02年05月02日(木)
阿弥陀如来信仰では、人は臨終に際して、西方極楽浄土を想い描く事によって成仏を遂げんとすると言いますが、「もしいつか自分にも死ぬ日がきたら、臨終までの数時間は、一生に飼った猫たちのことを、順に思いだして明るいものにしたい」と申したのは大佛次郎でして、彼のこの言葉は僕はとても良く理解できて、もし猫がいなかったら、この世界がどれほど暗澹としてしまうか、考えただけでも恐ろしいものがあります。

猫好きの文学者といえば、先にあげた大佛次郎、「ノラや」の内田百ケン(けんの字がない)、池波正太郎などなど。皆さま、猫に対する愛情たっぷりのエッセイや作品を書いています。
文学と猫というのは、なかなか密接な物なのね。

太陽1997年5月号の「猫と作家の物語」という特集では、作家と猫、文学と猫、芸術家と猫のとてもこころ暖まるお話がたくさん載っています。
ヘミングウェイが飼い猫を銃で射殺した話とか、谷崎潤一郎が偏愛のあまり死んだ飼い猫を剥製にして飾っていたとか。

来世というものがあるかどうか、僕未だこれを知らない。仮にもそれがあるならば、そこにもこの地球のように猫がいてくれなくては困ると思うのである。

大佛次郎のこの一言が、猫好きの本質をついておるのではないでしょうか。

もう、猫飼いたい。飼いたい。飼いたい。
02年05月01日(水)
ぼくの毎日の散歩道に、いつも一緒にいる猫のカップルがいます。

ねこのカップル


カップルと言っても、実際に片方がオスで片方がメスなのかどうかは分からないのですが、なんとなく雰囲気がカップルなのです。

天気の良い日は車の上で二匹で日なたぼっこをしているし、雨の日は傘の下で二匹で丸まっています。
えさをもらえば二匹で食べて、眠るときも必ず二匹で寝ています。
とても仲が良くて、毎日二人の様子を見るのがとても愉しみでして。

いつもあそこに丸まってるの


しかし、ここまで二匹一緒に生活をしていると、片方が逝ってしまったとき、残されたもう一匹はどうするのだろう、とつい考えてしまいます。

江藤淳は41年間連れ添った愛妻を癌で失ったその数ヶ月後に自殺をしているし、ジョン・レノンは「ヨーコがいない世界なんて考えられないから、一秒でも先にヨーコより早く死にたい」と言った数日後にファンに殺されています。
モディリアーニが死んだ次の日に、かれの妻であるジャンヌは飛び降り自殺をしているし、義経が自害した数ヶ月後に、静御前はあとを追うように亡くなっています。

などと、人間であるぼくは余計なことを考えてしまうのですが、とにかくこの二匹の猫が大好きです。

雨の日の黙想


雨の日に、家に人が用意してくれたと思われる傘の下で二匹で丸まって寝ている姿をみると、ぼくも老後はこのように過ごしたいと、つくづく羨ましく思います。
雨の日に、窓を全開にした部屋で、雨音に傾聴し、様々な具にもつかない、とりとめのないことをゆっくりと黙想す。

理想の生活でございます。
02年04月30日(火)
ある春雨の日に戌井さんの家に遊びに行ったのですが、留守でした。
一、二時間ほど待たせてもらおうかと思い、勝手に上がりこんで本棚を眺めていると、前から読みたかったソローの「森の生活」があるのを発見しました。
ポール・オースターの「幽霊たち」の中で、ブラックが読んでいたのは確かこの本でしたな、などと思いながら、ぼくはそこに寝そべって、春雨の音を聞きながら一日静かにそれを読んで、帰りました。
「昨日は君は留守だったが、『森の生活』が置いてあったので、それを読んで、静かに君の家で半日を過ごした。いろいろなことを考えた。忘れられない一日だ。」
こんな手紙をそのあくる日に書きました。

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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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