03年07月13日(日)

 四時半起床、二度寝、五時半起床、六時朝食。七時二十分、常念小屋を出る。

 雨が降っていたらこのまま一ノ沢まで降りる予定だったが、大方の予想を裏切り、太陽の照りつけるような晴れでもなく、雲が一面に立ちこめているような曇りでもない、とても良い天気になった。本日は蝶ヶ岳まで縦走し、そのまま三股へ降りる。

やま

 昨日登った常念岳を再び登る。今日はザックを背負っている分、昨日よりも大変。こんな岩山を登ったり。

ごめんなさい、嘘です

 常念岳から蝶ヶ岳へ続く稜線は、相変わらずガスで先が見えない。距離感がいまいちつかめないまま、出発。

やま

 岩だらけの常念岳を降りると、いきなり森が現れた。山岳気分から山のお仕事気分に切り替えて、森の中を歩く。戌井さんは中上建治気分だったけれど、ぼくは中国の田舎に転校してきた都会の子供のような気分。内倉君は優作気分。

 

やま

 途中、真っ白な毛が地面に散乱しているのを発見。動物の毛だと思うが、一体何の動物だろう?少し離れたところに肋骨が残っていて、それから推測するに結構な大きさの動物だと思うのだけど、完全に白骨化しているので正体は判別できない。多分、鹿かなんかだと思うけれど、少しだけ怖かった。

 蝶ヶ岳の少し手前の蝶槍に到着。360度見渡す限りの大パノラマ。

やま

 強引にパノラマ写真にしてみました。クリックすると拡大します。

やま

 以前にも同様のことを描いたけれど、このような雄大な展望を前にすると、ぼくがここに到着する以前からこの景色がここに存在していたという事実と、ぼくがここを去ったあとにもこの景色がここに存在し続けるという事実を、不思議に感じる。こうやって写真を整理しながら日記を描いている今この瞬間も、あの場所からはあの展望が広がっているはずで、誰からがそこに到達する限り、展望は景色として認識され続ける。

 保坂和志氏の『世界を肯定する哲学』に冒頭に、次のような一節がある。

宇宙は人間という"知的な"生命を得て、はじめて宇宙自身について語られる可能性を得ることができた。人間のような生命が、宇宙のどこにも生まれてなかったら、宇宙は何百億年という時間をかけて、ただただ生成し滅んでいったということになる。

 「語られる可能性」という意味を、ぼくはまったく理解できていないのだろうけれど、自分なりにそのことを考えてみたりする。物質的な意味での世界(宇宙)は、人間が存在しなかれば語られることはなかった。生物が存在しなければ、認識されることすらなかった。ただ在り、ただ在りつづける。生成し、消滅し続ける。世界(宇宙)には、未だ語られることのない、認識のされることのない、観察のされることのない景色が多く存在する。というよりは、そうされない景色のほうが多いはずだ。そのような景色はぼくの存在に関係なく、在り続ける。生命の存在に関係なく、在り続ける。そのような景色は・・(以下、混乱)

 蝶ヶ岳フュッテでカレーうどんを食べて、後は下山するのみ。現在十二時。

 帰り道はびっくりするぐらいの悪路。振り返ると、常念岳がぼくたちを見下ろしている。

やま

 コースタイムはだいたい以下の通り。

 常念小屋 --(1:00)-- 常念岳 --(3:40)-- 蝶ヶ岳 --(1:30)-- まめうち平 --(0:50)-- 力水 --(0:15)-- 三股登山口

 帰りに温泉に寄って疲れを癒す。帰宅後、ふらふらしてすぐに寝た。一泊二日程度の登山でもこれほどの衝撃なのだから、本格的に登山を始めたら気が狂うかも、ぼく。

 今回の登山で学んだこと。

  • 山小屋に泊まるときは、ひとりは辛い。やはり友達と泊まるべき
  • 山岳会の方々は、皆さんとても良い人だけど、ちょっと濃い
  • 山で果物を食べると美味しい
  • 山でゆで卵を食べると美味しい
  • 山には女の子がいない
  • ストックはあったほうが良い
  • ワインを持っていっても飲まない
  • ちゃんとした地図を持っていったほうがよい。雑誌の切り抜きだけだとストレスがたまる

 などなど

 次はいつ行こう。登山。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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