
午前一時に戌井さんの家に集合。一時半に東京を出て、途中に諏訪湖インターで小休止、六時過ぎに沢渡に到着、六時半ぐらいにバスに乗って、上高地へ。今回の面子は、ぼく、戌井さん、内倉君、弟君、向井さん、渡部さん。
上高地から涸沢へ。左手に聳えるは前穂高、屏風耳、いつかお前の肌を登ってやるぞうと心の中で、ゆっくり歩く。去年の涸沢の紅葉が二十年に一度の美しさだったこともあって、涸沢へと向かう道は大混雑。自分のペースで歩くことが全然できないことにストレスを感じ、天気も微妙、紅葉もいまいち、道もあまり面白くない。
どうにかこうにかで涸沢に到着。予定より大幅に遅れているので、今から穂高岳山荘へ向かうと、到着するのは日が落ちるぎりぎりの時間になってしまう。少しペースを速めて、涸沢小屋へ続く石段を登り、小屋を経由して、ようやく登山らしくなってきたザイテングラードを登る。
突然コースが激しくなってきたので、皆さん焦っておりましたが、明日のコースはこんなものではありませんよ。
山小屋でビールを飲んで、夕食を食べて、八時過ぎにはもう目を開けていることができず、おやすみなさい。
(今回の登山の写真はこちらですべて見る事ができます。)
ホリー・ハンターの主演ドラマ『アメリカン・ジャスティス(原題:Harlan County War)』を観ました。ケンタッキー州の炭坑夫と、その妻たちによる労働運動を事実に基づいて描いたドラマ。人種差別や性差別の問題を扱った映画やドラマはたくさんあるけれど、労働運動を描いたドラマを観るのはもしかしたら初めてかも。炭坑、かっこいいー。
さてさて明日は待ちに待った穂高登山。本日はさっさと寝て、明日に備えましょう。というわけで、職場の方に教わって購入したリラックス効果抜群のアロマオイル「マージョラム」を、布団にぶっかけてみました。おやすみなさい。
久方ぶりの友人と、少し離れた郊外でお酒を飲みました。
友人は、いやーこの歳のなると人生の先が漠然と見えてきて、生きている意味がよくわからなくなるなあ、と酒を一口、そんな言葉にぼくは心中、先なんて全然みえねーよと思いながらも、昔は良かったなあなどと話を合わせ、実は人生で今が一番楽しいということは胸中に、繰り返しの思い出話に華咲かせ、酒をごくりと。
帰宅後、サム・ライミの出世作『死霊のはらわた』を観ながら酔いをさます。十年以上ぶりに観たけれど、面白過ぎてびっくりした。役者さんたちの演技も紙一重ですごいけれど、まだCG技術がない時代のため、おどろおどろしいシーンでは、画面が突然シュバンクマイエルの作品のようになるのが、恐いというよりもむしろ面白いし、かっこいい。70年代後半から80年代のホラー映画は本当に素晴らしい。
布団に横になり、田部重治著「山と渓谷」を読書。ワーズワースの翻訳などもされている田辺さんの素敵な自然礼賛を読んでいると、やはり山は、気の合う仲間、登り方の同じ仲間たちで行くものであることを実感させられる。登る気持ちは違っても、感じる心が一緒であれば、田部さん曰く、ただ一つの大きな喜びの一致が、他の小さな不一致の不満をかきけして、深い満足の感情をもたらせてくれる。登り方の異なる人と山を登ればストレスがたまるばかり。肝に銘じて。