03年03月02日(日)

 今の街に住むようになってはや数年が経ちましたが、出不精の故にいつまで経っても土地に不慣れで、いまだに適当に歩くと訪れたことのない場所にたどりつきます。本日も夕刻過ぎに適当に歩いていたところ、見たことのない小さな商店街に出ました。

 夕日を浴びた商店街は、まるでどこかの片田舎のような様相を呈し、我が家から歩いて三十分であるにも関わらず、それなりの旅情を味わうことができ、目に付いた小さな小料理屋に足を踏み入れたところ、こじんまりとした店内に女性がひとり座り、本を読んでおりました。

 これは失礼とそそくさと店を出て、今の女性はお客なのか店番なのかと気になりはしたものの、それよりも気になったのは彼女がいったいなんの本を読んでいたのかということで、それだけを確かめにもう一度店に戻ろうかと思いましたが、それよりも、心の中で彼女の読んでいた本を空想して楽しむことにしました。

 ぼーとしている女性の姿と、本を読んでいる女性の姿が大好きです。一番好きなのはぼーっとしながら読書をしている女性の姿で、そのような姿をみるとすぐに惚れてしまいます。大好きな『恋人までのディスタンス』という映画の中で、特に好きなのは冒頭の、イーサン・ホークが電車の中で本を読んでいるジュリー・デルピーと出会うシーン。イーサン・ホークはジュリー・デルピーの美しさそのものに魅かれていたけれど、ぼくは「本を読んでいるジュリー・デルピー」の美しさに魅かれました。

 帰り道、珍しくビールを買って歩きながら飲みました。夕と夜の狭間、ビールを片手に、先程の女性が読んでいた本のタイトルを想像しながら。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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