
04年07月22日(木)

黒沢明が残した二本の脚本のうちの一本を映画化した『海は見ていた』を観ました。時は江戸、場所は深川、岡場所で働く遊女たちを描いた物語、しかも黒沢さんがこの脚本に対して言ったのは、「先ず、粋に行きましょう」ってなことですから、期待するなという方が無理というものです。が、観終えてみると悲しくなるぐらい不粋な映画で、あまりのショックに発熱してしまいました。ところどころ、無理矢理に粋にしようとしている場面があって、それがまたみにくい。脚本はとても良いのに、どうしてこうまでも不粋にできるのか、不思議でしょうがありません。最期のシーンも、原作で読むととてもよい場面なのに、撮り方がひどすぎて、役者さんの懸命な演技が滑稽に見えてしまうほど。
それにしても、江戸のころには深川のあたりが沈んでしまうほどの洪水があったのですね。海が近いのだから当たり前か。