03年11月10日(月)

 人と合う予定があったので高田馬場へ、美味しいランチをいただきながら、近況などを報告。その後、古本屋を巡って両手いっぱいに古書を購入、ふらふらになりながら適当なお茶場へ、読読書書。

 買い込んだ本の中でも特に読むのが楽しみなのが、『ケンブリッジ・クインテット』という本。数年前に、NHKでやたらと生命科学やら複雑系やら人工知能やらの特番が放送されていた時期があったのですが、その時にこの『ケンブリッジ・クインテット』を題材に人工知能を特集した番組が放送されました。番組(タイトル失念)には、著者であるジョン・L. キャスティも登場し、哲学者である黒崎政男と、人工知能について軽く討論をしていたような記憶が。あービデオに撮っておけばよかった、すごく観たい。

 『ケンブリッジ・クインテット』の内容は、1949 年のイギリスのケンブリッジで五人の知の巨人が食卓を囲み、人工知能について議論を闘わせるというもので、登場人物は物理学者C・P・スノウ、哲学者ウィトゲンシュタイン、遺伝学者ホールデイン、ノーベル物理学賞のシュレーディンガー、数学者チューリングの五人。すべて歴史的に実在の人物ですが、内容は完全にフィクションであり、五人が一堂に会したことは現実には(多分)ありません。ずーっと読みたかった本なのですが、もう少し勉強してからと思いつつはや幾年、古本屋さんで発見したのを機会として、読んでみようと思います。

 夜、『グッドフェローズ』を観ました。かなり久しぶりに観たのですが、内容をほとんど忘れていて、こんなにおもしろい映画だったのか。ああ、また男気が刺激されて。

03年11月09日(日)

 遅い起床の日曜日。お給料をもらって初めての休日なので、どこかへ遊びに行こうかしらとも思ったけれど、天気が悪かったので一日を読書して過ごします。カフェイン飲んで、集中して。

 ここのところ、ギャング映画ばかり観ていてなんだか男気を刺激されてしまったので、垣芝折多著『偽書百撰』を読んで心をおちつけましょう。『偽書百撰』は「明治・大正・昭和の奇書・珍書・偽書百冊を総覧する奇想天外の書」でありまして、もしかしたらぼくにとって世界で一番面白い本かもしれません。

 例えば第六十九書『ホラや』。昭和十五年に慎重社より刊行、著者は家葉一軒。家葉氏の家に住み着いた犬でも猫でもないホラ噺をする「ホラ」。百けんさんの『ノラや』と同様に、楽しげな著者と妻とホラとの暮らしが綴られています。始まりも内容も『ノラや』にそっくりで、普通に考えればこの書は『ノラや』のパロディかと思いますが、選者である垣芝折多氏は次のように書いています。

だが、あらためて考えれば奇妙なことに気づく。百けんの『ノラや』は昭和三十二年の作品。本書はそれよりもずっと古い、昭和十五年の話だ。だとすると、これは『ノラや』のパロディではあり得ない。むしろ『ノラや』が本書のパロディということになる。

 百けんさんの『ノラや』と同様に、ホラも突然に姿を消してしまいます。もちろん著者は熱心にホラ探しをします。ホラが見つかったという情報を得て著者が出かけて行くと、「贅沢は敵だ」「八紘一宇」「臣道実践」「南進日本」「一億一心」「報国産業」などといった立派なシンジツ(この書は昭和十五年のもの)ばかり、中にはウソやデマもおりましたが、ホラは「どこにでもゐるありふれた駄ホラ」であり、夢の様に小さいもの。

 『ノラや』と大きく異なるのはその結末です。最終的にホラは帰ってきますが、以前のようにすばやく動くことはありません。

 ホラは以前の様に独り言も吐かない。只黙つてゐるばかりだ。
 ホラやホラやと呼んでも返事もしない。このまま生きのびるだらうと考へると、切なくて仕方ない
『ホラや』より

 タネを明かせば、垣芝折多氏の正体はぼくの大好きな方の偽名でありまして、さらにタネを明かせば、ここで紹介されている百冊はすべてその氏による創作であります。こんな素敵な偽書百撰を創作してくれた氏に、心より敬意を。偽のない世の中なんて、ちーっとも面白くありません。

03年11月08日(土)

 夜中深くまで飲んでいたので、ひっじょーに眠い。眠い目をこすってお仕事へ、存分に勉強できる環境がとてもありがたい。するしないは別として。

 お給料が入ったので、岩波から出ている西田幾多郎哲学論集を購入しておこうと思ったのですが、第二巻だけどこに行っても手に入りません。Amazonで注文しようとしたら品切れの様子。岩波のサイトで調べても、やはり品切れ。えー、まさか絶版ですか。古本屋さんを何軒かまわったところ、哲学論集は発見できなかったものの、『自覺に於ける直觀と反省』を発見、即購入。

 夜、『仁義なき戦い・代理戦争』と『頂上作戦』と『完結編』を連続で観ました。松方弘樹が何度も違う役で出てきて、何度も殺されるのでびっくり。映画としてとても面白かったのですが、話の展開がよく分からなくなってしまったので、『実録「仁義なき戦い」外伝—血の抗争の鎮魂歌』を読んで復讐ではなくて復習しましょう。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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