03年06月10日(火)

 朝、駅に向かって歩いていると、通りかかった家の塀の内側から「手に取り、読みなさい(Take and read; Tolle, Lege)」という子供の声が聞こえる。あいにくぼくはアウグスティヌスほど素直ではないので、手にも取らず読みもせず。

 近所のペットショップで、ピグミージェルモア(コミミトビネズミ)が12800円で売っているのを発見。相場を考えると、かなり安いと思う。最近、お金を出して動物を買うという行為に抵抗を感じているのだが、あまりにもかわいいので思わず買ってしまうそうになる。本当に小さくてかわいい。どうにか思いとどまる。

 今月の『ロスト・オン・ザ・ネット』は、1972年に『夏の石(The Stone of Summer)』という名作を一冊を出しただけで姿を消した作家ダウ・モスマンの話題。その本に魅了された映画監督マーク・モスコヴィッツが、彼を探し求めるというドキュメンタリー映画『ストーン・リーダー(石の読者)』を撮ったらしい。『夏の石』ってすごく良いタイトル。本も読みたいし、映画も観たい。

 『つげ義春初期傑作短編集』を読む。最後に掲載されているつげ氏へのインタビューによると、彼はもう漫画を書く気はないようだ。以前にも増して乞食への憧憬、厭世観が強くなっている。

 夜、八月の公演のちらしなんかをちょちょいと。すっかりマンネリ化した鉄割のちらし。打開しなくては。

 日々が、変化なく過ぎていく。

03年06月09日(月)
 起床。お尻が痛い。太ももが痛い。脹脛が痛い。筋肉痛。昨日の夜、読みながら寝てしまった中村量空著『複雑系の意匠ー自然は単純さを好むか』の続きを、目を覚ましたそのままの姿勢で読み始める。まるで好きな人とセックスをしてそのまま寝て、朝起きてまたセックスをするような心地良さ。頭がまだ正常に働いていないのか、書かれている言葉の意味がランダムに響く。

 ごろごろとしているうちに、ようやく立てるようになる。が、一歩進むだけで足が震える。いってーよ、まじでえ。両肩も筋肉痛になっている。手を握ろうとしても力が入らない。やはり日頃からの鍛練が重要だ。

 昼過ぎ、ロボット歩きで本屋さんへ。今月号の「群像」を立ち読みすると、舞上王太郎氏の新作が掲載されている。うわー読みてー!あとで図書館でゆっくりと読もう。「新潮」を立ち読み。三島由紀夫賞を受賞した『阿修羅ガール』の選評が掲載されている。宮本輝氏がかなりぼろくそに『阿修羅ガール』をこき下ろしている。島田雅彦氏のコメントは相変わらず何かを見透かしたようなお釈迦様気取りでムカツク。

 カフェへ。猿谷要著『歴史物語 アフリカ系アメリカ人』を読む。普通のアメリカ史の本では、一行か二行で済まされるような事件が、かなり詳細に書かれていて勉強になる。「もし、今我々があらゆることをする勇気がなければ、ある奴隷が聖書の中から書き直して、歌に歌ったあの予言の実現が、我々に迫ってくるのだ。”神はノアに虹のしるしを与え給うた。もう水は終わった。次は火だ!”(ボールドウィン『次は火だ!』)

 夜、『ディナー・ラッシュ』を観る。NYのあるレストランの一夜を描いた映画。実際に身近にいたらうぜーっと思うような人物が次々と登場して、面白かった。監督が実際にレストランのオーナーだけあって、レストランや食べ物の描き方がとても上手で、味終えたあとめちゃ腹減った。フードライターのジェニファーが妖怪だった。
03年06月08日(日)

 イザナギ・イザナミの二神を祀っているところからその名が付いたと言われる両神山は、深田久弥氏の『日本百名山』によれば、元はヤオガミと呼ばれており、それが八日見(ヨウカミ)と宛字され、さらに竜神山(リュウガミ)に、最後に両神(リョウガミ)山へと変遷していったという。つまり、先に両神山という名が誕生し、後に名に合わせて二神を祀るようになったのだ。初めに名ありき。名に実が伴う。その山に今日、登る。

 六時起床。六時四十五分の電車で所沢へ。所沢で特急に乗り換え、約一時間で西武秩父駅に到着。乗客がぼくひとりのバスに乗り、インディアンのリザベーション然とした秩父の村を過ぎて、日向大谷へ。あまりにも天気が良すぎるのでSoak up the sunなんかを口ずさみながら。

 両神山の山頂に行くには、いくつかのコースがある。今回ぼくが選んだのは、日向大谷から入って、坂本に出るという少しハードなコース。出発に日向大谷を選んだのは、途中の石仏を拝したかったから。出口に坂本を選んだのは、上級コースを経験しておきたかったから。

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 コースタイムは以下の通り。

 日向大谷(9:40) - 会所(10:10)- 清滝小屋(11:08)- 十分休憩 - 山頂(12:20) - 十分休憩 - 東岳(13:00)- 八丁峠(14:10) - 坂本(16:30)

 坂本の終バスが16:39分だったが、ぎりぎりで間に合った。どうして八丁峠から坂本まで二時間以上かかったのかといえば、途中で道を間違えてえらく遠回りしてしまったからで、それさえなければ初心者としてはまあまあのタイムだと思う。

Mountain

 岩場とか鎖場とかを初めて経験したけれども、めちゃくちゃ楽しかった。落ちたらケガするだろうし、下手すりゃ死ぬわけだから怖かったけれども、アスレチックをしているような気分。そのうち痛い目を見そう。

 BGMとして、いつものBTBとかColdCutとか、藤井君にかりたPWEIとか、ムラジとかいろいろ持っていったけれども、意外に良かったのがAOAの「SURFIN’ ALRIGHT」だった。曲の隙間から時折聞こえる両神山の音とAOAの音楽がかなり良い感じにマッチしていて、とても気持ち良かった。AOAを聴きながら岩場なんかを下っていると、どこか遠くの方へ飛んでいけそうな気がして。

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 帰り道、二子山が常に視界に入る。目をそらしても視界に入る。ぼくを挑発しているのか。よし、近いうちに登ってやるぞう。

 そんで今回の山の写真です。面白味のない写真で恐縮です。

 夜、三軒茶屋へ。初めての方々と飲む。山の興奮さめやらぬまま、うんことかセックスとかのお話を。いつもとは違う面子で、とても楽しかった。飲んでいる最中に、筋肉痛でお尻が痛くなり始める。


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大根雄
栃木生まれ。
鉄割パソコン担当。
いたりいなかったりする。

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