは何かー「アメリカ映画序説」の著者スティーブン・C・アーリーによれば、「戦前のギャング映画に飽き始めた大衆を惹きつけるために、ハリウッドが1940年代に、暗いペシミズムのムードで味付けして生み出した新しいタイプの犯罪スリラー」である。それを<フィルム・ノワール>と呼んだのは、(中略)<アメリカン・スタイル>に魅惑されたフランスの映画狂たちで、1945年にマルセル・デュアメル監修でパリのガリマール社から発売されるやブームを巻き起こした有名な犯罪推理小説叢書<セリ・ノワール>(暗黒叢書)もあやかって、暗黒(ノワール)の形容がアメリカの犯罪映画に対するオマージュとして付されたのであった。
(「女の犯罪、女の活劇ー<フィルム・ノワール>断章」)
ジョン・リドリーのその他の作品はというと、借金地獄の元脚本家志望ジェフティ・キトリッジが、どん底から這い出て真実の愛を見つけようとペテン計画を企てる『Love is Rocket(邦題:愛はいかがわしく)』、ジャッキー・マンという黒人のコメディアンが、人種差別の吹き荒れる公民権運動の揺籃期に、ハリウッドでスターダムへとのし上がる過程を描いた『A Conversation with the Mann: A Novel』、何をやっても長続きしないパリス・スコットという青年が、自殺したロックスターのテープと、盗んだドラッグから得たお金をもとに夢をかなえようとする『Everybody Smokes In Hell』などなど。さらに、来月には新作『The Drift』なんかも出るみたいです。
とりあえず、あと何冊か読んでみることにしましょう。
正直、ぼくはこの辺のジャンルにとても弱いので、もし詳しい人がいたらお勧めとかを教えて下さい。宗形君とかが詳しいのでしょうね。多分。

「計画?人間の計画はあてにならん。みんな計画外だ。俺の目も、お前がここに来たのも、こうしているのもな。」(盲目のインディアンが、ボブ・クーパに)
02年07月22日(月)
アメリカ文学のお話。
少し前になりますが、ドン・デリーロの「アンダーワールド」の翻訳本が出版されました。
「来たるべき作家たち」なんかでは、1998年の段階で翻訳が「来年出版予定」と書いてあったのですが、結局今年までかかってしまったみたいです。
本屋でかるく立ち読みしたのですが、とにかく分厚い。分厚いのが二冊。翻訳される前は、「読みたいよ!読みたいよ!早く翻訳してくれよ!」とずっと思っていたのですが、いざ出版されるとなかなか読む気にも、買う気にもなりません。
リチャード・パワーズの「ガラテイア2.2」なんかもずーっと翻訳されるのを待っていたのですが、いざ出版されるとどうしても読む気になれません。すげー面白そうなんですけどね。
単に人工知能がテーマの小説なのかと思っていたら、群像に載っていた横田創さんの「ガラテイア2.2」の書評なんかを読むと、そんな単純なものではなさそうですね。(当たり前?)
何だか書いているうちに、『アンダーワールド』と『ガラテイア2.2』が無性に読みたくなってきました。今週末は読書三昧しようかしら。
ポール・オースターは『The Red Notebook: True Stories』が出たり。
とりあえずAmazonでペーパーバックを購入してみましたけど、内容的にはあちこちに収録されているエッセイの寄せ集めです。
でも、
「Why write?」とかも収録されていますし。これ、かなりおもしろいですよ。
さらに本屋を徘徊していると、スティーブン・ミルハウザーの『マーティン・ドレスラーの夢』が出ているのを見つけたり、マイケル・シェイボンの『悩める狼男たち』なんかも読みたいなあと思ったり、読みたい本は山ほどあれど、日常の細事に追われ、思うままには読む能わず。
ところで、デリーロとパワーズといえば、新潮の2000年12月号には、以下のような記事が載っていました。
■Beyond Words—テロ惨劇に呼び起こされた、アメリカ作家たちの“声”
去年の10月11日にニューヨークで行われた「Beyond Words(言葉では言い尽くせない)」というタイトルの朗読会から、現在のアメリカ文学界の現状までを新元良一さんがレポートしています。
言葉を表現の手段としている文学者達が、言葉を越えた(Beyond Words)世界を経験したとき、どのような物語が誕生するのか。
というレポートです。
(言葉を越えた世界というのは、言うまでもなく9.11のことです。)

