06年10月08日(日)

昨日の日記に書くのを忘れていましたが、Seligmanは町もモーテルもハロウィンモード全開でした。他の町はまだここまで盛り上がっていないのですが、どうしてこの町だけ?

朝6時に起きて、さて出発です。キューくんはまだ寝ている模様なので、心の中でさようならを言ってモーテルを後にしました。いやー、それにしても天気が良いね。ぼくは生まれついての晴れ男なわけですが、今回の旅行でも本当に天気に恵まれている。これまでのところは。

本日は、Williamsまでの約70kmの道のりです。相変わらずのぼり坂は続きますが、いつもよりも距離が短いので余裕なものです。

送電線をつなぐ木柱が、まるで十字架のように道路の側に連なっています。道路と一緒に、どこまでもどこまでも。

それにしても、日記上ではアメリカに到着してからまだ一週間経っていないというのに、現実の世界では、この日記を書き始めてからもうすぐ半年が経とうとしているじゃない。七日分の日記を書くのに半年かかったということは、残りの日記を書き終えるのは2009年になってしまいますね。それは困る。すこしペースをあげて行きましょう。

しかしアメリカという国は、本当にでかいよなー。なにもかもがでかい。奥村くんのちんちんぐらいでかい。ちょっと気を抜くとすぐに地平線が現れるし、すぐに一人きりになってしまう。あっ。今自分で書いていて、あの感覚を思い出して泣きそうになった。あの時の感覚。むかつくぐらいに地平線なんですよ。

空も広いし、雲もでかい。ただでさえ小さいぼくは、アメリカにいると完全に***です。アメリカに来て驚いたのが、事前の予想に反して人々がとても親切でやさしかったということなのですが、小さな***が黄色い服来て変な自転車でひーこらいいながら阿呆みたいな坂をのぼっているんですからね、さすがに親切にならざるを得ないのでしょうね。

特にトラブルもなく、Williamに到着。Williamsの標高は6762フィート。本日は400mほどのぼってきたことになります。っていうか、ここ標高2000メートル越えているのね。心なしか、少し気温が下がったような気がします。

最初に目についたモーテルにチェックインすると、なんとインターネットカフェがあるではないですか。カフェと言っても、普通の部屋にパソコンがどーんと置いてあるだけですけど。一週間ぶりのパソコンに心を踊らせながらメールのチェック等を行いました。

シャワーを浴びた後に部屋の鏡で自分の体を見ると、たった一週間でカメダコウキみたいな肉体になってしまってました。顔も腕も日焼けでぼろぼろ。こりゃ男性フェルモン出まくりだな。まいったね。

さすがに一週間も坂道をのぼり続けると、ひざが少々痛み始めました。まだまだ先は長いので、気を付けて行きましょう。

さて。明日はとうとう最初の目的地、グランドキャニオンに到着です。ロスを発って一週間、ようやく観光地らしい観光地に到着だー。

06年10月07日(土)

本日も朝五時に起床して、ストレッチをして、自転車の点検をして、ストアで水と食糧を買い込んで、雄叫び(「今日もがんばるぞー!!」)をあげて出発です。さすがに六日目になると、アメリカの空気にもなれてきました。体調もなかなかよい感じ。ちなみにこの旅行では、アミノバイタルプロを大量に持参して、毎日かかさずに飲んでいます。おかげさまで、夜はぐっすり眠れるし、朝はぱっちりと目を覚ますことができます。健康はばっちり!だから、膝がみしみしと音を立てて痛むのはたぶん気のせいでしょう。

本日は、ルート66を北西に進み、Hackberry、Valentine、Truxton、PeachSpringsをすぎて、ロックンロールの町Seligmanまで走る予定です。約140km、若干長めのルートになるので、気合いを入れていきましょう。

アメリカの風景は、どこまでも続きます。

クロッシングレイルロード。とはいうものの、交差する先にみえるのはなーんにもない土と草の大地のみ。この線路を渡る人は、いったいどこへ行くのでしょうね。

九時前に、Hackberryの近くに到着。道路から少し離れた先に、Hackberryの集落がみえます。

ストアを発見。水も食糧も十分にあるので、通り過ぎました。しかし、今こうして改めて写真をみると、なんだか素敵だ。寄っておけばよかったかな?と少し後悔。

Valentineに到着。途中、パッツンパッツンのウェアを着てカーボンのロードバイクに乗っている自転車乗りが、すごいスピードで僕を抜かして行きました。アメリカに来て、まともに自転車に乗っている人に初めて会った!たぶん、Kingmanかどこか、この周辺に住んでいる人なのだろうけど、週末にこの辺を自転車で走ることがきるなんて、羨ましいな。

途中で廃墟を見つけたので、ちょいと立ち寄ってみました。なんなんだろう、これ。なーんにもないところにぽつんと一軒。自宅という感じではないので、公民館かなにかだったのかな。

またまた、何にもないすてきな道路が続きますよ。誰にも邪魔されずに、音楽を大音量で聞きながら、ひゃっほーう!!

