
05年02月05日(土)

世田谷へ行くときはいつも、西荻窪を経由する感じに、裏道を自転車で走って行くのですが、その途中にとても気になる杉並の通りがあります。ちょうど久我山と三鷹台の間ぐらいのどの駅からも一番離れているあたりの、小さな坂道のある通りなのですが、これといった商店街もなく、古い佇いの家々が並び、うらぶれた感じの神社があるだけ、夜と昼ではまったく異なった印象を受ける素敵な通りです。
その大好きな裏道の、中でも一番気になるのは、通りの最後にある小さな小屋です。おそらくはこれも神社なのだと思うのですが、あまりにも寂しくて不思議な雰囲気を醸しだしていて近寄りがたく、今だその近くまでは行ったことはありません。いつもその小屋を遠目に見ながら、将来の自分があの中で雨の音に耳を傾けつつ本を読んでいる様などを想像して、にやにやしています。
厭世的な自分を想像するのって、現実逃避でとても楽しいのです。
05年02月03日(木)
最近はいつでも、外出するときのバックの中に武田夫妻の本をしのばせています。泰淳さんの随筆は『目まいのする散歩』、百合子さんの日記は『日日雑記
』。ともに以前に読んでいる作品ですが、読むだけで自分のまわりの世界が少しづつ良いものになっていくような気持ちがする作品は、何度読み返しても良いものです。
ニセモノみたいな見事な満月を、テレビで見ていた。月のへこんだ黒ずんだ場所には、もう全部名前がつけられてしまっているのだそうだ。アメリカがつけたにきまっている。
三輪山の背後より不可思議の月たてり
はじめに月と呼びしひとはや(山中智恵子)
わたしは、この歌好きなんだなあ。映画『2001年宇宙の旅』のはじめの方に出てくる、洞窟に住み、まだ体毛が生えていた頃のヒトに戻った気持ちがする。
『日日雑記』より
断言します。ぼくは死ぬまで武田百合子さんが大好きです。