02年11月05日(火)

 ふと気付けば、ポール・オースターの新作長編が出ています。

■The Book of Illusions: A Novel

おーっす

(Amazonより引用)
 サイレント時代の映画スターに魅せられた男の、不可思議な旅路を描いた物語。そこで彼を待っていたのは、嘘、幻影、そして意外にも愛が渦巻く「影の世界」だった…。
 航空機事故で妻と2人の愛息を失ってから半年、バーモントの大学で教えているデイヴィッド・ジンマーは、悲しみと自己憐憫(れんびん)を酒で紛らわす日々を送っていた。そんなある夜、彼はサイレント映画のコメディアン、ヘクター・マンの出演シーンを偶然テレビで目にする。その姿にがぜん興味をおぼえたジンマーは、ヘクター・マンに関する本の執筆を決意、すぐさまこの謎めいた男の調査の旅へと向かう。1929年に突然スクリーンから姿を消した彼は、それ以降、60年間死んだものと思われていた。
 翌年、本が出版されると、ジンマーあてに1通の手紙が届く。差出人住所は、ニューメキシコ州の小さな町。書いたのは、どうやらヘクターの妻のようだ。「ヘクターがあなたの本を読み、ぜひともお会いしたいと言っています。こちらにいらしていただけますか?」これはただのいたずらなのだろうか、それとも本当にまだヘクター・マンは生きているのだろうか?まさかという思いと信じたい気持ちがせめぎあうなか、ある晩、彼の自宅に不思議な女性が現われ、旅立ちを促すのだった。それは、ジンマーの人生を一変させる決断だった…。

 なんだよこれー、すげー面白そうじゃん。さすがといいますか、すでにAmazonのレビューが三つもあがっています。しかも全員五つ星!

 ついでにもう一発。『I Thought My Father Was God: And Other True Tales from Npr's National Story Project』のペーパーバック版が最近出たのですが、これはNPRというラジオ局の「National Story Project」で公募した読者の体験談に、オースターが少しだけ味付けをした作品を収めた短編集です。ひとつひとつの作品がとても短くて面白いので、これだったら頑張れば読めるかな。ちなみに、NPRのサイトで一部が公開されています。人は皆、話すことを欲しているのです。

おーすたー

 はやく京極堂の呪いから逃れて、別の小説を読みたい。誰か助けて。

02年11月04日(月)

 黒沢明の遺作『まあだだよ』を観ました。

 数年前にも一度観ているのですが、内容を100%忘れていたので、改めて観てみました。内田百間(『けん』の字違います。後述。)という人に興味があったということもありますが、すげーおもしろかった!

 実際のところ、多少内田さんを理想化しているような感じを受けないでもなかったですが、尊敬される先生とそれを慕う生徒達の交流は観ていて気持ちが良かったし、中島君も言っていましたが、「魔阿陀会」のシーンなんかは会の盛り上がりなんかは、相当によろしいのではないかと。観ているとなんだかわくわくしてしまいます。

 それで、ものはついでということで、以前から興味を持っていたけど読んでいなかった百間さんの本を購入してきました。こういうことって勢いが大切ですから。今年に入ってから出たばかりの『百鬼園随筆』と、岩波文庫の『東京日記』の二冊。『阿房列車』シリーズが面白いらしいのですが、まあ始めはここら辺が妥当でしょう。

 『東京日記』には『サラサーテの盤』という短編が収められています。内田さんの作品の中でも有名なものだと思うのですが、演奏の途中にサラサーテの声が入ってしまっている「チゴイネルヴァイゼン」という曲を収めたレコードをめぐるお話なのですが、これが静かな感じにちょっぴりホラーが入っていて、とてもおもしろかった。ホラーっていっても、全然ホラーじゃないのですけど。始まりと終わりがとても良いのです。始まり。がたがたと雨戸を揺らした風がやみ、静かになった夜。屋根の棟の天辺でコロコロとなにかが転がるような音がする。

宵の口は閉め切った雨戸を外から叩く様にがたがた云わしていた風がいつの間にか止んで、気がついて見ると家のまわりに何の物音もしない。しんしんと静まり返ったまま、もっと静かな所へ次第に沈み込んでいくような気配である。机に肘を突いて何を考えていると云う事もない。纏まりのない事に頭の中が段々鋭くなって気持ちが澄んで来る様で、しかし目瞼は重たい。坐っている頭の上の屋根の棟の天辺で小さな固い音がした。瓦の上を小石が転がっていると思った。ころころと云う音が次第に速くなって廂に近づいた瞬間、はっと身ぶるいがした。廂を辷って庭に土が落ちたと思ったら、落ちた音を聞くか聞かないかに総身の毛が一本立ちになる様な気がした。気を落ちつけていたが、座のまわりが引き締まる様でじっとしていられないから立って茶の間へ行こうとした。物音を聞いて向こうから襖を開けた家内が、あっと云った。
「まっさおな顔をして、どうしたのです」

 文体が淡々としていて、恐い話を書くぞ!という気負いがないので、とても読みやすいし、それが逆に幻想的な雰囲気を出していて、とてもおもしろかった。この『サラサーテの盤』は、鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」の原作にもなってます。西岸良平の『鎌倉物語』第13巻の『沙羅砂阿手の盤』というお話も、この『サラサーテの盤』がヒントになっています。『鎌倉物語』、非常にゆるやかなペースで連載が続いていて、この間19巻が出てました。大好き。西岸。

 鉄割の中では内田さんを読んでいる方が結構いるようなので、今度面白いものを教えてもらおうっと。

うっちー

 ところで、ほらがい内田百間の紹介のページを見ると、「けん」の字がちゃんと出ています。「?フ」の字。これ、MacOSXだと見れたけど、OS9では見えませんでした。みなさんは見えますか。内田百?フ

02年11月03日(日)

 多摩美術大学公演本番でございます。

 みんなは昨日も公演を行っているにもかかわらず、わたくしは今日が初めての公演でございます。

べんぞう

 公演終了後、急いで横浜へ。某イベントに参加するとか。

べんぞう

 その後横浜でお酒を飲みました。よい気分で酔っぱらってね。これから我家まで帰るのがしんどいです。

べんぞう

 さらに、渋谷で勉蔵君とふたりで飲みました。勉蔵君が性同一性障害であるという相談を受けて、困りました。

べんぞう

 結局ふたりとも終電を逃して、分をわきまえずタクシーなんかに乗ってしまい。

べんぞう

 なんだかよく分からない一日でした。金をたくさん使いました。

べんぞう


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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