05年05月09日(月)

 最近は古い日本の小説ばかりを読んでいます。一番はまっているのが、中島敦。物語がすごく面白い。藤井くんも絶対に好きだと思う。この人は、中学か高校か忘れたけれど、学校の教科書に載っているということでとても大きな損をしていると思う。国語の教科書なんかに載ってしまったら、面白いものもつまらないものとして記憶されてしまいます。

しかし、何故こんな事になったのだろう。分らぬ。全く何事も我々には判らぬ。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。
『山月記』より

 ぼくが今読んでいるのは岩波版の『山月記・李陵』ですが、次はちくまから出ている全集を読んでみたいと思っています。

05年05月08日(日)

 リトルモアギャラリーにパフォーマンスを観に行きました。パフォーマンスというものは、よく分かりませんが、分かると気持ちが良いものかもしれないと思いました。

 その後たまさんのところへ。いつもよりも大人数。世界中を旅していて、インドで知り合った人とインドで結婚するという女性とお話をしました。本当に楽しい場所です。

 かえりに、プーさんを背中に背負って走っている男がいるので、誰かと思ったら戌井さんでした。なにか精神的な病にかかっているのかしら、と思いました。

05年05月07日(土)

 勝部真長著『青春の和辻哲郎』を読みました。この伝記のテーマは、「人はその在るところのものにいかにして成るか(ニーチェ)」。和辻氏の死により未完に終わった自伝『自叙伝の試み』で書かれた和辻の幼年期から一高時代以降の伝記になります。

「どうだね、面白かったかね」と和辻が聞いた。「うん、大変面白く読んだ。しかし僕は君がアンダーラインをしていないところの方を一層面白く読んだ」と、私は答えた。(中略)和辻はそのことを忘れずにいて、後年、たまたま和辻と私とがこう沼に住んでいた時分、或る日和辻が私の家へ遊びに来て、そのことを云い出したことがあった。「今だから白状するが、僕が創作家になるのを止めて方向を変える気になったのは、あの時の君のあの言葉が大いに影響しているのだ。あの時君は、ぼくがアンダーラインをしていない部分の方を面白く読んだと言ったね。僕はつまりあの文章の中のアイロニカルな警句ばかり興味を感じたのだが、君は小説としての面白味に興味を惹かれたんだ。ぼくはそのことを感じたので自分の天分は小説家には向かないことを悟った。君のあの時の一言は、僕の将来を決定する上に非常に大きな力があった」と、和辻は言った。
谷崎潤一郎『若き日の和辻哲郎』より

 読んでいると、どきどきするぞ。人はその在るところのものにいかにして成るか。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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