
渡部さんも書いておりましたが、世の喫煙者の居場所はどんどんと狭くなっているようでして、甲子園球場なども禁煙となったそうで、たばこを吸わない人にとって、喫煙者はもはやうんこに等しい存在になりつつあるのでは、などと個人的に非常に危惧しております。
そんな折、こんな記事が。
この記事が真実だとして、これってすごくないですか。阿呆としか言いようがないというか、エロビデオのちんちんをモザイクで隠すのと同じくらい愚かな行為のように思えて仕方がありません。たばこを吸わない人の迷惑にならないように心がけては欲しいとは思いますが、アルバムのジャケットの写真を改変することによって、一体なにがどうなるというのか。ぼくの大好きな映画『SMOKE』なんか、そのうち存在すらしなくなってしまうのではないかしら。
極端はいけないよなあ、などと思っていたら今度はこんな記事が。
ううむ。なんじゃこりゃ。こちらにしても、ひとりでも傷つく人がいるのであれば、そのような行為は自粛するべきではあると思いますが、傷つき過ぎの様な気がしないでもありません。「ダルマの目入れのイベントは、目がなければ不完全だという差別意識につながる」などとおっしゃっておりますが、そのように考えた人が、天地開闢以来にひとりでもいたのかどうか疑わしいものです。完全に被害妄想じゃん。というのはやはり、視覚障害者ではないぼくの意見になってしまうのですけど。

ぼくはたばこは吸わないし、喫煙者を擁護するつもりはありませんが、吸う人を見るのはとても好きです。『ブラック・フォーク・ダウン』の中で、たばこを吸うアフリカ人が、たばこを吸わないアメリカ人に言っておりました。「退屈な人生を長生きしろ」と。
今月号の雑誌『ダ・ヴィンチ』の特集は、「ブラック・ジャック大解剖!」です。ダ・ヴィンチ買ったのって、何年ぶりだろう。
特集の中で、読者が選ぶ『ブラック・ジャック』エピソードベスト20とか、著名人が選ぶMyBestブラック・ジャックなどというオーソドックスなことをしているのですが、読者が選ぶベスト1のお話は、ピノコが誕生した『畸形嚢腫』でした。読者・著名人ともに人気があったのが「それが聞きたかった」というセリフで有名な『おばあちゃん』などなど。ぼくが一番を選ぶとしたら、多分『シャチの詩』かなあ。でも、『しめくくり』とかも結構好きだし。タイトル忘れたけど、人工知能を治療する話とかもなかなか。決められないよ。

それで久しぶりにダ・ヴィンチを読んでいてびっくりしたのが、舞城王太郎氏の『熊の場所』が大々的に取り上げられていたことで、先月号の「SWITCH」でも結構な特集をしていたし、すげーなーと感心してしまいました。新刊もそろそろ出るみたいなので、楽しみにしております。
ゲームを一休みして、『メン・イン・ブラック2』を観ました。
前作がかーなーりーつまらなかったので、続編ができても絶対に観ないと思っていたのですが、なんと大好きなララ・フリン・ボイルが出演しているということで、つい観てしまいました。作品は相変わらずで、宇宙人がもはや宇宙人でないところは面白かったです。小学二年生のぼくの甥は、この映画を大変気に入っていて、彼の話を聞いていたら、もしかしたら小学生の頃にこの映画を観たら面白かったのかも、などと思い、そう考えていたら、小学生の頃に熱中した『グーニーズ』とか、『ゴーストバスターズ』なんかも、もしかしたら二十代で観ていたらあれほどにおもしろいとは思わなかったのかしら、などと思いました。年を重ねるごとに面白かったものがつまらなくなるような、そんな年の取り方はしたくないものだと思っておりましたが、年をとるごとに面白いと感じるものもどんどん増えている以上、仕方がないことなのかしら。
それはまあ良いとして、ぼく、ララ・フリン・ボイルさんが大好きなのです。ツインピークスで有名な方ですが、ぼくが知ったのはニック・ノルティ主演の『アフターグロウ』という映画で、この映画、ロバート・アルトマンが制作を行っておりまして、最初は監督をしているのと勘違いして観たのですが、これが相当に面白くて、とくに金持ち若夫婦の奥さん役で出ていたララ・フリン・ボイルが素晴らしく、一目ぼれした次第でございます。映画もねえ、ぼくこういう映画大好きなの。ちょっとしたお話の映画。すげー感動とかした映画よりも、このようなちょっとしたお話の映画の方が心に残るのです、ぼく。
ララ・フリン・ボイルさんは『ハピネス』にも出演しておりまして、三人姉妹の次女で、売れっ子の小説家の役の彼女です。とこうやって書いていたらとても強く『ハピネス』が観たくなったので、今ビデオレンタルで借りてきて観たのですが、ストーリーとか全然覚えていなくて、初めて観たような気がしてすごくおもしろかった!以前、『ストーリーテリング』の方が好き、と書きましたけど、前言撤回、両方とも同じくらい面白い。微妙なおかしさがね、とても好きなのです、ソロンズさんの映画の。役者が着てるTシャツとか。お話もとても上手だし。
微妙なおかしさって、ちょっとでも出過ぎると面白さの強要になるし、ひっこめると何が面白いのか伝わらないし、それをうまく描くのってとても難しいと思うのですけど、ソロンズさんはその微妙さを上手に描けていると思うのです。チェーホフなんかを読んでいると、っていうか最近読んだばかりなのですけど、やっぱりその微妙な感じがとても上手に描けていて、ぼくはユーモアと同時にもっと別の読み方もしてしまったのですが、人生の機微というか、生活の妙趣というか、おそらくは誰もが知っているけど気付いていない、そのような微妙な感情や側面をとても上手に描いているように思うのです。ですから、チェーホフを読んでいると、ぼくは感動と同時にいろいろなことを考える。本を読んで多くを考えるということは、ぼくにとって最高の読書なのです。

『メン・イン・ブラック2』のララ・フリン・ボイルさんは、残念ながら魅力的とは言いがたい役柄でしたけど、まあ、定期的に映画の中で拝見できるだけでもファンとしては嬉しいものなので、じぇんじぇんオッケーです。でも欲を言えば、また『アフターグロウ』みたいな映画の中で観たいな。