02年08月21日(水)

 雑誌『BRUTUS』の今回の特集は、「日本美術?現代アート?」です。
 (今回の特集と言っても、この文章を書いている時点ではすでに次の号が出てしまっていますが)

 縄文時代から18世紀までの日本美術と、現代の日本美術それぞれの中から、イメージの共通する作品をひとつずつ抽出して対比させ、その類似性を探る!というこの特集、とても面白くてすっかり読み入ってしまいました。
 狩野山雪の『梅に遊禽図襖』と村上隆の『Hiropon』という無理のある組み合わせがあれば、三十三間堂の『千体千手観音像』とグルーヴィジョンズの『Chappie 33』というなるほどと感心してしまうような組み合わせもあり、牧谿の『老子図』はバカボンのパパに、雪村の『拾得図』はレレレのおじさんになっちまってます。
 日本美術には疎いぼくでも、楽しく読むことができました。

 それで思い出したのが雑誌『太陽』1992年2月号の「仏像は今を生きているか」という特集で、日本の古典美術作品と他の美術作品を類似点という観点から比較するという点では今回の『BRUTUS』と同様なのですが、異なるのは扱う古典美術がすべて仏像であるという点と、対比させる作品が日本の現代美術のみならず、古今東西和洋問わず、ありとあらゆる芸術作品、さらには芸術作品でないものからも選ばれているという点です。
 たとえば、奈良の東大寺の五劫思惟阿弥陀像には1930年代のハリウッド・女優のヘアスタイルを、京都の神童寺の愛染明王には、ラファエロの描いたキューピットを、『BRUTUS』でも扱われていた西往寺の宝誌和尚像は映画『トータルリコール』を、禅林寺の見返り阿弥陀像には切手『見返り美人』を引合にだしています。
 さらにぼくが感動したのは、女型の仏像、伎芸天像や吉祥天像など十七体の仏像に対して、それらの仏像にイメージする「貝殻」を引合に出して紹介していたページです。ぼくの大好きな秋篠寺の伎芸天像には「コガネタカラ」を、阿修羅像には「ハリナガリンボウ」を、などなど。仏像のイメージが明確になると同時に、貝殻の美しさに初めて気付きました。
 とても良い特集でした。まじでー。

あしゅらー

 仏像は好きだけど日本美術には疎いぼくには、今回の『BRUTUS』はとてもお勉強になりました。センキュー。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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