02年05月15日(水)
雑誌「PEN」の五月号を購入。目的は「9・11与えた衝撃を探る。アメリカ文学は、いま」という特集。

9.11の事件は、日本に住んでいるぼくたちにとっても衝撃的な事件でした。
現在ではだいぶ落ち着いたものの、一時期のアメリカは、空前絶後といってよい程のナショナリズムに陥り、アメリカという国家を非難しようものなら、あるいはテロリストとしての敵方を擁護しようものなら、それこそ非国民の扱いを受けるといったひどい状況になっていました。
そのような状況下において、自分たちの想像力を売り物にし、自分たちの思想を文字に落とすことを生業としているアメリカの物書きたちはどのように反応し、どのように行動したのか。
彼らの想像力は、今後どのような方向に向いていくのか。
というような特集でございます。

取り上げられている作家は、スーザン・ソンタグドン・デリーロジョナサン・レセムドナルド・アントリムリチャード・パワーズマイケル・シェイボンジョナサン・フランゼンウィリアム・T・ヴォルマンジェンパ・ラヒリジョージ・サウンダースコルソン・ホワイトヘッド、などなど。

今のぼくがやりたいのは、食べることとセックスぐらいだ(ジョナサン・レセム)
物語は瓦礫の中で終焉を迎え、それに対抗する物語を作ることは我々に委ねられた(ドン・デローロ)
この日の衝撃度たるや、リアルに表現するには、小説との比較以外にはできなかった。(リチャード・パワーズ)
困難な時代ですが、お元気で(ジョージ・サウンダース)

紹介されている作家全員の9.11に対する反応やインタビューが書かれている訳ではなく、半分ぐらいの作家に関しては経歴を紹介して「今度どのような行動をしていくのか」的な扱いになっていて、それがちょっぴり残念でした(ヴォルマンの反応とかすごい興味があるのですけど)。
しかし、salon.comのローラ・ミラーのインタビューなども載っていて、アメリカ文学好きにはなかなか読みごたえはあると思ういます。

ところで、この特集で知ったのですが、「リーダーズ・ガイド」が日本語訳で出版されるんですって。
この「リーダーズ・ガイド」は、一冊持っているだけでアメリカ文学を知ったかぶりできるというとても便利な物なのですが、日本語訳がでることはないだろうと、つい先日アマゾンで購入したところでした。
日本語版が出るなら買わなきゃよかったよ。

この特集を組んだ新元良一というかたは「同時代文学の語り部たち」という、主にアメリカ文学の作家を中心にしたインタビュー集の著者であります。
このインタビュー集はとても面白いのですが、この方の他の著書というものが全然見当たらないのです。
これしか出していないのかしら。

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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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