02年08月06日(火)

 楽しみにしていたダニエル・クロウズ原作の『ゴースト・ワールド』をようやく観ました。

 映画『ゴースト・ワールド』は、アメリカのオルタナティブコミック作家ダニエル・クロウズの作品が原作の、イーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンスン)という性格の悪いふたりのハイティーンの女の子を描いた青春映画?です。

 性格の悪いイーニドとレベッカは、文句と愚痴の日々を過ごしています。町を歩いて見かけのおかしいカップルを見つければ悪魔主義者呼ばわりをしたり、出会い系雑誌でおもしろそうな記事をみつければ、いたずら電話したりと、十代の皆さんが過ごしているであろう日常をこのふたりも過ごしています。この映画が普通の青春ものと違うのは、出てくるキャラクターがみんなとても面白くて、その面白さもなんといいましょうか、微妙な面白さなのです。行き過ぎていないのに、十分奇妙、という感じの人々がイーニドとレベッカのまわりにたくさん現れて、見ていてとても楽しかった。

 数年前に、日本で女子高生ブームのようなものが起こって、村上龍が『ラブ&ポップ』を書いたり、知識人はこぞって女子高生論を書いたり、朝まで生テレビでは「女子高生」そのものがテーマになったりした時期があったじゃないですか。その頃にトゥナイトで、ある女子高生が日常の不満を書きつづったエッセイが発売されて、それがたいそうな売れ行きを見せているという特集がやっていました。さっそく本屋でその本をぱらぱらとめくってみると、なんだかよくわからないけど、なんだかんだと大人に対する文句ばかりが書かれていて、これはぼくが読んでもおもしろくないのではないかと思い購入するのをやめたのですが、結局のところイーニドが『ゴースト・ワールド』の中で言っていることも、その女子高生がエッセイの中で言っていることも、その内容にたいした差はないように思います。けれどもどうしてぼくがこんなにも『ゴーストワールド』を楽しめるのかといえば、そこにある差は、原作のダニエル・クロウズあるいは監督のテリー・ツワイゴフの手腕による語り口であり、それがたんなる文句で終わるか、作品として人を楽しませられるかの違いなのでしょう。優れた作品を評価する際に、「面白さに気づかされた」なんてことを言いますし。

 原作を書いたダニエル・クロウズは、1961年シカゴ生まれ。86年に「Lioyd Llewallyn」でデビュー、その後「Eight Ball」を中心に、「Like A Velvet Glove Cast In Iron」「Caricature」「Devid Boring」などを発表。「クロウズが性を描写すると途端にしがらみめいた空気が発生するのは不思議な現象だが、垂れた乳首を描くのも上手だ。郊外生活の、退屈きわまりない日常の中にひそむ狂気や、強迫観念めいた不安感、ファインアートに対するフクザツな思い、悪夢のような不条理、孤独、暴力・・などのネガティブなキーワードでクロウズを読み解くのは誤解を招くであろう。『ゴースト・ワールド』の中で主人公のイーニドがはくこんなセリフに、以外とクロウズの本質があるように思えるのだ。『ねえ、ぶさいくなカップルが愛し合っているのを見るとこの世も捨てたもんじゃないってきぶんにならない?』(スタジオボイス2002年1月号より)

 さて、スタジオボイスといえば、今月号のスタジオボイスの特集は『レッツ・ガールズ』でして、その特集で取り上げられていたガールズ系ウェブサイトで面白かったものをちょっとだけ引用させていただきます。

■SucideGirls
 最近、Wiredでも取り上げられたゴス、パンク系の女の子のセルフヌードサイト。  この「ゴス系」という言葉をぼくはよく知らないのですが、このサイトを見たときはびびりました。サイトのデザインがすごくかわいいし、女の子たちの写真もとても素敵です。でも有料なのがちょっと悲しい。

■Dame Darcy
 アルタナティブ系コミックアーティストのデイム・ダーシーのオフィシャルサイト。オフィシャルなだけコンテンツは豊富ですが、怖いです。

■less rain
 イギリスのウェブサイト制作集団。だまされたと思って見てみて下さい。ウェブデザインの仕事をしている人であれば、びびると思います。

クロウズ

ちなみに、『ゴースト・ワールド』でとてもブシェミが演じていたシーモアという人物は、映画オリジナルのキャラクターで、原作には登場しません。


Sub Content

雑記書手紹介

大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

最近の日記

過去の日記

鉄割アルバトロスケットへの問い合わせはこちらのフォームからお願いします

Latest Update

  • 更新はありません

お知らせ

主催の戌井昭人がこれまで発表してきた作品が単行本で出版されました。

About The Site

このサイトは、Firefox3とIE7以上で確認しています。
このサイトと鉄割アルバトロスケットに関するお問い合わせは、お問い合わせフォームまでお願いします。
現在、リニューアル作業中のため、見苦しい点とか不具合等あると思います。大目にみてください。

User Login

Links