

うだうだうだるような猛暑の中、昭人くんと指紋くんとちゃりで横浜まで行きました。まずは烏山に集合、アミノ酸をたっぷりとって、裏道を通って二子玉川へ、そこからは汗だくになりながら、多摩川沿いをひたすらに走ります。川の土手では、日光浴をしている人や、バレーや野球などをしている人々や、バーベキューをしているグループなど、みなさん楽しそう。炎天下を走っているぼくたちは死にそうです。
途中、川崎にある市民ミュージアムへ寄り、「谷岡ヤスジの世界展 天才キャラクターだもんね!」と「日本の幻獣展」を観ました。谷岡ヤスジ展はひっそりとしていましたけど、熱中症気味の頭にはなかなかよい刺戟。幻獣展は、妖怪好きにはたまらない展覧会でした。河童とか人魚のミイラは何度かみたことがあったけれど、鬼のミイラをみたのは初めてです。こういうのって、贋物であることは常識なのでしょうけれど、実際に科学的な鑑定とかってしたことはあるのかしら。それとも、そんな夢を壊すような不粋なことはしないのかな。
ミュージアムのレストランで昼食。店内には、夫婦と思われる方々が何組かいて、楽しそうに笑いながら蕎麦を食べています。そうだ、ぼくが子どもの頃に夢見ていたのは、あんな風な小さな幸せだった。休日に、妻と一緒に近所の美術館に行くような、そんな小さな幸せを望んでいたのだ。それが現実ときたら、いい年こいたおっさん三人で、ちゃりで汗だくになりながら谷岡ヤスジ鼻血ブーちんこピーの人生になっちまった。いったい、どこで歯車が狂ったのか。ふふ。ふふふふ。
その後、心臓破りの坂で馬鹿みたいにぎらぎらしている太陽にあやうく心臓を破られそうになりながら、どうにかこうにか横浜に到着。中華街でビールを飲みながらおいしいものでも食べようと思っていたのですが、あいにくなことに本日は横浜花火大会ということで、歩くことができないほどに人があふれています。仕方がないので本牧に移動し、戌井さんの知っている中華料理屋さん「喜血害」で揚げワンタンなどをいただきました。
帰りは、行きとは逆の方向(東京側)の多摩川沿いを走りました。太陽が出ていないということは、こんなにも気持が良いものかと実感、二度と太陽が昇りませんようにと祈りました。とても静かな夜に、少し離れた家々から、日曜日の夕方の家族の音が聞こえて来ます。夜の風と川の音を堪能しながら、ペダルを漕ぎつつ、えろい話に華を咲かせました。
夜九時すぎに烏山に到着。きりんちゃんが無人の駐車場で、酒にパンをひたして食べながら、マンドリンを弾いてぼくたちを待っていました。こうして、ぼくの人生は過ぎていくのです。

ここのところ、あまりの猛暑に散歩をおろそかにしていたのですが、少しばかり思索に耽りたいと思いたち、久しぶりに散歩道を歩いてみたところ、以前はただの雑草だらけの敷地だった場所が、草々が生い茂りすっかりとジャングルになっていました。足を踏み入れて探険をしようかとも思いましたが、ライオンに食べられるのは嫌なので、そっと通りすぎました。ジャングルの奥から、土人の太鼓の音が聞こえてきました。
夜、女の子のちゃりきちがいからメールが来て、今すぐ烏山に来いというので行ったところ、この暑い日に東京を一周して100キロ近く走ったちゃりんこカップルが、すがすがしい顔でお酒を飲んでいました。いいなあ。ぼくも東京一周したい。

村上龍原作の映画『69』を観に行ってきました。思っていたよりもずっと面白かった。帰りに原作を買って、十年以上ぶりに読み返したら、びっくりするぐらいまともな小説でびっくりしました。高校生の頃に読んだときは、面白いと思う前に、小説のスタイルに結構な衝撃を受けたように記憶しているのですが、少しは大人になったのかしら。
それで、17歳のころに自分が何をしていたのかを思いだしてみたのですが、冬に凍りついた湖の上をマラソンしていたら、氷が割れて死にかけたことや、原ちゃりで山道を走っていたら、いきなり道がなくなって崖から落ちて死にかけたことや、野良犬と遊んでいたら、前ぶれもなく突然に犬がぶちキレて噛み殺されかけたことや、野球部のひとりを「はげ」と馬鹿にしたら、野球部全員をはげと馬鹿にしたことになってしまい、リンチされて殺されかけたことや、ちゃりで三人乗りしていたら、なぜかぼくだけ金玉を思いっきりぶつけて死にかけたことや、父親に反抗したら普通に殺されかけたことなどを思いだしました。
映画も小説も、どちらかというと『昭和歌謡大全集』の方が好みかな。どちらも面白かったけど。