02年10月16日(水)

 2500年前に建設され、BC48年頃に火災によって崩壊したエジプトのアレキサンドリアの大図書館が、1700年を経て再オープンするそうです。再び世界最大級の図書館として。

■Library reopens 1,700 years on

 アレキサンドリアの大図書館は、ベルガモンの図書館、ケルススの図書館とともに世界三大図書館として知られております。アレキサンドリアが70万巻、ベルガモンが20万巻、ケルススが12万巻(諸説あり)を所蔵していたと言われますが、アレキサンドリアの場合は、ほとんど略奪に近い形で書物を奪ったりもして、内容を問わずにとにかく片っ端から書物(巻物)を所蔵していたようです。残念ながらその所蔵のほとんどは火災によって焼失してしまいましたが、放っておいても歴史に残るような名作は良いとしても、当時の「名作ではない」作品群、とりあえず収めていたような、当時の知識人にとってはどうでもよかったであろう書物群が失われたことが残念でなりません。
 今に生きるぼくたちにとって重要なのは、というか読みたいのは、「名作」ではなくて、むしろ「名作ではない」書物なのですから。

 ところで、歴史に疎いぼくは、当時の図書館に納められていた書物がどのような体裁を取っていたのかさっぱり知らずに、勝手にギャートルズに出てくるような粘土板に書かれたものを想像していたのですが、アレキサンドリアをはじめとした当時の図書館が所蔵していた書物は、パピルスに書かれたものと、羊皮紙に書かれていたものが混在していたそうです。

 それにしても、口承から始まった人類の情報の伝達手段は、数千年を経て文字の発明と共に「書く」という方法に進化して、そのまま三千年近くその形態が続いていたのに、ここに来て「書く」以外に「打つ」という伝達方法が登場しました。これまで、「書かれた蔵書」を保管するという役割(だけじゃないけど)を担っていた図書館という建物は、今後どのように変化していくのでしょう。ちょっと楽しみ。

としょかーん

 以前の日記でもちょぴっと触れましたが、エラトステネスはアレキサンドリア大図書館の館長を務めていたのですよ。丘の上の阿呆。

02年10月15日(火)

 お馬鹿ちん揃いの鉄割のメンバーの中で、唯一の碩学である制作スタッフの藤井君がぼくよりもずーっと年下であることが判明してショックを受けております。

 藤井君は、見た目はとても若いのですが、随分としっかりとしているし、本もぼくの100倍ぐらい読んでいるし、いろいろと造詣も深いので、勝手に自分と同世代だろうなどと推測し、同世代である友人がこれほどまでに明晰であるのに、僕はと言えばなどと落ち込んだりもしたのですが、相当に年下であることが判明してみると、もうどうでもいいやというか、人間努力しても駄目なものは駄目なのね、などと諦観してしまう次第でございます。

 先日もお酒を飲みながらお話ししていた折、話題が妖怪のことになりまして、年少のころにゲゲゲの鬼太郎にはまっていた身としては、程を知らずにあたかも妖怪博士のように振る舞ってしまったのですが、藤井君は『今昔物語』などから妖怪を引用し、さらに聞けば『宇治拾遺物語』などにも通じているらしく、とても面白いお話を聞かせていただきました。虚栄心と申しますか、ついついぼくも今昔物語を通読しているようなことを申してしまいましたが、実は水木しげるの漫画でしか読んだことがありましぇん。うふふ。あまり深い話になるとボロが出てしまうので、ぼくの創作である妖怪ケツ洗い(温泉でケツを洗っている妖怪)のお話をしてお茶を濁しました。

 そんな藤井君をはじめとして、鉄割のスタッフの方々は、皆さん個性豊かでとても素敵な人ばかりです。人見知りのぼくとしては、目が合っても舌打ちをして睨めつけることぐらいしかできませんが、鉄割は彼ら彼女らの好意がなければ存続することができないし、ぼくたちが本番前にのんべんだらりんと寛ぐことが出来るのも、偏にお手伝いさんたちのおかげでございます。今後とも、よろしくお願いします。

かたわぐるまー

 皆さんも鉄割のお手伝いさんになって、鉄割の御友達になりませんか。本番当日の御手伝い、ちらし配り、制作、どのようなことでも結構ですので、手伝ってやっても良いという方がいらっしゃいましたら、iron@tetsuwari.comまで御一報ください。
 一緒にお酒でも飲みながら、妖怪の話しでも致しましょう。

02年10月14日(月)

 『レス・ザン・ゼロ』に続くブレット・イーストン・エリスの第二作目、『ルールズ・オブ・アトラクション』が映画化されました。これで『レス・ザン・ゼロ』から『アメリカン・サイコ』までの初期の三作品は全部映画化されたことになるのかしら。

■The Rules Of Attraction

 相当に楽しみなのですが、ここここここ辺りののレビューを観ると、かなり評価が低く、不安になってしまいます。まあ、でもねえ、映画ばかりは自分の目で観てみないとなんとも言えませんから。

 最近思うところあって80年代のアメリカ文学をランダムに読んでいるのですが、ださいださいと思っていた80年代アメリカ文学も、改めて読んでみるとなかなか面白くて、マジソン・スマートベルの『ゼロ・デシ・ベル』なんか、以前に読んだときは、音響技師がバーでテープレコーダを回して自分とまわりの音を録音し続けるという設定がとても陳腐でつまらなく感じたのですが、今読むとそれが逆に面白くて、設定もストーリーも語られている内容も、全部新鮮に感じてしまいました。バタ臭さは残るけど。
 いわゆる「あらかじめ失われた世代」の作家は、日本で言えば明治以後の日本文学の黎明期が過ぎた頃に登場して、明治後期から大正にかけて活躍したおぼっちゃん小説家たちみたいな感じで、ぼくの中でイメージがとても悪いのですが(『アメリカン・サイコ』なんか、完全にギャグとしか思えないし)、それはもしかしたらぼくが思いっきりその時代を体感した世代だからかもしれません。今ちょっくら離れたところからそれらの作品を読んでみると、以前とは全然違う印象を受けますもの。

あとらくしょん

 で、『ルールズ・オブ・アトラクション』ですが、日本でいつ公開されるのか、あるいは公開自体がされるのか、さっぱりわかりませんが、とりあえずポスターがかわいいのです。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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