
02年04月15日(月)
Vol.7以降買っていなかったCOMIC CUEをまとめ買いしました。
この雑誌、毎回テーマを決めていろいろな作家に書いてもらっているのですが、個人的には面白い号とつまらない号の差が激しいように思います。今回買った4冊は全部面白かったけど。
で、帰りの電車の中でぱらぱらと流し読みをしていたのですが、「All you need is Love」号に掲載されていたしりあがり寿氏の漫画が、とても素晴らしくて、電車でなかったら絶対に泣いてましたよ、僕。
物語は短いもの(8ページ)でして、夫婦と思われるカップルが、夕飯を食べているところから始まります。いつものように、その日に起こった出来事を話す妻に、夫がプレゼントを渡し、「実は俺、殺されちゃったんだ」と告白します。帰り道に、若い男に背中を刺されて財布を奪われて死んじゃったと言うのです。
けど、どうしても言いたいことがあるので、とりあえず帰ってきました、と。
泣きじゃくる妻の頭をなでながら、夫は「それでは言いたかったことを言います」「君と一緒にいれて、すごく楽しかったです。それはなぜかというと、ずーと好きだったからです。」
そして二人は今までの楽しかった出来事を話し合います。くっつきながら。
朝になると、プレゼントだけを残して、夫はいませんでした。
というだけの物語なのですが、これ、こんな説明では1%も素晴らしさが伝わらないので、是非読んでいただきたい。間とか、絵とか、台詞とか。
死に際してやり遂げたいことが、「本当に好きだったから楽しかったのよ」という気持ちをきちんと伝えておくことだけっていうのは、なかなかのことですよ。
妻さんもけなげに最後の別れを受け入れているし。
妻が、死んだ夫に対して「(声を近くで聞きたいので)そっちへ行ってもいいですか?」と聞いて、二人はくっついたまま話をするのですが、やっぱりね、くっつくのって必要よ。皆さんも、恋人がいるのであれば、たくさんくっついておきなさい。
ああ、やっぱり書けば書くほど陳腐になる。読んで欲しいです。
世界と微妙にずれているのに、その感情の基準に共感できる作品って、僕は小説でも漫画でも映画でも大好きなのです。
この雑誌、毎回テーマを決めていろいろな作家に書いてもらっているのですが、個人的には面白い号とつまらない号の差が激しいように思います。今回買った4冊は全部面白かったけど。
で、帰りの電車の中でぱらぱらと流し読みをしていたのですが、「All you need is Love」号に掲載されていたしりあがり寿氏の漫画が、とても素晴らしくて、電車でなかったら絶対に泣いてましたよ、僕。
物語は短いもの(8ページ)でして、夫婦と思われるカップルが、夕飯を食べているところから始まります。いつものように、その日に起こった出来事を話す妻に、夫がプレゼントを渡し、「実は俺、殺されちゃったんだ」と告白します。帰り道に、若い男に背中を刺されて財布を奪われて死んじゃったと言うのです。
けど、どうしても言いたいことがあるので、とりあえず帰ってきました、と。
泣きじゃくる妻の頭をなでながら、夫は「それでは言いたかったことを言います」「君と一緒にいれて、すごく楽しかったです。それはなぜかというと、ずーと好きだったからです。」
そして二人は今までの楽しかった出来事を話し合います。くっつきながら。
朝になると、プレゼントだけを残して、夫はいませんでした。
というだけの物語なのですが、これ、こんな説明では1%も素晴らしさが伝わらないので、是非読んでいただきたい。間とか、絵とか、台詞とか。
死に際してやり遂げたいことが、「本当に好きだったから楽しかったのよ」という気持ちをきちんと伝えておくことだけっていうのは、なかなかのことですよ。
妻さんもけなげに最後の別れを受け入れているし。
妻が、死んだ夫に対して「(声を近くで聞きたいので)そっちへ行ってもいいですか?」と聞いて、二人はくっついたまま話をするのですが、やっぱりね、くっつくのって必要よ。皆さんも、恋人がいるのであれば、たくさんくっついておきなさい。
ああ、やっぱり書けば書くほど陳腐になる。読んで欲しいです。
世界と微妙にずれているのに、その感情の基準に共感できる作品って、僕は小説でも漫画でも映画でも大好きなのです。
02年04月14日(日)
続き。
「アホダラ帝国」の巻末に、アッカーのインタビューが載っていまして、その中で、バロウズをインタビューした時のことが書いてあります。
彼女はバロウズの大ファンで、会うのはとても楽しみだったのですが、一般に言われているバロウズの風評がとてもすさまじいものだったので緊張をしていたらしいのです。
が、実際に会ってみるととても気の良いおじさんで、インタビューは和やかな雰囲気で進んだのですが、なにを質問をしても全然関係のない答えが返ってきたり、怒らせようと思って変な質問をしても全然怒らないのに、アッカーがサバクギツネの餌を知らなかったときと、レムール(メガネザル)の事を知らなかったときには、激怒して大声で怒鳴りだしたとのことです。
バロウズって、年取ってからは、動物が大好きだったんですって。
それだけがちょっと困ったって。
