03年06月01日(日)
 起床。お給料日前なので、休日でも遊びにいけない。部屋のお掃除。BGMはCabaret Voltaireの『Plasticity』。久しぶりに聞いたけど、すごくいい。ぼくの音楽って、この辺で止まってるんだよなー。

 午後、自宅でのんべんだらりんと読書。Amazonの『アメリカを読む』という特集で紹介されていた『宗教から読む「アメリカ」』を読む。第三章『アメリカのファンダメンタリズム』で「スコープス裁判」、いわゆる「モンキー裁判」について書かれている。1923年以降、聖書の創世記を否定するダーウィンの進化論を公立学校で教えることを違法とする法案が、南部諸州で次々と成立された。テネシー州デイトンの高校に勤務する生物教師ジョン・スコープスは、この法律に対して意図的に授業で進化論を教え、裁判にかけられることになる。テネシー州の片田舎で開かれた裁判に、ふたりの大物が登場する。聖書の創世記を擁護する検事側は、民主党の大物政治家であるウィリアム・ジェニングス・ブライアン。一方の進化論を主張する弁護側は、全米でもっとも有名な弁護士のひとりであるクラレンス・ダロー。田舎の高校教師を裁くための裁判は、全米をにぎわす宗教と科学の対立の場となったのである。

 現代でも宗教と科学の問題を語るときに、(主に科学主義者側から)しばしば引用されるこの裁判は、『宗教から読む「アメリカ」』を読む限り、一般に言われるような「保守的な聖書主義であるキリスト教と、革新的な科学主義の対立」という単純な構図ではなかったようだ。この時代、ダーウィンの進化論は、社会進化論者たちによって革新主義的な「適者生存」という考え方に結びつけられていた。(実際はそうではなかったにも関わらず)ファンダメンタリストとして検事側にたったブライアンは、そのような弱肉強食の理論に危機感を覚え、聖書の創世記を主張するというよりは、宗教とか科学とかの次元を越えた「人間理解・歴史理解についての『一つの哲学』と『もう一つの哲学』の間の論争」をするために裁判に挑んだのである。

 この事件について、学生の時にNHKで放送していた『映像の二十世紀』という番組で観たことがある。その時は、保守的な聖書主義と意地悪な科学主義者のけんかのような描き方をされていて、なんだか馬鹿らしいと思った記憶がある。ぼくは宗教も科学もよくわからないけれど、それらは本質的に対立するものではないと思っている。だから、以前の日記でも少し触れた人工知能学者であるミンスキーのように、「宗教が科学の進歩を妨げた」と嫌悪感を顕にする科学者のことを考えるとき、人類の将来の事を思うと寒気がする。

 夕方、NHKの『小さな旅』という番組を観る。八ケ岳が紹介されていて、登山心をくすぐられる。六月中に、日帰り出来る山にひとりで行ってこようかな、と思う。

 夜、『ウェルカム・ドールハウス』を観る。とても面白かった。かなり面白かった。最高に面白かった。ブスの中学生である主人公が、内に秘めたる感情をほとばしりまくりでとても良かった。主人公の兄であるパソコンオタクの高校生のバンドの演奏する『サティスファクション』と、それに合せて踊る主人公の妹の女の子がとてもおもしろかった。主演のヘザー・マタラーゾ若干十一歳がとても素晴らしかった。以前と矛盾することを書くようですが、トッド・ソロンズの作品を勝手にランキングすると、一位が『ステーリー・テリング』、二位が『ウェルカム・ドールハウス』、三位が『ハピネス』になる。『ハピネス』は最下位。それぐらい他の二作が面白すぎる。いずれにしても、トッド・ソロンズ大好き。

 あれ?今月、何も予定がないぞう。



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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
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