03年07月30日(水)

 起床。奈良へ行く夢を見た。ああ、奈良へ行きたい。

 奈良をゆっくりと歩きたい。お寺を巡って仏像に拝し、時代の余韻に浸りたい。散歩をしながら、道の端に横たわっている石仏に挨拶をしたい。通りがけの蕎麦屋によって、そばがきを注文して粋ですねとか言われたい。それは江戸か。夕方に、浄瑠璃寺の境内に寝ころんで考え事をしたい。好きな人に手紙を書いてしまったり。適当に宿を決めて、無愛想な女将にむかつきたい。夜は夕涼みに散歩して、いい感じの居酒屋に入って日本酒を注文して、退屈に酔っぱらいたい。ほろ酔い加減で店をでて、夜の風に吹かれながら空を見上げたい。石につまずいて転んだり。途中で入ったストリップ劇場で、つげの気分を味わいたい。床について、小難しい本を読んでいつの間にか眠りたい。次の日もお寺巡りをするのです。

 『ムーミン谷の仲間たち』がすばらしく面白い。中でも『世界でいちばんさいごのりゅう』と『ニョロニョロのひみつ』が特に良かった。翻訳家である山室静さん、ムーミンの翻訳はとてもよろしいのに、作品に対する評価がぼくとは正反対で、『ムーミン谷の彗星』がいまいちとか、この短編集で言えば『ニョロニョロのひみつ』が失敗作とか言っている。『ニョロニョロのひみつ』は、ある岬で見たニョロニョロの姿が忘れられず、「ぼくはもうベランダでお茶なんかをのんではいられないぞ」と決意して家を飛び出したムーミンパパのお話。ニョロニョロはただ自分たちの思うままに動いているだけなのに、それに対するムーミンパパの戸惑ったり気付いたり悲しくなったり懐かしくなったりする心の動きがとても面白い。物語中にたびたび登場するムーミンママもとても素敵。ムーミンパパのシルクハットには、「ムーミンママからムーミンパパへ」ってペンキで書いてあるんですって。だからムーミンパパは、自分自身が信用できなくなってもぼうしだけは信じることができるんですって。

 最近、走っていないなあ。走ろう。明日から走ろう。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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