06年10月03日(火)

サン・ベルナルディオのモーテルを朝六時過ぎに出発。半袖半ズボンという軽装でもまったく寒くありません。っていうか暑いです。

さて。
本日よりしばらくの間、おそらく一週間は走りつづけることになるであろうルート66が、いよいよお目見えです。実は昨日も少しだけルート66を走ったのですが、昨日までの彼と今日からの彼はちょいと違うみたいです。走り初めてすぐに気づきました。ぼくをくたばらせてやろうという野郎の気迫が、ひしひしと伝わってきます。負けてたまるものですか。

今日の目的地は砂漠の町Barstowです。予定走行距離は約130km。やる気まんまんすぎて気持ち悪いでしょう。本当は一日の走行距離は100kmぐらいで抑えておきたいのですが、途中に宿泊ができそうなちょうどよい町がないのです。I-15に沿って走っているルート66を、気合いを入れて走ります。

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ルート66。雲がひとつもありません。写真ではあまりよく分からないかもしれませんが、太陽がぎらつきまくりでした。

ルート66を走る車はほとんどありません。ときどき、トラックやらなんやらが通るくらいで、道路を走っているのは、ほとんどぼく一人だけです。楽しい。坂道が多くて少しつらいけど、楽しいです。ルート66は、山々の間を走っているので、風景にそれほどの変化はないのですが、ぼくはこういう景色が大好きなので、まったく苦になりません。この道路は、どこまで続くのかしら。左手に流れる線路は、どこまで走っているのかしら。上に広がる青空は、どこまで澄んでいるのだろう。奥村くんのちんちん(驚異的な長さ)は、いったいどこまで伸びるのだろう。

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道路の横に広がるのは、ずーっとこんな風景。最初はおもしろかったけど、途中からは見向きもしなくなりました。

しばらく走りつづけると、フリーウェイI-15と合流しました。アメリカでは、基本的に自転車でフリーウェイを走ることは禁止されているのですが、場所によってはフリーウェイでしか通過できないところが結構あり、その場合はその区間のみ、特別に自転車でフリーウェイを走ることが許されています。ここから先、しばらくの間は、フリーウェイ上を走ります。日本でいえば高速道路を自転車で走るようなものですが、日本と違って路肩が非常に広いため、走っていてもそれほど恐くはありません。

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フリーウェイです。RIGHT LANE SLOW VEHICLES AND BICYCLES ONLY!

I-15を走り始めてしばらく経つと、前方にとんでもない坂道が見えてきました。今回のアメリカ旅行、最初の峠、Cajon pass標高4190フィート(1361メートル)です。空には太陽がぎんぎらぎんに輝いています。すぐ横を、車がびゅんびゅんに飛ばしています。気温と排気ガスで、すでにのどがからからです。途中の自動販売機で、水を2リットル分ほど買い込んでおいたのですが、足りないかもしれません。

十回以上の休憩を経て、水もほとんど飲み干して、ようやく登頂。Tシャツが、汗でびっしょびしょです。これから先、いったいいくつの峠を越えることになるのだろう。楽しみな気持ちよりも、不安な気持ちの方が強いです。

このフリーウェイは、barstowまで続いています。このままフリーウェイを自転車で爆走してしまおうかしらとも考えましたが、やはりルート66を走ったほうが面白そうなので、大量の水を買い込んで、フリーウェイを降りました。Victorvilleを過ぎると、それまで並走していたI-15から大きくはずれ、再び人通りも車通りも少ない、素敵な道が現れました。

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コンテナ?なのかな。写真では一部しか写っていませんが、これがずーっと先まで続いていました。

ここから先、しばらくの間はセメント工場が続きます。土地が広いので、工場の規模も馬鹿でかくて、まるで自分が小人になったみたいな感じがします。

ごほんごほん!!突然、風と共に道路が石灰で覆われました。道路が真っ白になって、息ができないぐらいほどです。風景が一分前と完全に変わってしまいました。しかも坂道だったので、息はできないは石灰は体にまとわりつくはで大変でした。

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突然の石灰塵。これはまじできつかったです。写真を撮った後、カメラの調子がおかしくなりました。

工場地帯を過ぎると、さらに視界が広がります。一直線に伸びる道路を、「気持ちEー!」と叫びながら、走りつづけます。

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廃墟です。もともとはなんだったのでしょう。この種の廃墟も、これから先死ぬほど出てきます。

この、VictorvilleからBarstowに至る道は、ぼくが人生で走ってきた道路の中でも、ほとんど一、二を争うぐらい素敵な道路でした。本当に楽しくて、走っているだけで嬉しくて、いつまでもどこまでもこの道路が続けば良いのに、と思いました。あまりの幸せに泣きそうになりましたが、涙を流すには、魂があまりにも汚れすぎていました。

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道路の横に続く道。本当は、こういう道を進みたかった。

まだ二日目なのに。こんなに楽しくていいのかな。

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こんな車は誰も買わないと思う。

見渡す限りに広がった、あのそーらーをーみよーと大声で歌ってみたり。本当に大声で。

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ずーっと続く道路。すみません、同じような写真ばかりで。これから先、これと同じような写真が死ぬほど出てきますから。

そんなこんなでBarstowに到着。砂が、風に乗って道路の上を舞っています。

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ようやく到着Barstow。写真ではわかりませんが、砂っぽい町でした。

モーテルの受付のお兄さんに、チャリでどこからどこまで行くのか聞かれたので、目的のコースを教えると、「まじかよ、お前きちがいだろう」と言われました。イエス、アイムキチガイと答えると、「おい、こいつきちがいだぞ」と外にいる他のスタッフに声をかけます。外にいたスタッフが二三人やってきて、「おまえきちがいなのか」と聞いてきたので、「イエス、アイムキチガイ」と答えました。「そうか、きちがいか。ならしょうがないな」と言われました。今後一ヶ月間、同様の会話を何度も何度も繰り返すことになるので、この会話のパターンを、「会話A」と記すことにします。

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モーテルの近くで撮った写真。明日もがんばろう、と思いました。

明日はいよいよモハベ砂漠です。今日はゆっくり眠りましょう。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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