
昨晩は18時に就寝して、本日は朝の4時に起床。準備をして、日の出と共にモーテルを出て、近くのストアでお水と食糧を買い込みます。
昨日にひきつづき、行く先に虹が。虹だ。虹です。うーん、とても良い一日になりそうだ。
本日は、Kingmanまでの約100kmの道を走る予定です。さて、はりきっていきましょう。
ルート66を少しそれて、少しだけ近道をします。平らな田舎道を、まっすぐまっすぐ。
本日走る予定の道は、なんでも相当にscenicらしく、地図の上に「この道まじすげえからマーク」がついています。楽しみだ。
うーん、風景が少しずつ男らしくなっていくなあ。砂漠とはまた違った、ごつごつとした感じがなかなかよいね。
あいかわらず、車はほとんど通りません。信号機も、もちろんありません。ストアももちろん見当たらないし、自動販売機なんて影も形もありません。そりゃそうだ。電線がないのですから。
そしてルート66と再開。お久しぶりです、お手やわらかにと挨拶をして、再び厳しい彼との旅が始まります。東風が、雲をどんどん西へ追いやっていきます。
まるで西部映画のような風景をしばらく進むと、小さな町があらわれました。おやおや、「books」の看板が出ています。ちょいと中に入りたかったのですが、人影がまったくありません。車はあるんですけどね。なんとなく、「テキサス・チェーンソー」を思い出して、恐くなったのでさっさと退散しました。
坂道をひーこらとのぼると、今度は少し大きめのoatmanという町に到着しました。あちらこちらにロバがたむろっています。途中の道がうんこだらけだったのは、こいつらの落し物だったのね。
この町は、100年以上前のゴールデンラッシュ時に作られ、一時期は数千人の人々が生活をしていたこともあるそうです。現在は、観光客のためのドライブインのような場所になっています。ここにたどり着くまでに、車なんてほとんどすれ違わなかったのに、なぜか観光客でそれなりに賑わっています。不思議だ。この人たちは、どこから湧いてきたのだろう。
ううっ。坂道が厳しくなってきました。太陽も本格的に顔を出し始めました。地図をみると、本日の峠の頂点は、3523ft。現時点で高度が800mちょいだから、まだあと300m以上はのぼらなくてはならない。ひえー。
のぼるにつれて、景色がどんどん素晴らしくなっていきます。坂道を、荷物を積んだ自転車でゆっくりゆっくりとのぼっているので、風景をじっくりと眺めることができます。これぞ自転車旅行の醍醐味だね。
おー、壮大!
んー、雄大!
あのね、申し訳ないけど書くことないのよ。ただ走っていただけなので、別になにもイベントもなかったし。とにかくもう、暑くて、辛くて、なのに景色がすごすぎて、疲れていいのか感動していいのか、分からないままにただペダルを踏み込みます。ふみふみと。
やーっと下り坂だー!!!いやっほうー!時速50kmでふっとばします。
と思ったら、またすぐに上り坂です。アメリカ名物「やっと下りで楽ができると思ったら、すぐにもっとすごい上り坂が現れるよ攻撃」です。この攻撃に、このあともずーっとずーっと悩まされることになるのですが、この時のぼくは、知る由もありませんでした。
やっと登頂しました、Sitgreaves Pass!ここが本当の頂上だー!今日一日で1000m近く上ったぞ!足ががくがくだぞ!!疲れすぎて背中が変な形になっているぞ!吐き気も!寝たらもう二度と目を覚まさないような気がする!明日死ぬかも!
あー、しかし、苦労して上った甲斐がありました。素晴らしい景色です。車で来ていた夫婦連れのおじさんが、「ユーアーユーパーボーイ」と言ってくれました。ボーイじゃないんですけどね、結構なおっさんなんですけどね。
さて、ここからようやく本当の下り坂が始まります。もう1mも上ってやるものか。下るぞ!時速50km!
下って下って下ります。おくむらくんのちんちんのように長い坂道を、下って下って下って下って下って。やーーっふーー!
すげー、何キロ下ってきたのだろう。死ぬほど下って、さすがにブレーキを握る両手が痛くなってきたころに、ようやく道路が平坦になってきました。まーたまっすぐな道だ。目指すKingmanまでは、ここからまだ10km以上あります。
とにかく体がへっとへとです。早くバーガーにかぶりつきたい。っていうか、今日の日記長くないですか。
Kingmanなんて町はこの世界に存在しないのではないかしら。などと思い始めて。
どういう育ち方をしたらこんな風景になるのかしら。親の顔がみてみたいわ。そんなことを考えながら。
ようやく、Kingmanに到着です。こんなところに隠れていやがったのか。会いたかったぜ。
Kingmanは、なーんにも見どころがない、ふつーの町です。モーテルにチェックインして、アメリカにきて初めての洗濯をして、マクドナルドでバーガーを食って(アメリカのマクドナルドって、なぜか店員さんがアレな感じの人の多かったのだけど、どうしてかしら)、明日の道程を地図で確認して、さっさと眠りました。