

東京都美術館で開催されている『栄光のオランダ・フランドル絵画展』へ行き、フェルメールの『画家のアトリエ』を鑑賞し、その後銀座で『真珠の耳飾りの少女』を観ました。人気ゲームがアニメになったみたいな、ちょっとした異和感を感じつつも、フェルメールのファンのために撮ったような映画ですから、つまらないはずがありません。全体に漂うフェルメール絵画の光を意識した映像はとても美しいし、16世紀のデルフトの雰囲気も最高だし、物語も面白いし、大満足。
フェルメールの作品は大好きなので、できれば往生するまでに彼の絵画をすべて鑑賞したいと思っています。今までに観ることができたのは、現存する(といわれている)36作品中、今日の『画家のアトリエ』を含めて13点、そしてその中のひとつが映画のタイトルにもなっている『真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)』です。それまでも作品集やレプリカなどで何度も観てきた作品なのですが、実際に眼の前にしてみると、ターバンを捲いている少女の表情が印刷物のそれとは全然違っていて、あまりのかわいらしさに絵の前から動くことができませんでした。映画の中で、主人公の少女を演じるスカーレット・ヨハンソンがフェルメールから唇を濡らすように指示をされるシーンがあって、そのシーンがとても良かったのですが、ひとつだけ不満を言うと、ヨハンソンの唇はちょっと分厚すぎます。この『真珠の耳飾りの少女』の唇はほんとうにかわいらしくて、日本人には結構多いタイプの唇なのですが、上唇は下唇よりも薄くて、下唇はぷにっとしていて、薄く輝いていて、それがとんでもなくかわいらしい。ヨハンソンはとても美しいし、映画の中でもとても自然に主人公の少女を演じていたし、大好きなのですけれど、絵画の少女と比べてしまうと、少しだけ唇が下品なのです。あれ。どうしてだろう、涙が出てきた。
夜は自宅で『ヒヤシンス・ブルーの少女』を読みました。とても充実したフェルメールな一日。おやすみなさい。