03年08月13日(水)

 夏休みになって初めての外出。下北沢へ。

 ヴィレッジ・バンガードへ。高浜寛の初めての短編集『イエローバックス』と、以前に誰かが面白いと言っていたのを思い出して坂辺周一の『ティッシュ』全二巻を購入。早速お茶を飲めるところへ行って読む。『ティッシュ』は、この種のサスペンスにマヒしているのか、それほど怖くはなかった。『イエローバックス』は評判以上に面白かった。一番最初に収録されている「最後の女たち」でいきなりやられた。次回作がとても楽しみな人を見つけた時の嬉しい感じ。

 夜、お友達とお酒を飲みに。とはいえ、お友達はお酒を飲まないので、ひとりであほほど飲みまくり。お酒は弱いので、すぐに酔っぱらってしまうのです。ここ最近、お酒を飲む機会があまりなかったのと楽しかったのとで、なんだかべんらべらとしゃべりまくったような。いやはや、お酒はほどほどに。

 帰ろうとしたら雨が本降り。とめておいたバイクのヘルメットは雨でびしょびしょに。全身ずぶねれで朝五時過ぎに帰宅。眠ろうかと思ったけれど、なんだか目が冴えていたので、そのまま『クライム・アンド・パニッシュメント』を観る。一応「現代版『罪と罰』」ということになっているのだけれど、それがなければ普通に観れる映画なのになあ。残念だけれど、サバービア映画のおもしろさは全く味わえなかった。

03年08月12日(火)

 引きこもり継続中。夏休みに入ってからのほぼ毎日、十二時間以上眠っている。良くないなあ。

 映画『クラム』を観る。もう、びっくりするぐらい面白かった。めちゃ感動。すばらしいドキュメンタリーだった。監督は、『ゴースト・ワールド』のテリー・ツワイゴフ。アンダーグラウンド・コミックの巨匠、ロバート・クラムとその家族と友人へのインタビューを中心としたドキュメンタリー。出てくる人のほとんどがどこか病的で、とくにクラムの家族はすさまじい。詳しい映画評はこちらで読むことができる。印象的だったのは、クラムがストリートを歩く人々をスケッチするシーン。雑誌や映画には普通の町並みは登場しない、とクラムは言う。彼は自分(あるいは友人)で撮った写真を元に、町並みをデッサンする。画面を通してぼくの目に映る通行人や町並みは、概して普通ではない。監督のツワイゴフは、カフェでクラムにインタビューをしながら、その後ろの席でネズミにエサを上げている若い男を映す。最初から最後まで、まったく目を離すことができない素晴らしい映画だった。

 なんだか興奮したので、続けて『ケミカル51』を観る。「コカインの51倍強力・LSDの51倍の幻覚作用・エクスタシーの51倍の絶頂感」を持つという究極のドラッグを調合した男のお話。人の感覚作用に対して、51という具体的な数字をどのような根拠からはじき出しのかが気にはなるものの、結構好きです、こういう映画。でも『クラム』の余韻で未だ幸せなぼく。

03年08月11日(月)

 起床。朝食にチーズをのせたトーストとバナナ。最近、フルーツをたくさん食べているせいか、お通じとてもよろしい。

 バースが『尽きの文学』で言及しているボルヘスの『ドン・キホーテの著者、ピエール・メナール』が読みたくなったので、本棚をあさって『伝奇集』を探したけれど見つからない。仕方がないので図書館に行ったところ、なんとお休みではありませんか。しかも今週いっぱいはお休みらしい。悲しい。

 六十年代のアメリカ文学のことを調べていて、マルカム・ブラッドベリの『現代アメリカ小説—1945年から現代まで』などを読んでいるのだけど、六十年代と今の社会状況って、あまり変わらないというかむしろ似ているように思う。六十年代に崩壊したはずのパクス・アメリカーナは九十年代を通して見事に復活しているし、世界中の多文化主義に反するかのようにアメリカだけがグローバリズムを提唱し続けている。六十年代のポストモダン小説の発生の背後に、六十年代のケネディの暗殺というスイッチがあったとすれば、現代にもそれに匹敵するほどのアメリカ国民の価値観を揺さぶる事件が起こっている。六十年代と現在の文学的状況で決定的に異なるのは、作家のほとんどが実験的な文学作品の退屈さに気付いているという点で、価値観の変革時に反動として誕生する実験的な作品は、ある一部の傑作を除いて、ほとんどの作品が自己満足的なうんこになってしまうということを彼らは経験的に知っている。もちろん彼らも、それらの実験的な作品が次の世代の新しい文学が誕生する布石になっていることは否定しないだろうけれど。

 夜、『アート・オブ・エロス』シリーズの『ホテルパラダイス』を観る。とても面白かった。『ホテル・パラダイス』はニコラス・ローグ監督の作品。明日に結婚式を控えた花嫁さんが、朝起きたらホテルの一室に男と寝ていてやっべーという話。男のロマンチックな話術に、花嫁がどんどんおちていく。『ブルーン・ブルーン・ブルーン』はメルヴィン・ヴァン・ピーブルズが監督の黒人映画。ブードゥーの呪術師を助けたもてない君、そのお礼に女性に変身するバイクをもらう。あまりにもださすぎて面白かった。『エレファント・ネバー・フォゲット』の監督はデトレフ・バック。ドイツ映画。事故った夫人を助けた小人病の象使いが、そのお礼に夫人にセックスを要求する。この三本の中では、これが一番良かった。一番えろかったし。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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