道路の脇に、牛や馬たちを囲っている柵があり、カウボーイをちらりほらりと見かけます。カウボーイにカメラを向けるのは失礼かと思ったので、写真を撮るのは控えましたが、きゃつら、マジでカウボーイハットをかぶってましたぜ。

さて、ここで驚くべきことが起こりました。ロサンゼルスを出発して丸六日、自転車乗りといえば、先ほどあったぱっつんぽっつんさんだけだったのに、本日さらに二人の自転車乗りに遭遇したのです。しかも二人とも自転車旅行者!

一人目は、韓国からやってきたキュー君。まだ大学生なのですが、休学をして自転車で世界一周をしているそうです。すげーなー。話を聞いてみると、宿もほとんど野宿で、テントを張っているとのこと。インドへ行って中国を横断して、今はアメリカを横断中。うーん、老いたぼくにはちょっと真似ができませんね。

もうひとりは、ニューヨークからオレゴンまで、自転車で大陸横断をしているおじいさん。まじでおじいさん。こちらも野宿ばりばりで旅行を続けているそうです。おじいちゃーん、静かな老後はどこへいったのさ。毎日モーテルに泊まっているぼくの立場がないじゃない。

ちなみに、最初に出会ったのはキュー君で、目的地が同じだったので、そこまで一緒に走ろうということになり、その途中でおじいちゃんに出会いました。普段の旅行では、あまり友だちを作ったり人に話しかけたりはしないぼくではありますが、さすがに今回の旅行は不安が大きいことと、同じ自転車旅行者という仲間意識から、「もしよかったら一緒に走ろうぜ!」なんてことを提案してしまったりで、お恥ずかしいかぎり。

おじいちゃんとお別れして、キュー君とSeligmanへ向かいます。キューくんの自転車はマウンテンバイクなので、耐久性は高いけどスピードはそれほど出ません。まあ、ゆっくり走るのもたまにはいいか。暗闇も、二人だったら恐くないし。もう夕方だけど、目的地まではあと50kmぐらいだね。でも二人だったらなんにも恐くないさ!

道路の両脇に続く田んぼの向こう側で、ネイティブアメリカンの子供たちが遊んでいます。手を振ると、おもいっきり無視されました。長閑でとてもよい風景です。今日はなんだか、ゆっくりでとても良いなあ。

そんなわけで、夜も遅くにSeligmanに到着。ルート66の町Seligmanです。うわ、ダンスパーティーやってるぞ。CCRを大音量で流してみんなで踊っている!なんだこの町は!

へっとへとの体でどうにかモーテルを見つけてチェックインし(なぜか今日はどこま満室でした)、キュー君と街中のステーキハウスにステーキを食べにいきました。ロンリープラネットに、「Seligman来たらここ行かねえやつは奥村くんのちんちんだぜ」と書いてあったステーキハウスです。せっかくお友だちができたのですから、今日はパンにスパムはさんでケチャップかけたような食事ではなく、良いものを食べたいですからね。

ステーキハウスに入ると、カウボーイハットをかぶった恐そうな人たちがたくさん座っていて、ぼくたちをじろっ!とにらみつけました。わお!こえー!アメリカに来て初めて差別されるかも!と思ったのも束の間、みなさん僕たちの存在なんかすぐに忘れて、仲間たちと談笑を再開しました。ぼくたちも負け時と談笑して、分厚いステーキを食べて、今後のお互いの検討をたたえあって、お別れしました。またどこかで会えるとよいね。

自転車仲間との出会いが嬉しくて気づかなかったけど、今にして思うと、Seligmanってとても面白い町でした。ウエスタンな男の世界って感じ。

06年10月06日(金)