少し前になりますが、ドン・デリーロの「アンダーワールド」の翻訳本が出版されました。
「来たるべき作家たち」なんかでは、1998年の段階で翻訳が「来年出版予定」と書いてあったのですが、結局今年までかかってしまったみたいです。
本屋でかるく立ち読みしたのですが、とにかく分厚い。分厚いのが二冊。翻訳される前は、「読みたいよ!読みたいよ!早く翻訳してくれよ!」とずっと思っていたのですが、いざ出版されるとなかなか読む気にも、買う気にもなりません。
リチャード・パワーズの「ガラテイア2.2」なんかもずーっと翻訳されるのを待っていたのですが、いざ出版されるとどうしても読む気になれません。すげー面白そうなんですけどね。
単に人工知能がテーマの小説なのかと思っていたら、群像に載っていた横田創さんの「ガラテイア2.2」の書評なんかを読むと、そんな単純なものではなさそうですね。(当たり前?)
『息を呑むほど壮大で華麗なインチキ』であるこの小説は、自分の『インチキ』を証明するために書かれている。そして今、賭けられているのは、この小説をトレーニングしている(読んでいる)私たちなのだ。『中心になる時制は現在だ。物語の要点は、あなたが物語をどうするかにある。』ああ、やっぱり面白そうだな。
何だか書いているうちに、『アンダーワールド』と『ガラテイア2.2』が無性に読みたくなってきました。今週末は読書三昧しようかしら。
ポール・オースターは『The Red Notebook: True Stories』が出たり。
とりあえずAmazonでペーパーバックを購入してみましたけど、内容的にはあちこちに収録されているエッセイの寄せ集めです。
でも、
Auster again explores events from the real world —large and small, tragic and comic—that reveal the unpredictable, shifting nature of human experience.なんていう説明を読むと、買わずにはいられませんよ。
「Why write?」とかも収録されていますし。これ、かなりおもしろいですよ。
さらに本屋を徘徊していると、スティーブン・ミルハウザーの『マーティン・ドレスラーの夢』が出ているのを見つけたり、マイケル・シェイボンの『悩める狼男たち』なんかも読みたいなあと思ったり、読みたい本は山ほどあれど、日常の細事に追われ、思うままには読む能わず。
ところで、デリーロとパワーズといえば、新潮の2000年12月号には、以下のような記事が載っていました。
■Beyond Words—テロ惨劇に呼び起こされた、アメリカ作家たちの“声”
去年の10月11日にニューヨークで行われた「Beyond Words(言葉では言い尽くせない)」というタイトルの朗読会から、現在のアメリカ文学界の現状までを新元良一さんがレポートしています。
言葉を表現の手段としている文学者達が、言葉を越えた(Beyond Words)世界を経験したとき、どのような物語が誕生するのか。
というレポートです。
(言葉を越えた世界というのは、言うまでもなく9.11のことです。)

02年07月21日(日)
昨日の日記にも書きましたが、ウィリアム・T・ヴォルマンの「蝶の物語たち」を購入し、現在読書中です。
最初はすげー読みづれーとか思っていましたが、読んでいくうちにどんどんはまっていく。随所にちりばめられたヴォルマン自身による挿し絵が、とてもよい効果を出しております。
こんな挿し絵。かわいいでしょ。

