
九月最後の日、むにゃむにゃと寝ぼけ眼でテレビを見ていたら、日本の企業が慰安旅行で行った先の中国で、数百人規模の集団買春を行ったとして中国政府から抗議を受けているというニュースが流れていました。
ううむ、ひどい話だなあ、でもこれ本当かしら、そりゃそれだけ大勢で旅行に行けば、そんなことをする人も何人かはいると思いますが、いくら何でも数百人はないのではないかしら、などと思っていると、テレビのコメンテーターが「残念ですが、本当だと思います。こういうホテルぐるみで、日本の男性に売春を斡旋しているという事実は昔からありますから」などと言っています。アジアの諸国で体を売る女性が大勢いることは知っているし、ぼくも旅行先で声をかけられたことは何度もあるし、確かにそのような事実があることは否定しませんが、ここで問題になっているのは、買春が数百人という集団で行われたということで、これがもし、ひとりやふたりだったらニュースになるようなことは絶対になかったはずです。それをあっさりと、なんの裏付けも無く、単にアジアでの売春・買春が日常的であるという理由だけで、数百人による買春という信じがたい話を「残念ですが、本当だと思います」などと言ってしまうこのコメンテーターは、自分が何を言っているのかを分かっているのかしら。ぼくのまわりにもこういう人はいますけれど、まるで彼は、この事件がどうしても事実でなくてはならないような、そのような印象を受けてしまいます。
おそらく今後、ろくに調査もせずに印象だけで物事を判断しようとするおばかちんこたちの活躍によって、この事件の真相がいかなるものであれ、集団買春が行われたことは事実であるという認識だけが世間には残ることになるでしょう。様々な意味でいろいろな問題を含んだ事件でありますから、出来ればどこかのメディアに詳しくレポートを続けて欲しいものです。償うべき罪は償い、はらすべき汚名ははらさなくては。
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