昨晩は18時に就寝して、本日は朝の4時に起床。準備をして、日の出と共にモーテルを出て、近くのストアでお水と食糧を買い込みます。

昨日にひきつづき、行く先に虹が。虹だ。虹です。うーん、とても良い一日になりそうだ。

本日は、Kingmanまでの約100kmの道を走る予定です。さて、はりきっていきましょう。

ルート66を少しそれて、少しだけ近道をします。平らな田舎道を、まっすぐまっすぐ。

本日走る予定の道は、なんでも相当にscenicらしく、地図の上に「この道まじすげえからマーク」がついています。楽しみだ。

うーん、風景が少しずつ男らしくなっていくなあ。砂漠とはまた違った、ごつごつとした感じがなかなかよいね。

あいかわらず、車はほとんど通りません。信号機も、もちろんありません。ストアももちろん見当たらないし、自動販売機なんて影も形もありません。そりゃそうだ。電線がないのですから。

そしてルート66と再開。お久しぶりです、お手やわらかにと挨拶をして、再び厳しい彼との旅が始まります。東風が、雲をどんどん西へ追いやっていきます。

まるで西部映画のような風景をしばらく進むと、小さな町があらわれました。おやおや、「books」の看板が出ています。ちょいと中に入りたかったのですが、人影がまったくありません。車はあるんですけどね。なんとなく、「テキサス・チェーンソー」を思い出して、恐くなったのでさっさと退散しました。

坂道をひーこらとのぼると、今度は少し大きめのoatmanという町に到着しました。あちらこちらにロバがたむろっています。途中の道がうんこだらけだったのは、こいつらの落し物だったのね。

この町は、100年以上前のゴールデンラッシュ時に作られ、一時期は数千人の人々が生活をしていたこともあるそうです。現在は、観光客のためのドライブインのような場所になっています。ここにたどり着くまでに、車なんてほとんどすれ違わなかったのに、なぜか観光客でそれなりに賑わっています。不思議だ。この人たちは、どこから湧いてきたのだろう。

ううっ。坂道が厳しくなってきました。太陽も本格的に顔を出し始めました。地図をみると、本日の峠の頂点は、3523ft。現時点で高度が800mちょいだから、まだあと300m以上はのぼらなくてはならない。ひえー。

のぼるにつれて、景色がどんどん素晴らしくなっていきます。坂道を、荷物を積んだ自転車でゆっくりゆっくりとのぼっているので、風景をじっくりと眺めることができます。これぞ自転車旅行の醍醐味だね。

おー、壮大!

んー、雄大!

あのね、申し訳ないけど書くことないのよ。ただ走っていただけなので、別になにもイベントもなかったし。とにかくもう、暑くて、辛くて、なのに景色がすごすぎて、疲れていいのか感動していいのか、分からないままにただペダルを踏み込みます。ふみふみと。

やーっと下り坂だー!!!いやっほうー!時速50kmでふっとばします。

と思ったら、またすぐに上り坂です。アメリカ名物「やっと下りで楽ができると思ったら、すぐにもっとすごい上り坂が現れるよ攻撃」です。この攻撃に、このあともずーっとずーっと悩まされることになるのですが、この時のぼくは、知る由もありませんでした。

やっと登頂しました、Sitgreaves Pass!ここが本当の頂上だー!今日一日で1000m近く上ったぞ!足ががくがくだぞ!!疲れすぎて背中が変な形になっているぞ!吐き気も!寝たらもう二度と目を覚まさないような気がする!明日死ぬかも!

あー、しかし、苦労して上った甲斐がありました。素晴らしい景色です。車で来ていた夫婦連れのおじさんが、「ユーアーユーパーボーイ」と言ってくれました。ボーイじゃないんですけどね、結構なおっさんなんですけどね。

さて、ここからようやく本当の下り坂が始まります。もう1mも上ってやるものか。下るぞ!時速50km!

下って下って下ります。おくむらくんのちんちんのように長い坂道を、下って下って下って下って下って。やーーっふーー!

すげー、何キロ下ってきたのだろう。死ぬほど下って、さすがにブレーキを握る両手が痛くなってきたころに、ようやく道路が平坦になってきました。まーたまっすぐな道だ。目指すKingmanまでは、ここからまだ10km以上あります。

とにかく体がへっとへとです。早くバーガーにかぶりつきたい。っていうか、今日の日記長くないですか。

Kingmanなんて町はこの世界に存在しないのではないかしら。などと思い始めて。

どういう育ち方をしたらこんな風景になるのかしら。親の顔がみてみたいわ。そんなことを考えながら。

ようやく、Kingmanに到着です。こんなところに隠れていやがったのか。会いたかったぜ。

Kingmanは、なーんにも見どころがない、ふつーの町です。モーテルにチェックインして、アメリカにきて初めての洗濯をして、マクドナルドでバーガーを食って(アメリカのマクドナルドって、なぜか店員さんがアレな感じの人の多かったのだけど、どうしてかしら)、明日の道程を地図で確認して、さっさと眠りました。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
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