
今年は、とにかくたくさんのナチュラリストの本を読みました。ほとんど、ナチュラリストの本しか読んでいないかもしれません。その中でも、一番感動したのは、エドワード・アビーくんの文章です。
双眼鏡越しに目の届くかぎり遠くまで北のほうを見た。10マイル、20マイル、いや40マイルほども先を。ぼくは注意深く見ていった。古代インディアンの廃墟、意味ありげなケルン、廃鉱、想像を絶した富をもたらす秘宝、根源中の根源・・・・・なんてものがあるかと思って。
だが何もありはしなかった。何もだ。あるのはただ砂漠。沈黙の世界だけだった。
これだ、探していたものは。
エドワード アビー『グレート・アメリカン・デザート』
そういうわけで、アメリカン・デザートを体験するために、やってきました、ユナイテッド・ステイツ。もちろんチャリ持参です。これから一ヶ月の間、なーんにもないアメリカの道路を、ただひたすらに走りまくる予定です。
今日は初日なので無理はしません。LAXからオンタリオ空港付近まではバスでのんびーりとやってきて、一ヶ月お世話になる自転車を愛情を込めて組み立て、ロス郊外ののどかな風景を楽しみながら、先への期待と希望を胸にゆっくりとペダルを踏みます。
二ヶ月も前の日記を今さらアップするのは若干気がひけるのですが、おつきあいのほどなにとぞよろしくお願いします。
新しく引越してきた町は、今まで住んでいた町よりも静かで、雰囲気も良いので、公園に池がないこと以外はとても気に入っています。
特に嬉しいのは、猫の数がやたらと多いところ。
家のすぐそばの子育て地蔵には、夜になると二匹の猫が常駐しているし、マンションの玄関にもたいてい二三匹の猫がうろうろしています。
ちょいと散歩をすれば、あちらこちらで猫に出会います。
ほとんどの猫は簡単には近づいてきませんが、中には「チッチッ」と話しかけると、全速力でこちらに走って来て、すごい勢いでゴロゴロいいながら体をなすりつけてくる子もいます。
そんなに簡単に人を信用すると、皮をはがれて三味線にされてしまいますよ、と警告しても、やはりゴロゴロ。
せっかく猫と共棲が可能なマンションに引っ越したのですが、まわりにこれだけ猫がいるなら、無理して一緒に住まなくても良いかな。と思ったり。少しだけ。
夜、梨木香歩著『家守綺譚』の続きを読書。
ベッドに横になってこの本を読むと、夜の感じがとても良くなります。
目を覚ますと、外の天気がとても良い。
フローリングの床が太陽の陽を浴びて、ぴかぴか光ってぽかぽかしています。
そういうわけで自転車に乗って、ふらふらと上野へ。途中、松を見るために皇居に寄りました。
先日、杉本博司展で松の水墨画のような写真を観たときに感じた奇妙な印象がなんだったのかを考えるために。
その後、上野で北斎展を鑑賞、あまりの人の多さに辟易、作品の面白さに感動。
全部観るのに四時間もかかりました。さすがにちょっと辛かったです。
個人的には、後半の技巧を凝らした作品群よりも、前半の線の細い浮絵の方に惹かれました。多少のひねくれ心も手伝って。
浮世絵はやはりかっこいい。
夜は、梨木香歩著『家守綺譚』を読書。
一番最初の章のタイトルが、「サルスベリ」。
なんとなくの、偶然。