東南アジアに旅行に行くからというわけではないけれど、ヴォルマンは個人的にそうとう気になっていた作家さんでして、彼の書くものと言ったら、世界中を旅して娼婦やドラッグやピストルや国境や正義や難民なんかを描いた旅行記とか、あるいはアメリカの歴史がこれでもかこれでもかとばかり滔々と書きつづられている歴史小説とか、あるいはタイで売春婦を救出する様を描いたアクションもの(っていうかノンフィクションなのですが)とか、そのような作品ばかりなのです。
アメリカの歴史を描いた「Seven Dreams」というシリーズは、全7巻になりますが、いまのところまだ4巻しかでていなくて、全部で15年をかけるつもり(フィネガンズ・ウェイク!)らしいので、全部が完成するのは2005年になるそうです。
建国以来200年少ししか経っていないアメリカという国を、千年の時間を遡って描き、「ヴォルマンの体内に流れるアメリカ人という血の中に、先祖代々から受け継がれたさまざまな記憶を読み解き、言葉に変えていこうとする試みなのだ。」(『ヴォルマン、お前は何者だ!』より)
これ、翻訳をするのはかなり大変だとは思いますが、なんとか翻訳してくれないかしら。とても読みたいのだけど。
世界百二十六都市を巡るヴォルマンの旅をもとに描かれた「The Atlas」という作品は、川端康成の「掌の小説」に着想を得て書かれたもので、各都市を描いたショート・ストーリーをすべて読むと、内在しているテーマが見えてくる、という手法で書かれています。もちろんトーキョーオーサカも入っていますよ。この作品も未訳です。
それでは一体どの作品が翻訳されているのかというと、
■ザ・ライフルズ
(Amazonの紹介文)「北西航路」を探して北極圏で全滅した19世紀英国のフランクリン探検隊。領土確保のために同地への移住を余儀なくされた、ケベック州のイヌイットたち。凍てつく極北の地を舞台に、2つの物語が時空を越えて結びつく。
■蝶の物語たち(現在読書中)
(Amazonの紹介文)愛する娼婦ヴァンナが消えた!?アメリカ人ジャーナリストは彼女を探し、地雷と密林、タイ—カンボジア国境を越える—東南アジアの純真をセクシュアルに描く極熱のラブストーリー。
■ハッピー・ガールズ、バッド・ガールズ
(Amazonの紹介文)娼婦、ドラッグディーラー、ポルノグラファー、ポン引き、手錠フェチ、現代アメリカのオブセッションを描く、若き鬼才の傑作。どこか壊れてしまった人間たち、崩壊せざるを得ない人間たちの姿。
の三作品で、その他
■ヴォルマン、お前はなに者だ!—地球のオルタナティヴを描く記録天使
というヴォルマン特集雑誌も出ています。この本がなかったら、ぼくがヴォルマンに興味を持つことなんておそらくなかったでしょう。
あと、ぼくのお気に入りの小説集に「Positive 01-ポストモダン小説、ピンチョン以後の作家たち」があるのですが、その中にも「The Grave of Lost Stories」という作品が翻訳されています。これは「Thirteen Stories and Thirteen Epitaphs」に収められている作品のひとつなのですが、「Thirteen〜」の邦訳である「ハッピー・ガールズ、バッド・ガールズ」に収められているものとは訳者が違うみたいです。
娼婦が大好きで、アジアの各国に現地妻がいるという噂もありますが、本人は否定していて、何年か前には正式に結婚もしたみたいです。いっそのこと、アジアの娼婦とかと結婚すれば良かったのに。坪内逍遥みたいに。
しかし、このヴォルマン君、中島君の弟さんに顏がそっくりなのです。

ですから、「蝶の物語たち」を読んでいると、ぼくの頭の中には、中島君の弟が娼婦の恋人を探して東南アジアをさまよっている姿が浮かんで仕方がありません。
最初はすげー読みづれーとか思っていましたが、読んでいくうちにどんどんはまっていく。随所にちりばめられたヴォルマン自身による挿し絵が、とてもよい効果を出しております。
こんな挿し絵。かわいいでしょ。

