
02年11月07日(木)
全く本当に勉蔵という男は、自分と惚れた女には甘いくせに、他人と映画には厳しいなあ、その厳しさを自分自身に向けられれば、出来る子なのになあ、と思いながら、石神井公園を散歩しました。
平日の昼間の石神井公園というのは、まことにもっておじいちゃんおばあちゃんばかりでして、ひとりでにやにやしながら逍遥している若者なんてぼくぐらいしかおりません。
池の風景を写生しているおじいさまなどを見た時に、後ろから蹴り倒したくなる気持ちは、原宿の路上に生息する変な習字を売りつけているみつお派の方々をぶっ飛ばしたいと思う気持ちに通ずるものがございます。
どうしてこんなにも石神井が好きなのか、自分でも良く分かっていないのですが、他の公園を歩いても、無意識に石神井と比較して、ああ、石神井を歩きたい、などと思ってしまいます。風に吹かれ、枯れ葉を踏み、大きく深呼吸して石神井の風情を味わいます。
菜根譚に曰く、林間の松韻、石上の泉声、静裡に聴き来たりて、天地自然の鳴佩を識る。草際の煙光、水心の雲影、間中に観去りて、乾坤最上の文章を見る。
散歩の楽しみは、まさしくそこにありまする。
石神井公園には、大勢の猫ちゃんが住みついております。この方の佇まい、まさしく泰然と云うにふさわしく、常日ごろより忙しないわたくしなどは、見習わなくてはいけないと思います。写真で見ると分からないと思いますが、すげーでかいのです、この猫ちゃん。かっこいい。
趣を得るは多きに在らず、盆地拳石の間にも、煙霞は具足す。景を会するは遠きに在らず、蓬窓竹屋の下にも、風月は自からはるかなり。
勉蔵君に、菜根譚のこの言葉を贈ります。
勉蔵君も、是非一度石神井公園を散歩してみませんか。楽しいよ。