

以前から読みたいと思いつつ、その存在すらすっかりと忘れていたジュノ・ディノズの『ハイウェイとゴミ溜め』を古本屋さんで発見、即購入、帰りの電車の中で読んでみたらとても面白かったので、そのままお茶が飲める場所に立ち寄り、一気読みしました。ドミニカ共和国のスラム出身の彼による、十篇の短篇集。ぼくはジャパンの田舎出身ですが、ノイズな感じに通じるものを感じてしまいましたよ。それにしても、一時期はアメリカのみならず日本でもかなり話題になった彼ではありますが、最近はすっかり名前を聞かなくなりました。著作も今だこの一冊だけのようですし。以前に読んだ新元良一氏によるインタビューでは、次回作は『AKIRA』の黒人版を書きたいなどと言っていましたが、どうなったんでしょうね。是非とも読みたいのですが。
たまには自炊でもしましょうと、夕食にパスタ・ジェノベーゼを作ることになりました。まず始めはスーパーでお買い物。買い物かごを片手に、必要な食材をみつくろいます。久しぶりの楽しいお買い物です。ところが、前方からタンクトップのマッチョマンが歩いてきたので吐き気をもよおしてしまい、買い物は中止、カフェへ駆け込んでエスプレッソのダブルショットを五杯注文して一列に並べ、右から順に一気飲み、どうにか心を落ち着けることができましたよ。そうか、もうタンクトップマッチョの季節なのですね。おちおち買い物もできやしません。西東三鬼さんは「おそるべき君等の乳房夏来る」などという句を詠んでおりますが、ぼくにしてみれば「おそるべきマッチョの乳首夏来る」です。しばらく読書をして、書に引用されていたゲーテの『五感は誤らない。誤るのは判断である』という言葉にいろいろなことを思い、すこし切ない気持ちで帰宅しました。
今日も満月です。
先日、YBBの個人情報流出で逮捕された犯人が、実はBEAMZという名前でセキュリティ関係の書いていたフリーライターだった、という記事です。個人的にはこの事件に興味も何もないのですが、この記事が目に止まったのは、このBEAMZという方が、以前にどこかの雑誌のハッカー向け技術書籍紹介の特集で、彼ひとりだけ井筒俊彦氏の『意識と本質』をとりあげていたからで(だからぼくも彼の名前を覚えていたのですが)、紹介文では「ハッカーになりたいのであれば、この本を読んで精神的にも鍛錬し、無碍の境地へと達して欲しい」というようなこと(うろ覚え)を書いていました。技術書の紹介で『意識と本質』をとりあげることだけでも、関係ないじゃーんと突っこみたくはなりますが、それはともかくとして、無碍の境地も勘違いして会得するとおばかちんなことをしてしまうようです。この書をしっかりと読んで、日々の生活を精進できるように心がけようと思いました。