東南アジアに旅行に行くからというわけではないけれど、ヴォルマンは個人的にそうとう気になっていた作家さんでして、彼の書くものと言ったら、世界中を旅して娼婦やドラッグやピストルや国境や正義や難民なんかを描いた旅行記とか、あるいはアメリカの歴史がこれでもかこれでもかとばかり滔々と書きつづられている歴史小説とか、あるいはタイで売春婦を救出する様を描いたアクションもの(っていうかノンフィクションなのですが)とか、そのような作品ばかりなのです。
アメリカの歴史を描いた「Seven Dreams」というシリーズは、全7巻になりますが、いまのところまだ4巻しかでていなくて、全部で15年をかけるつもり(フィネガンズ・ウェイク!)らしいので、全部が完成するのは2005年になるそうです。
建国以来200年少ししか経っていないアメリカという国を、千年の時間を遡って描き、「ヴォルマンの体内に流れるアメリカ人という血の中に、先祖代々から受け継がれたさまざまな記憶を読み解き、言葉に変えていこうとする試みなのだ。」(『ヴォルマン、お前は何者だ!』より)
これ、翻訳をするのはかなり大変だとは思いますが、なんとか翻訳してくれないかしら。とても読みたいのだけど。
世界百二十六都市を巡るヴォルマンの旅をもとに描かれた「The Atlas」という作品は、川端康成の「掌の小説」に着想を得て書かれたもので、各都市を描いたショート・ストーリーをすべて読むと、内在しているテーマが見えてくる、という手法で書かれています。もちろんトーキョーオーサカも入っていますよ。この作品も未訳です。
それでは一体どの作品が翻訳されているのかというと、
■ザ・ライフルズ
(Amazonの紹介文)「北西航路」を探して北極圏で全滅した19世紀英国のフランクリン探検隊。領土確保のために同地への移住を余儀なくされた、ケベック州のイヌイットたち。凍てつく極北の地を舞台に、2つの物語が時空を越えて結びつく。
■蝶の物語たち(現在読書中)
(Amazonの紹介文)愛する娼婦ヴァンナが消えた!?アメリカ人ジャーナリストは彼女を探し、地雷と密林、タイ—カンボジア国境を越える—東南アジアの純真をセクシュアルに描く極熱のラブストーリー。
■ハッピー・ガールズ、バッド・ガールズ
(Amazonの紹介文)娼婦、ドラッグディーラー、ポルノグラファー、ポン引き、手錠フェチ、現代アメリカのオブセッションを描く、若き鬼才の傑作。どこか壊れてしまった人間たち、崩壊せざるを得ない人間たちの姿。
の三作品で、その他
■ヴォルマン、お前はなに者だ!—地球のオルタナティヴを描く記録天使
というヴォルマン特集雑誌も出ています。この本がなかったら、ぼくがヴォルマンに興味を持つことなんておそらくなかったでしょう。
あと、ぼくのお気に入りの小説集に「Positive 01-ポストモダン小説、ピンチョン以後の作家たち」があるのですが、その中にも「The Grave of Lost Stories」という作品が翻訳されています。これは「Thirteen Stories and Thirteen Epitaphs」に収められている作品のひとつなのですが、「Thirteen〜」の邦訳である「ハッピー・ガールズ、バッド・ガールズ」に収められているものとは訳者が違うみたいです。
娼婦が大好きで、アジアの各国に現地妻がいるという噂もありますが、本人は否定していて、何年か前には正式に結婚もしたみたいです。いっそのこと、アジアの娼婦とかと結婚すれば良かったのに。坪内逍遥みたいに。
しかし、このヴォルマン君、中島君の弟さんに顏がそっくりなのです。

ですから、「蝶の物語たち」を読んでいると、ぼくの頭の中には、中島君の弟が娼婦の恋人を探して東南アジアをさまよっている姿が浮かんで仕方がありません。