「アホダラ帝国」の巻末に、アッカーのインタビューが載っていまして、その中で、バロウズをインタビューした時のことが書いてあります。
彼女はバロウズの大ファンで、会うのはとても楽しみだったのですが、一般に言われているバロウズの風評がとてもすさまじいものだったので緊張をしていたらしいのです。
が、実際に会ってみるととても気の良いおじさんで、インタビューは和やかな雰囲気で進んだのですが、なにを質問をしても全然関係のない答えが返ってきたり、怒らせようと思って変な質問をしても全然怒らないのに、アッカーがサバクギツネの餌を知らなかったときと、レムール(メガネザル)の事を知らなかったときには、激怒して大声で怒鳴りだしたとのことです。
バロウズって、年取ってからは、動物が大好きだったんですって。
それだけがちょっと困ったって。
02年04月13日(土)
古本屋でキャシー・アッカーの「アホダラ帝国」を発見、速攻で購入。この本の初版本は、古本屋では普通2000円から3000円ぐらいで売っているものなのですが、800円で買えました。
このキャシー・アッカーと言う人、今ではちょっぴりださい分類に入ってしまっているかもしれない女流作家さんなのですが、僕は結構好きなのです。
ほら、80年代にいたじゃないですか、シンディー・ローパーとか、マドンナとか、ローリー・アンダーソンとか、あんな感じで登場した、スキンヘッドに入れ墨のパンク姉ちゃんで、作品はアバンギャルドというのでしょうか、今となっては懐かしいタイプの作品です。ポストバロウズの女性旗手ですね。
「アホダラ帝国」は、アブホールというサイボーグ黒人女と、シーヴァイというぽん引きの海賊が、交互に語り手になって世界を探求する過程を語る愛の物語?という形式をとっています。まあ物語というにはプロットが混然としているし、実験小説に近い(というと怒られるかもしれないけど)のですが、とにかくあの時代特有の臭いがぷんぷんとします。
「アホダラ帝国」はサド、フロイト、ウィリアム・ギブソンなどの文体をパロディというか剽窃しているらしいのですが、そんなことはさっぱり分かりませんでした。っていうか、書いた本人も誰を使ったか、何処に使ったかを忘れているみたいです。
以下引用
----------------------
自由とはまさにマンコ。
チェ・ゲバラは自由がマンコなのを見て彼女をベッドに連れてった。そのベッドは時のベッド。あるいは苦痛の水を与えられたバラの咲く花壇(フラワーベッド)。夜明け間近になって二人は眠りに落ちた。
自由はチェのことをどう思ったのか?女がどう思うかなんて誰か知ってるの?女って、思えるの?いいや。かれが夢から目覚めると、彼女はぶっちらばってた。
以来、チェは夢の中にしか安住できなかった。ニューヨークでデトロイトでLAでニューキャッスルでマルセイユでベイルートで。巣。人々が自らの欲望で発狂しているところ。発夢しているところ...
----------------------
このパンクおねえさんは、1997年に癌で死去しています。最後の作品は「Pussy,King of the Pirates(海賊王まんこ)」。
このキャシー・アッカーと言う人、今ではちょっぴりださい分類に入ってしまっているかもしれない女流作家さんなのですが、僕は結構好きなのです。
ほら、80年代にいたじゃないですか、シンディー・ローパーとか、マドンナとか、ローリー・アンダーソンとか、あんな感じで登場した、スキンヘッドに入れ墨のパンク姉ちゃんで、作品はアバンギャルドというのでしょうか、今となっては懐かしいタイプの作品です。ポストバロウズの女性旗手ですね。
「アホダラ帝国」は、アブホールというサイボーグ黒人女と、シーヴァイというぽん引きの海賊が、交互に語り手になって世界を探求する過程を語る愛の物語?という形式をとっています。まあ物語というにはプロットが混然としているし、実験小説に近い(というと怒られるかもしれないけど)のですが、とにかくあの時代特有の臭いがぷんぷんとします。
「アホダラ帝国」はサド、フロイト、ウィリアム・ギブソンなどの文体をパロディというか剽窃しているらしいのですが、そんなことはさっぱり分かりませんでした。っていうか、書いた本人も誰を使ったか、何処に使ったかを忘れているみたいです。
以下引用
----------------------
自由とはまさにマンコ。
チェ・ゲバラは自由がマンコなのを見て彼女をベッドに連れてった。そのベッドは時のベッド。あるいは苦痛の水を与えられたバラの咲く花壇(フラワーベッド)。夜明け間近になって二人は眠りに落ちた。
自由はチェのことをどう思ったのか?女がどう思うかなんて誰か知ってるの?女って、思えるの?いいや。かれが夢から目覚めると、彼女はぶっちらばってた。
以来、チェは夢の中にしか安住できなかった。ニューヨークでデトロイトでLAでニューキャッスルでマルセイユでベイルートで。巣。人々が自らの欲望で発狂しているところ。発夢しているところ...
----------------------
このパンクおねえさんは、1997年に癌で死去しています。最後の作品は「Pussy,King of the Pirates(海賊王まんこ)」。